Night when I seem to be awfully numb





「誰?」


野嶋が低く聞いた。
と、明かりは消えた。


「様子、見てくる」


野嶋は明かりの見えた方へ消えた。


「ケィくん?」


声と共に小さな明かりがついた。


「捜してたんだよ……大丈夫?」


もう一つの明かりはレンナ先輩だった。


「あの……先輩……?」
「この子達……」


息を呑む。
今の状況じゃ明らかにオレが疑われる──


「死んでいたのね」
「え?」
「ケィくんが来た時には死んでいた、そうでしょ?」
「……はい。これから先生に報告に行きますから……」


平常心を装うも、照らされた二人を見て身震いする。


「ケィくん、震えてる?」
「違……いや、大丈夫で──」
「怖いモノは誰にでもあるわ」


レンナ先輩はオレを胸に抱いて、頭を撫でる。

暗いからなのか、不思議と嫌じゃない。
むしろ安心する……

理由の一つは、先輩を取り巻く男子生徒がいないから──?


「ねえ……さっきから、姫路くんに何をしてるの?」


野嶋のケータイがオレと先輩を照らす。


「アナタ……いつから居たの?」


先輩の言葉に汗が伝い落ちる。


「離れてよ」
「ケィくんは怯えてるの。落ち着くまで、このままにしてあげてくれるかしら」
「……それなら、わたしが──」
「怯えてる、そう言ったでしょ?」


二人は睨み合って火花を散らす。


「先輩、オレはもう大丈夫──」
「それにアナタを許したつもりもないの」
「……わたしも、そうだよ」
「二人共、落ち着い──」
「でも、こんな時だしね……争うなんて馬鹿馬鹿しいわ。そう思わない?」
「…………何が言いたいの?」
「仲直りしてあげるって意味」


野嶋はオレの顔を見て口を開いた。


「……いいよ」


野嶋とレンナ先輩は笑顔を見せ合う。
二人の顔がハッキリと見えたのは明かりがついたから。


「わたし、先生に伝えてくる」
「言葉に甘えちゃおうかな?」
「オレが行く」


第一発見者がオレって理由じゃない。
仮説であっても、動機は伝えなければ──



.
5/10ページ
スキ