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折紙

(エリーゼとカブラ)




「エリーゼ、共に歩んでいこう」
「ええ」


愛しい彼の肩にもたれかかる。
すると、青葉の匂いが微かにした。
わたくしの……大好きな匂い。


「……ん? どうかしたのか?」
「心地好くて……カブラに包まれてる気がしますの」
「……そう、か?」


彼はあからさまに顔を逸らす。
こういう雰囲気から唇が重なるって思っていたのだけれど、彼の場合は全然違うのよ。


「エリーゼ。髭、当たるだろう」
「……ふふ、忘れてましたわ」


顔を近付けると、盾を作る。
きっと……ファーストキスのせい、ですわね。

“甘い”
“檸檬みたい”

そんなことはなくて、トゲトゲ。
これがファーストキスの思い出なの。

カブラは髭を剃るって言い出したけれど、そんな必要はないわって言ったの。
わたくしは、ありのままのカブラがよくて。
変える必要も変わる必要も全く感じないのですから。

街中を歩く恋人達に時々、嫉妬はしていたと思うの。
カブラはわたくしよりもシャイと言いますか……
“自分には勿体ない女”と遠慮しているような気もしますの。
だから、わたくし──


「──ねえ、カブラ! デートしましょう!」
「で、でぇと!?」
「思い出、たくさん重ねていきたいと思いますの」


デートスポットをたくさん調べたの。
カブラが甘い雰囲気をたくさん知ってくれたら……
カブラが周りの雰囲気に溶け込んだら……


「エ、エリーゼ……す、すまんが……ちと用足しに行ってくる……」


ラブロマンスはキス直前で逃げ出して……
遊園地のお化け屋敷では、わたくしをお化けから守ろうと全力で……

他の人から見たらきっと、恋人らしくないかもしれないのだけれど……


「ふふ」
「……エリーゼ?」


デートスポットはやっぱり、わたくし達には不似合いで……

彼の手を引いて草原までくると、草の上に寝転がる。
カブラはそんなわたくしを見て大慌て。


「服が……!」


自分の服を脱いで、そこにわたくしを座らせる。
それでいて、彼は大の字で草の上に寝転がる。
わたくしは何も言わず彼の隣に寝転がる。
暫くの沈黙の後、彼はわたくしを抱き寄せてくれた。
ほんのり香る草の香り。
見上げると、大好きな彼の顔。


「……カブラ」
「エリーゼ?」


目が合うと、わたくし達は思わず笑った──




折紙/LACCO TOWER
END.
(2024.09.09)
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