Lunatic Gate

(ライとカメリア)



「カメリア。プレゼント、気に入ってくれた?」
「ええ。けど、あなたがあんなに素敵なドレスをプレゼントしてくれるなんて思わなかったわ」


“素敵なドレス”な。


「風変わりじゃねーと、被るだろ?」
「そうね、ライ」


胸の部分が大きく開いたドレス。
彼女にはお似合いだ。
良くも悪くも男を魅了する。

──これは罰。
罰なんだよ、カメリア。


「これから、ヤろうぜ」
「ごめんね。先約があるの」


これで何度目だ?
このおれの誘いを断るのは。
ま、おれも他の連中と遊びまくってっけどさ。
正直、お預けくらうのは好きじゃねーんだ。


「じゃあ、明日は?」
「無理ね」
「その次!」
「ごめんね、ライ」


ふざけんな。
もう、おまえと遊んでなんかやらねーからな。

そう決意して、カメリアにアレをプレゼントした。
おれ自身の心を最高潮(沈める)ために。

そして、その日はすぐにやってきた。


「ほら、思ったとーり! すごく似合ってるよ、カメリア」


プレゼントした“ドレス”を着て、男に会いに行く彼女。
それがスイッチになった。


「ちょっと! するのは好きでも、されるのは嫌いなの! 知ってるでしょ、ライ!」


手足を手錠と鎖で拘束。
あの“ドレス”との組み合わせは抜群。


「囚われの姫さまみたいでいいじゃん」
「……そうね。それで? 王子様は誰なの? まさか悪魔の正体が王子様ってことはないわよね?」
「王子様の皮をかぶった悪魔かもしれねーな」


そう言って、おれは身に纏うもの全てを脱ぎ捨てた。


「分かった。相手、してあげる。だから、コレ外して」


あーあ。
全く分かってねーな。


「ドレス。ほんと、すごく似合ってる」


彼女の上に股がると、耳元で囁く。


「プレゼントしたのは、脱がせるため」
「……いいわ。脱がさせてあげる。だからコレ──」
「だーから」
「…………え?」
「なーんも分かっちゃいねーな」


気持ち良くなる為じゃねーの。
そういうの抜き。


「……ちょ……ライ──」
「はぁ……すげー、興奮する」


彼女の“身体”にじゃない。
この状況に“興奮”してる。

淫らに淫らに……そのドレスを脱がす。
どんな男に抱かれてた?
どんな風に抱かれてた?

──滑稽。
こんなに乱されてる姿、知ってんの……おれだけなんだから。

拘束への抵抗は長かった。
どうしても受け入れられなかったんだろ?
カメリアの性格、よく知ってんだよね。


「さっすが、囚われの姫さま。ジャラジャラ音立てながら欲情しやがって」
「……違──」
「なあ、カメリア…………新しい扉、こじ開けてやるよ」





Lunatic GateJanne Da Arc
END.
(2024.09.05)
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