Butterfly of the noon
体育館に戻ると、山村先輩は玉子達と一緒に居た。
そこには“いつもの先輩”の姿は無かった。
「レンナの事、好きだったって?」
「え?」
玉子を見る。
と、アイツは目を逸らす。
後ろではミドリがオドオドしてやがる。
「先輩、違うよ」
「野嶋さんだっけ?……何が違うの……かな?」
先輩は引きつった笑顔で野嶋を見る。
「レンナ先輩が姫路くんの事──」
「レンナってさ、誰にでも優しいから」
そう言って、先輩はオレに向き直る。
「けど、こんな形で独り占めはよくないよね」
「うぐ──」
もの凄い力で先輩に首を掴まれる。
「先輩、やめて!姫路くん──」
先輩が野嶋を突き飛ばす。
“野嶋は関係ない!”そう先輩を睨む。
「返せよ……」
「先……輩……?」
「返せってんだろ!」
何度も呼び掛けたが、先輩は聞く耳を持とうとしない。
ただ、オレを殴るだけ……
“いつもの先輩”ならオレの話を聞いてくれたと思う。
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