Night when I seem to be awfully numb
──先生は女だけだった。
聞くと、見回りと買い出しに出ているらしい。
学園長は川田の自宅へ連絡を入れる為に職員室。
……行くしかねェな。
「姫路。川田から北井先輩に乗り換えたんだって?」
玉子とミドリが道を塞ぐ。
「ち、違うよね……姫路くん?」
「当たり前だろ」
「媚び売って相手にされてるだけか、つまんないな」
「勝手に言ってろよ」
玉子とミドリの間を抜けて体育館を出ようとする。
「姫路!」
「山村先輩?」
山村 晶良(やまむら・あきよし)先輩はレンナ先輩の取り巻きの一人。
その中でも、一番にレンナ先輩の事を想ってると思う。
オレに対しても優しくて、先輩という壁さえも作らない人だ。
「レンナ、見なかったか?血相変えて、お前を捜してるみたいだったけど」
「血相変えて、ですか?」
「呼んでもシカト。ただ事じゃないよな……」
「さっき会った時は──」
「会った?」
「1階の廊下で……」
「それとは別だな、きっと」
「別って……どこで見たんですか?」
「3階の廊下」
「3階?」
「直ぐに見失っちゃったけどな……」
胸騒ぎがする──
オレが先輩と別れたのは、1階だった。
体育館も同じ1階……
ましてや職員室は2階だ。
「……オレ、捜しに行きます」
「俺も行く」
頷いて、体育館の扉を開ける。
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