Lady Alice III
……………
…………
………
……
…
なんか温かい。
しかも、一定の間隔で揺れてる。まるで誰かの背中に乗って、歩いているような…。
あと香りがする。香水みたいに強いわけじゃないんだけど、きつい匂いでもない。どちらかというと、落ちつくような…。
でも、この匂い、覚えがあるんだけど、誰だっけ?
誰なのか、確かめようと、私は目を開ける。すると、見覚えのある後ろ姿。茶髪で跳ねた髪、耳にピアスが沢山あった。これは一人しかいない。
「ハルク…」
「起きたのか?まだ寝てていいぞ」
「ハルクがお迎えに来てくれたの?」
「他に迎えに行けるヤツが誰もいなかったからな」
そうなんだ。だから、ハルクが来てくれたんだ。
しかし、おんぶされたのなんて、いつぶりだろう。昔、パパに何度かしてもらったことはあるけれど、最後にしてもらったのは、小学生に上がる前くらいだ。
「お前、具合悪かったの?」
「朝起きた時、いつもと違う気はしたけど、それ以外は何ともなかったから、大丈夫だと思って…」
「授業中にいきなり倒れたって聞いたぞ?あんま無理すんな」
珍しくハルクが私の心配してくれた。いつも意地悪ばっかりなのに、優しいところもあるんだ…。
「心配してくれたんだ…」
「当たり前だろ。いつも元気なヤツが体調悪いなら、心配するだろうが」
「……そっかぁ。ふふっ…」
「アリス?」
ふと周りを見る。
私がいつも見る目線よりも少し高い。ハルクはいつもこの高さから見てるんだ。
「久々におんぶされた。楽しい…」
「楽しいって…。おんぶで喜ぶのお前くらいじゃねェ?リンネは絶対に嫌がるぞ」
「リンネは、子供扱いされるの嫌ってるからね。おんぶも小学生になる前にパパにしてもらったのが最後かな」
「カルロとかにやってもらわなかったのか?」
「おんぶはないよ。だっこなら、やってもらったことはあるけど」
「へぇ…」
ハルクの口調がいつもと比べると、優しい気がする。いつもこうならいいのに…。
そしたら、話しやすいのにな。
「ハルク、今日は優しいね…」
「は?オレはいつも優しいだろ」
「いつも意地悪だよ。今みたいに優しいなら、専属執事になっても、いい…の……に」
気づくと、私はまた夢の中に落ちた。
もうしばらくは起きていたかったのにな。だって、こんなに優しいハルクは今だけだもん。私が元気になったら、またいつもの口が悪いハルクに戻ってしまうから。
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なんか温かい。
しかも、一定の間隔で揺れてる。まるで誰かの背中に乗って、歩いているような…。
あと香りがする。香水みたいに強いわけじゃないんだけど、きつい匂いでもない。どちらかというと、落ちつくような…。
でも、この匂い、覚えがあるんだけど、誰だっけ?
誰なのか、確かめようと、私は目を開ける。すると、見覚えのある後ろ姿。茶髪で跳ねた髪、耳にピアスが沢山あった。これは一人しかいない。
「ハルク…」
「起きたのか?まだ寝てていいぞ」
「ハルクがお迎えに来てくれたの?」
「他に迎えに行けるヤツが誰もいなかったからな」
そうなんだ。だから、ハルクが来てくれたんだ。
しかし、おんぶされたのなんて、いつぶりだろう。昔、パパに何度かしてもらったことはあるけれど、最後にしてもらったのは、小学生に上がる前くらいだ。
「お前、具合悪かったの?」
「朝起きた時、いつもと違う気はしたけど、それ以外は何ともなかったから、大丈夫だと思って…」
「授業中にいきなり倒れたって聞いたぞ?あんま無理すんな」
珍しくハルクが私の心配してくれた。いつも意地悪ばっかりなのに、優しいところもあるんだ…。
「心配してくれたんだ…」
「当たり前だろ。いつも元気なヤツが体調悪いなら、心配するだろうが」
「……そっかぁ。ふふっ…」
「アリス?」
ふと周りを見る。
私がいつも見る目線よりも少し高い。ハルクはいつもこの高さから見てるんだ。
「久々におんぶされた。楽しい…」
「楽しいって…。おんぶで喜ぶのお前くらいじゃねェ?リンネは絶対に嫌がるぞ」
「リンネは、子供扱いされるの嫌ってるからね。おんぶも小学生になる前にパパにしてもらったのが最後かな」
「カルロとかにやってもらわなかったのか?」
「おんぶはないよ。だっこなら、やってもらったことはあるけど」
「へぇ…」
ハルクの口調がいつもと比べると、優しい気がする。いつもこうならいいのに…。
そしたら、話しやすいのにな。
「ハルク、今日は優しいね…」
「は?オレはいつも優しいだろ」
「いつも意地悪だよ。今みたいに優しいなら、専属執事になっても、いい…の……に」
気づくと、私はまた夢の中に落ちた。
もうしばらくは起きていたかったのにな。だって、こんなに優しいハルクは今だけだもん。私が元気になったら、またいつもの口が悪いハルクに戻ってしまうから。
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