Shadow of the departed soul
「何?」
「手……」
今は、夜だ。
月明かりが真実を映し出している気がした──
「……手に……血が……」
「ハツリちゃんを支える時に付いちゃったのかな?」
そう言って、野嶋が薄ら笑いを浮かべた気がした。
野嶋の背中には、グッタリとした川田がいた。
「川田……?」
「早く保健室に連れて行かなきゃ」
連れて行くも何も、川田はもう──
「野嶋……川田、休ませてやれよ……」
震える手で川田に手を伸ばす。
“触りたくない”──
躊躇いが当たり前のように生まれる……
「何で?早く保健室に連れて行かなきゃだよ」
野嶋は無表情だった。
コイツ、何で平気なんだよ……
「ハツリちゃん、もう少しで休めるよ……頑張って」
野嶋は何度も川田に呼び掛けていた。
Shadow of the departed soulー亡霊の影ー....END....
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