Lady Alice Ⅵ- III

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その夜、私達はクリスマスパーティーをしていた。リコリスお姉ちゃん達はいない。お姉ちゃん達はお姉ちゃん達でやっている。私達は合同でも良かったけど、お姉ちゃん達は「また今度ね」と言って、そそくさと別の部屋に移動してしまった。

クリスマスパーティーは、6人。仲良しの子達しかいないから、すごく楽しい!食事の前には、プレゼント交換し合った。私がもらったものは、水色のお揃いの手袋とマフラー。可愛い!この別荘で使えそうだ!
その後は食事、デザートを食べながら、皆でお喋りしていた。



「リコリスさん、キレイだねー!」

「あの容姿でしかも、性格までも良いし。あんなお姉ちゃん、欲しかったなー!うちのお姉ちゃんも悪くはないんだけど、リコリスさんは別格だね」

「いいなー。アリスちゃん」

「うん。自慢のお姉ちゃんなんだ!」


自分のお姉ちゃんが誉められるのは、嬉しいな。比べられたくはないけど。

それにしても、ケーキがおいしい!ついつい食べちゃう。うちのお料理もおいしいけど、クラリスのところのお料理もおいしい。やめられない、とまらないー!



「お前の食ってるケーキ、うまそうだな。ちょっと食わせろ」

「ちょっと!私、まだ食べてるのにー!」

「……うまっ。やっぱ違ェな」


配膳中の使用人が勝手に私のケーキを食べた!しかも、私が使ってるフォークを奪って。



「あー!!ケーキ泥棒!」

「バカ。耳元で叫ぶな」

「私のケーキ、食べるからでしょ!返してよー!」


ハルクの背中をばしばし叩いても、「もう食ったからねェし」って、全然悪びれもしない。私に謝りもしないんだけど!おのれー!



「さっきから色々と食ってんだろ。お前、運動しないんだから、すぐブタになるぞ」

「ブタ!?」


ハルクめー。女の子に向かって、ひどい言葉を言うなんて!最低だ!



「食い過ぎるだろうから、これはオレがもらってやるよ」

「あ!最後にとっておいたケーキ。それ、まだ食べてないんだから」

「お前はもう食べるのはやめとけ。屋敷にいる時もよく食い過ぎて、腹壊すんだから」


そう言い、使った食器と共に私のケーキまで持って行かれた。もう!何でハルクがこっちに来るんだー!カルロだったら良かったのに!



「アリスちゃん。あの執事さんと仲良いんだね!」

「仲良くないよ!私に意地悪ばっかだし!」

「うちも使用人に若い人もいるけど、あんな風に親しい人いないもん。しかも、イケメン」

「うちもそう。少し距離があるよね」

「向こうからしたら、仕事だし。立場も違うからね」

「そうなの?」


皆が頷く。物心ついた時から、こうだったから。今更、変えるなんて出来ない。というか、ハルクは初めからあんな感じだし。

以前、私が生まれる前からうちで働いている他の使用人達に、うちに来た当初のハルクについて聞いてみると、何故か皆、口を濁す。だから、昔から居てくれるママ専属の侍女のマリアンヌにもハルクのことを聞いてみたら、「彼をあんな風にしたのは、アリスお嬢様ですよ?」と言われた。そう言われてもよく覚えてないよ。
だって、ハルクがうちに来たのは───なんだったっけ?思い出せない!



「そうだ。皆でお風呂に入らない?ここのお風呂、大きいんだよ!露天風呂もあるし」

「入りたい!入ろう!」

「うん!賛成!!」

「よし。皆、私について来て!着替えもあるから、取りに行かなくていいから」


それから、皆でお風呂に入った。バスルームも広くて、つい騒いでしまった。私達しかいないから怒られは、しなかったけど。

部屋に戻ると、リコリスお姉ちゃんはいない。まだセシリアさん達と一緒なのかな?

もう眠いから、先に寝ることにした。





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