Shadow of the departed soul




「何?」
「手……」


今は、夜だ。
月明かりが真実を映し出している気がした──


「……手に……血が……」
「ハツリちゃんを支える時に付いちゃったのかな?」


そう言って、野嶋が薄ら笑いを浮かべた気がした。

野嶋の背中には、グッタリとした川田がいた。


「川田……?」
「早く保健室に連れて行かなきゃ」


連れて行くも何も、川田はもう──


「野嶋……川田、休ませてやれよ……」


震える手で川田に手を伸ばす。

“触りたくない”──
躊躇いが当たり前のように生まれる……


「何で?早く保健室に連れて行かなきゃだよ」


野嶋は無表情だった。
コイツ、何で平気なんだよ……


「ハツリちゃん、もう少しで休めるよ……頑張って」



野嶋は何度も川田に呼び掛けていた。





Shadow of the departed soulー亡霊の影ー....END....
10/10ページ
スキ