Gray Brothers
「カルロ」
幼少期は可愛がられていたんだとは思う。
それは“弟”を見れば手に取るように解った。
自分と重なって見えたから。
しかし物心つく頃には“独り”だった。
──子は男児は一人のみ。
女児は何人いても構わない。
“弟”の存在が僕を“不要品”にした。
殺すわけにもいかない、野放しにも出来ない。
今思えば、“最低限の愛情”で手懐けていたんだろうな。
惣菜の残りから、次第にパン一切れ……ピーマン二つ等と劣化していく“食”。
服も劣化やサイズが合わなくなっていく。
風呂もまともに入れない僕は、雨水を貯めたり夜中に公園に行ったりしたこともある。
そもそも……何で僕は広い家に“独り”なんだ──?
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