sister

(リクとアリス/本編のAnother的な話)






──最近、悪夢で目が覚める。
闇の中から手招きする影。
見知らぬ男が彼女、“姉さん”の隣にいる。
僕が彼女に近付こうとすると、彼は“姉さん”を僕から遠ざける。
その度にまた闇は手招きする。

この悪夢は次第に酷くなり、僕を蝕んでいく。


──ガチャリ。


「……やめて……リク!」


彼女……“姉さん”を僕のモノにしてしまえばいいんだ。
ある日、行き着いた答え。

闇は僕に“邪心”を与え、男は僕に“嫉妬”を与えてくれた。
それは上手い具合に合わさった。

夢の中で僕は男から、“姉さん”を奪った。
暗い小さな部屋に閉じ込めて、鍵を掛けて。
愛を与えた。
愛を奪い、愛を与えた。

“好きだよ、姉さん”
この言葉には顔を赤らめた。

“愛してるよ、姉さん”
この言葉には……恐怖の顔に表情を変えた。
だから、僕は愛を与えてあげた。

満月の晩だけ、月明かりが僕らの行為を覗き見る。
羞恥心どころか、余計に興奮するシチュエーション。


「ねえ、“姉さん”? いつ、僕の子供を宿してくれるの?」


何日も愛を与えてるのに。
……ああ、そうか。
愛が愛を殺し、愛が愛を生む……そしてまた殺す。
それを繰り返しているのか。

 

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