Lady Alice X




「私ははあくんも一緒でも構わないわよ」

「え!?」

「ほら、リコリスはそう言ってんぞ」

「私は嫌なのー!」


リコリスお姉ちゃんはハルクに対して、甘い気がする。もしもハルクに襲われたら、どうするの!?こうなったら、私がリコリスお姉ちゃんを守らなければ!そう心に誓った。

それから私達は、荷物を部屋に置いて、早めの夕食を取ることにした。ホテル内には何軒か食事するところはあるが、予約をしていないとどこも入れないようだ。そのうちの一つのレストランに入る(実はここもカルロが予約をしてくれていた。感謝しかない。明日の朝食の予約までもしてくれたし。流石は優秀な執事!ハルクとは大違いだよね。明日帰ったら、お礼を言いに行こう!)
注文して、少しして運ばれ、三人でそれぞれ食べる。食べていると、ハルクにちょいちょいおかずを取られたりした。



「ちょっとハルク!私のまで食べないでよ!自分のあるでしょ!」

「残してると思ったから、食べてやってんだよ」


そう言って、私が取っておいたミートボールをフォークで次々刺して、自分の口に入れてしまった。



「あー!」

「今度は何だよ…」


楽しみで最後に食べようと取っていたおかずまで食べたー!怒った私は、ハルクの背中をバシバシ叩いた。



「痛て。何怒ってんだよ、お前は」

「私の好きなものまで食べたー!」

「嫌いなもんじゃねェの?」

「違うもん!最後に食べようとしてたんだもん!」

「普通、好きなもんは最初に食べるだろ?」

「私は最後なの!」


おのれー!ハルクのバカ!絶対に許さないんだから!


「アリス。そんなに怒ってはだめよ。私のを分けてあげるから」

「リコリスお姉ちゃん…」


見かねたリコリスお姉ちゃんが私におかずを分けてくれた。何て優しいお姉ちゃんなんだろう。まるで女神様だね!



「ありがとう。リコリスお姉ちゃん」

「いいのよ。私が好きでやったことなんだから」

「大好き!」

「!!」


お礼を言い、早速、もらったものを食べる。これもおいしいー!
でも、リコリスお姉ちゃん、私が食べてる時にちょっと様子がおかしかったけど、大丈夫かな?ハルクが呆れた顔をしてたけど、もっとリコリスお姉ちゃんに優しくしてあげてよね。

食事を済ませ、飲み物を注いでこようと、ドリンクコーナーに向かう。リコリスお姉ちゃんがついていくと言ったけど、すぐ戻るからと言って断った。
ふとレストランの外がやけに人が多いのが気になって、覗いてみた。

そこはチェックインする人達が待機しているせいか、ロビー内はかなり混雑していた。床は雨のせいでびしょびしょだ。中には転びそうになってる人までいたし。下手すると、私も転ぶかもしれない。部屋に向かうためのエレベーターも列が出来ていて、混んでいた。



「アリス。お前、どこまで飲み物を取りに行ってんだよ」

「ハルク…」


いつの間にか私の背後にハルクがいた。いつまでも席に戻らない私を連れ戻しに来たんだろう。



「人が沢山いるから、気になって…」

「これから台風が来るからな。同じように帰れなくなったから、ホテルを予約したんだろ。ほら、リコリスがお前が帰って来ないって心配してっから、飲み物を取りに行くぞ」


ハルクに手を引かれ、ドリンクコーナーに戻る。紅茶を手にして、席に戻る。ハルクも炭酸系のジュースを持っていた。
リコリスお姉ちゃんにロビーが混雑していることを伝えると、しばらくはレストランに居ようということになった。そうと決まれば、私はデザートを頼もうとメニューとにらめっこしていた。決めて、注文したら、ハルクも別のデザートをちゃっかりと頼んでいた。

デザートを食べ終えて、部屋に戻って来た私とお姉ちゃんは一緒にお風呂に入った。バスルームは広かったから、二人でも入れた。しかし、お姉ちゃんの身体は完璧だった。胸は大きくないけど、形がキレイだし、ウエストは細いし。お尻も形がいい上に小さいし、足も細くてキレイで美脚だし!無駄なお肉なんて、どこにもなかったー。つい羨ましくて、見ていたら、リコリスお姉ちゃんが私の視線に気づく。



