Alice the Witch II





おれには、沢山の使い魔がいて、オス、メスを含めて11匹。しかも、全員目の色が違う。ここまで来ると、全部揃えたくなるよな。
残りは、金色の目を持つヤツ。学園のヤツらもその使い魔を探しているみてーだけど、あまりいねーんだよな。だけど、絶対見つけたら、おれのものにするんだ!契約してたって関係ねー。奪えばいいんだから。うちにいる使い魔もほとんどが他の魔法使いと契約していたのをおれが奪ってきたんだし。

そんな今、珍しく一人で街に来ていた。いつもなら自慢出来そうな使い魔か見目がいいうさぎを横に置いているのだが、今日は連れていたヤツがうざったくなって、捨ててきたところだ。

久しぶりにナンパでもするかな。たまにはうちにはいそうにねータイプのヤツでも。そう考えたおれは、あちこち歩いてみることにした。


お?あいつ、いいんじゃね?
ふとある男に目がいった。そいつはつまんなさそうな顔でベンチに座っていた。顔は悪くねー。むしろ、上玉に入るだろう。隣に並ばせて歩けば、羨ましがられるような容姿だし。

声をかけてみようとした時、そいつが女どもに声をかけられていた。ちぇっ、先に取られたか。そう思いながら見ていた。
が、そいつは興味ねーのか、女には見向きもしねー。その後にも色んな女から声をかけられていたが、まったくなびかない。てか、可愛い女やキレイな女ばっかだったのにな。もったいねー。おれなら即OKして、抱くのに…。

ん?あいつ、使い魔か。よく見れば猫耳があるし、目の色は探していた金色だ。よし。あいつをおれの使い魔にしよう。そう決めると、そいつの元に向かう。



「なあ。おまえ、使い魔だろ?」

「そうだけど」


つまらなさそうな表情から一変、おれを睨みながら、そう答えた。この目、いいな。最近おれのことを睨んで反抗するヤツはいなかったから、ゾクゾクする。こういうヤツをおれの手で快楽に溺れさせてーんだよな。



「おれの使い魔にな…」

「断る」

「おれの使い魔…」

「だから、ならねェよ。それにオレ、もう契約してるし」


そう言って、そいつは契約した証である左手の薬指に印があった。しかも、それはその魔法使いに一生を捧げるという特別な契約。

ずりー。おれでもそんな契約はしたことねーのに。力が弱いヤツらは、おれの力で無理矢理契約させた。それが効かないヤツらは、魔法を使って、おれが上だということを示して、従わせた。

この使い魔と契約したヤツ、一体、どんなヤツだ?よっぽど強いヤツなのか?だよな。金色や銀色の目を持つ使い魔は、力が強いために簡単には手に入らない。魔法使いの魔力が弱いなら、呆気なくやられる。ま、おれは最強だから勝てるけどな!

すると、使い魔のヤツが立ち上がってどこかに行こうとしたから、おれは慌てて行かせまいと、後ろから抱きついた。



「なあなあ!」

「うわぁ!」


抱きつきながら、そいつの身体に触ってみる。
結構良い身体してんじゃん。予想以上だわ。欲しくなっちまった。



「やめろ!触んな。気持ち悪い!離れろ!」

「離したくねー。てか、おれの使い魔になれって」

「お断りだって言ってんだろ!」

「贅沢したくねェ?おまえがおれの使い魔になるなら、一番可愛がってやる。好きなもんも何でも買い与えてやる!金なら沢山あるからな」

「……」


うちは金がある家だ。おれに興味なくても、贅沢が出来るなら、絶対について来る。こいつも頷くはず、と思っていたが、そいつは首を振った。



「興味ねェ。オレ、アイツ以外のところに行く気ねェから」

「贅沢、出来るんだぞ!欲しいものは買ってやる!うまいものも食わせてやる!いいもんも着せてやる!」

「いらねェ」

「はあ!?おれがこんなに言ってんのに、そいつを選ぶわけ?」

「当たり前だっつーの。オレ、贅沢とかしたいわけじゃねェから」

「じゃあ、何のために!?」

「別にいいだろ。お前に話す義理ねェよ」


おれの腕からすり抜け、そいつが駆け出す。慌てて追いかけたが、曲がり角を曲がったら、姿はなくなっていた。おそらく猫の姿になって、逃げたのだろう。こんな人混みでは、猫一匹を見つけることは困難だ。





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