Night when I seem to be awfully numb




オレは走っていた。
体育館を出て、廊下を抜ける。

──ドクン……
階段に近付くと、心臓が凍りつく音がする。


「川田……」


息を呑んで一歩、踏み出す。
消えかけた蛍光灯。
そして──


「うわぁぁあああ──……」


絶句──
血塗れで人が倒れて……


「こ、コイツら……」


オレを犯人と疑った女生徒二人だった。

荒くなる呼吸を掻き消すように雨音が聞こえる。


「川田……オヤジ……」


脳裏、血塗れの二人が微笑む。

違う!
二人はやって……ねェ!

“ツクリモノ”を打ち消す。
と、同時に明かりが消えた。
此処だけだろうと周りを見るが、全ての明かりが落ちていた。


「……嘘……だろ?」


窓を打つ激しい雨。
時折、雷が光を放つ。
その度に、女生徒が照らし出される。


「……誰か……」


打ち消したモノが再生する。
その中には、女生徒達も居た。

オヤジ達が手を伸ばす。


「やめろ……」


逃げようとする足が言うことを利かない。


「うわぁ!」


体勢を崩し、倒れる。
手は近付きリアルさを増していく。


コツ……コツ……
「……足音……?」


幻聴じゃない。
確かに、聞こえる──

それは、小さな光と共に近付いてくる。
息を潜めても、抑えきれずに漏れていく。
体中が恐怖を感じている──……
と、誰かに肩を掴まれた。



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