「どうしたの?」

「リコリスお姉ちゃんと自分の身体を比べて、ガッカリしてるの。どうしたら、そうなれるの?」

「アリスはそのままでいいのよ。これからが成長期なんだから」

「でも、リコリスお姉ちゃんみたいになりたいもん…」


今の私じゃ子供過ぎて、全然恋愛対象にならない。リコリスお姉ちゃんみたいにキレイなら、リク先生だって振り向いてくれるだろうし。



「アリスのままで見てくれる人はいるわよ」

「いないもん!」

「そんなことないわ。アリスの中身に惹かれている人もいるのよ」

「いないよ。信じられないもん…」


そんな私にリコリスお姉ちゃんは優しく頭を撫でてくれる。私にもいつかそう言ってくれる人がいるのかな?リク先生だったらいいのに…。

身体を拭いて、早速、新しく買ったパジャマは着心地が最高だった。明日から寝る時もこれを着ようかな。鏡を見ながら、自分のパジャマを見ていたら、リコリスお姉ちゃんが言った。



「アリス、似合っているわよ」

「リコリスお姉ちゃんもすごく似合ってるよ!モデルさんみたい!」

「ありがとう。バスルームを出たら、髪やってあげるわ」

「いいのー?ありがとう!」


ハルクも私達の後に軽くシャワーだけ済ませた。リコリスお姉ちゃんに髪をやってもらってる最中にすぐ出てきた。下着は買っていたが、パジャマは買わなかったから、ホテルのバスローブを着ていた。それを見て、私は言った。



「ハルク、バスローブ似合わないね」

「ほっとけ」

「はあくん、白が似合わないせいかしらね」

「あー、そうかもな。白自体あんま着ねェわ」

「爽やかじゃないもんね!」


そう言ったら、ハルクに頬をつねられた。ひどい。本当のこと言っただけなのに!

お部屋で楽しくお喋りしていたら、時間はあっという間に23時を過ぎていた。まだお喋りしていたいのに、私の瞼はどんどんと重くなってきた。見かねたリコリスお姉ちゃんが言った。



「そろそろ寝ましょうか?」

「私、真ん中!」


私がそう宣言すると、二人は私を見る。あれ?おかしなこと言ったかな?



「お前、そんなに真ん中で寝たいのかよ」

「違うよ!ハルクがリコリスお姉ちゃんを襲わないためにだよ!リコリスお姉ちゃんは私が守る!」

「はあ?!襲うわけねェだろ!」

「わかんないもん!リコリスお姉ちゃんはキレイだから」

「アリス。なんて可愛いらしいナイトなのかしら…(*≧з≦)」


リコリスお姉ちゃんが私に勢いよく抱きついて来たので、私はベッドの上に寝転がされた。ベッドが柔らかい。リコリスお姉ちゃんも柔らかいし、良い匂いがする。
はっ!これじゃあ、私が変態じゃないの。



「バカ。オレはそこまで困ってねェし」

「ええ、はあくんはそんなことしないわ。私としては、アリスが心配だわ」

「私?私は平気だよ」

「平気じゃないわ!現に私が襲っているでしょ( ^ω^ )可愛いー!食べちゃうぞー!」


リコリスお姉ちゃんが私を抱きしめる。こんなの襲ったうちに入らないよ。私はベッドの上でリコリスお姉ちゃんと笑い合う。そんな私の反対側にハルクが来る。



「ほら、遊んでねェで寝るぞ」

「ハルク、近い!もっと離れてよー!」


思ったよりハルクが近くて、驚いた。私はハルクを押すが、びくともしない。



「お前の気のせい。てか、もっとそっち行けよ。オレ、お前に蹴られそうだし、あまり端にいてもベッドから落ちんだろ」

「蹴らないよ!」

「お前、寝相悪いからな。昔、よくお前に蹴飛ばされて起こされたことが何度もあるぜ」


そ、んなことは……あった。昔、一緒に寝てたリンネにも言われたことあるんだった。アリスの隣で絶対に寝たくないって。うーん、自分じゃわからないからな。



「二人は仲良しね。さ、電気消して寝ましょうか」

「はーい」


リコリスお姉ちゃんが照明のリモコンでスイッチを押す。すると、明るかった部屋は真っ暗になる。

布団をかけられ、天井を見つめる。すると、すぐに眠気が襲ってきて、気づくと、私は眠りについていた。



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