Lady Alice X




翌朝。
台風は行ってしまったのか、空は晴れていた。オレが起きた頃、既にリコリスは起きていて、既に身支度を終えていた。



「はあくん、おはよう」

「はよ。もう起きてたのか」

「アリスに恥ずかしいところは見せられないから!」


リコリスは、朝がすげー弱い。毎日クロッカスに何度も起こされてから、やっと起きるくらいだ。アリスに幻滅されたくねェから、早起きしたんだろう。



「……んで、コイツはまだ寝てんのか」

「ふふっ、可愛いわよね( ^ω^ )」

「本当にアリスにだけ激甘だよな」

「こんな天使に冷たくするなんて、私には出来ないわ。もう可愛いくて、仕方ないの(*/□\*)」


ベッドでは、アリスがまだ眠っていた。そりゃ気持ち良さそうに…。てか、そろそろ起こさねェ。昨日は早めに食ったから、もう腹へったし、何か食いたいしな。



「アリス、起きろ」

「んー。もうちょっと…」


コイツも寝起きが悪い。昔はそんな悪くはなかったんだけどな。一緒に寝ていた時は、オレの方がよく叩き起こされてたし。いつからこんな寝坊助になったんだ?



「アリス!」

「まだ寝るー!」


オレの声がうるさいと感じたのか、布団をかぶりやがった。こんにゃろー。頭にきたオレは、アリスのかぶる布団を無理やり引きはがした。



「いつまで寝てんだ!さっさと起きろ!起きねェと、お前の分の飯、食っちまうからな!」

「や、やだー!だめー!」


ようやくアリスがベッドから起き上がった。オレとリコリスの姿を見て、目をパチパチさせていた。一瞬、わけわからねェ顔してたが、昨日のことを思い出したようだ。



「おはよう。アリス」

「おはよう。リコリスお姉ちゃん」

「朝食を食べに行くから、準備するのよ?ちゃんと待っているから」

「わかった!」


アリスがベッドから降りて、バスルームの方に向かって行く。顔を洗いに行ったんだろう。オレも着替えるか。

その後、三人でホテルのラウンジで朝食を取った。ビュッフェ式だから、食べたいもんを皿に取る。アリスがやたら食い意地をはり、頬を膨らませながら食う姿にリコリスが悶えていた。隣にいたオレに小声で「可愛いリスがいる」と自分の食事そっちのけで、アリスばかりを見ていたし。しかも、スマホで写真まで撮っていたからな。

食べ終えて、部屋に戻ると、リコリスの方にカルロの方から連絡が来たらしく、迎えの車がホテル前に着いたそうだ。少し早いがオレ達は部屋を出て、荷物を持って、ロビーでチェックアウトした。

渋滞もなく、帰りは一時間もかからずに屋敷に帰ってこれた。荷物をアリスとリコリスの部屋に持って行ってから、自分の部屋に向かっていた。すると、急にタスクさんに呼び止められた。



「ハルク。ちょっとツラ貸せ」

「……」


帰って来て早々にタスクさんに捕まった。嫌な予感がする。絶対、これは聞いたんだろう。オレがリコリスとホテルに泊まったのを。アリスもいたけど、タスクさんが気にするのはそこじゃねェ。オレがリコリスと一緒なのが気に入らないのだ。

流石にベッドで一緒に寝たことだけは、バレないようにしねェと。何もなかったけど、普通ベッドで一緒に寝たら、何もないと考えるヤツはいねェしな。オレもそんなの聞いたら、嘘だと思うし。



「昨日、リコリス様とずっと一緒だったのか?」

「一緒です。アリスもいたので、三人ですけど」

「リコリス様に手は出してねェよな?」

「あるわけないでしょ!何度も言いますが、、アイツはダチです。それ以外ねェ!」

「……わかった。信用はする。だけど、もしも、リコリス様に手を出したら、許さないからな!」


そう言って、タスクさんは言いたいことだけ言って去って行った。あの人、マジでリコリスが好きだよな…。マジですげーよ!



だが。

アリスがポロっと失言したことにより、リコリス達と一緒のベッドに寝たことがバレて、そのことにブチ切れたタスクさんにオレは、アイアンクローを喰らうことになった。

あのおしゃべりー!





【END】
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