Lady Alice Ⅴ
……………
…………
………
……
…
「……うーん、何か物足りねェ」
その夜。
最初は静かでいいと思ってたけど、アリスがいねェと、張り合いなくてつまんねェ。部屋で漫画読んでても、邪魔されないから、すぐ読み終わっちまったし。
そういえば、アイツ、どっかに漫画を隠してんだよな。こそこそとしてたの何回か見たことあったし。いない間に探してみるか。
おっと。その前にリコリスんとこに行かねェと。さっき、渡すように頼まれてたんだった。
アリスの部屋を出て、リコリスの部屋に向かう。
食事時に顔を見た時はいつも通りを装っていたが、リコリス、人前では上手く演じるからな。内面を見せねェようにするのも上手いから、ほとんどのヤツらは気づかないだろう。クロノやカルロ辺りは見抜いてそうだけど。
部屋に来たら、案の定、リコリスは暗い顔で塞ぎ込んでた。何も知らないヤツが見たら、体調が悪いのかと思うだろう。
タスクさんが見たら、絶対に慌てるだろうな…。だが、これは体調面に関しては問題はねェ。
「リコリス」
「はあくん。私、もうだめだわ…。アリスが一週間も家にいないなんて耐えられない!」
「仕方ねェだろ。学園の行事なんだし」
「今までは大変でも、家にアリスがいたから頑張れたわ。だけど、今は私の癒し的存在のアリスがいないのよ!?頑張れるわけないじゃない。アリス、お願いだから今すぐに帰って来て…」
「帰って来るわけないだろ。アイツ、すげー楽しみにしてたんだから」
そう答えると、リコリスは「そうよね…。それは知っているけれど」とため息をつく。
アリスいねェだけで、そんなにもモチベーションが違うのかよ。
「もうこうなったら、私も旅行に行こうと考えているのよ。行き先は、当然アリスのところ。修学旅行の冊子は昨日見せてもらったから、頭には入っているわ。スケジュールも全部ね。アリスには偶然を装って、近づかなくちゃ…」
「おいおいおいおい。絶対に止めろ。アリスも驚くから」
「はあくん。勿論ついてきてくれるわよね?私達はアリス見守り隊の仲間なんだから!」
「そんなのに入会した覚えはねェから。ったく、たかが一週間だけだろ?」
「一週間が長いのよ!今までは何とも思わなかったけれど、今は一日が長すぎる。早くアリスを摂取しなければ、私が持たない…」
禁断症状かよ。やべー薬をやってるヤツみたくなってんな、リコリスは。
てか、リコリスと二人で旅行なんか行ったら、リコリスの恋人に間違われるじゃねェか。前から使用人達の間で噂になってんだから。リコリスがオレばかり呼ぶのが問題なんだけど。否定しても、今でも疑ってるヤツらがいるし。中にはオレがアリスとリコリスを二股してるのか?…とか聞いてくるヤツまでいるんだぞ。
タスクさん、絶対にまたオレを睨んでくるな。
見かねたオレは仕方なく、スマホを取り出して、操作する。確か、あの動画があったよな。あ、これだ。
「これでも見て落ちつけ」
「え?……アリスの動画!」
前に暇だったから、寝てるアリスにカメラを向けて、何をしたら起きるかとイタズラした。アリスは寝るとなかなか起きないから、苦戦したんだよな。リクの声色を真似たら、即起きて、必死に身だしなみを直してたな。
オレだとわかったら、すげー怒ってしばらく口すらきいてくれなかったけど。
「可愛い。やっぱり天使だわ…」
「天使?どこが?どっちかっていうと怪獣だろ…」
既に動画を何回も見て、映っているアリスにうっとりするリコリス。今は寝顔のところで静止してるもんな。すると、自分のスマホを取り出して、アリスの寝顔をカメラにして撮る。
パシャ。
「寝顔だけで飽きねェの?」
「全然。いつまでも見ていられるわ。天使の寝顔、最高。昨日も間近で見ていたけれど、もう幸せだったわ。毎日一緒に寝たいくらいよ…」
「……」
「本当に可愛いわ…」
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ…
……いや、アリスの寝顔だけで何十枚、撮るんだよ!もういいだろう。
「どれだけ撮ってんだよ!」
「だって、可愛いんだもの。それに今のアリスは今だけなのよ!今しか会えないから、沢山撮るの」
「一枚でいいだろ…」
「全然足りないわ!!それよりもはあくん!私の持ってないアリスの写真や動画、まだ持っているでしょ!?全部見せて!」
「そんな持ってねェよ、オレも」
すると、リコリスはオレのスマホを操作して、画像をチェックし出す。……って、やべェ!見られたくねェのがあったんだ!
「リコリス!オレのスマホを返せ」
「あー!アリスの画像が沢山ある!」
「それはアイツに言われて、撮ったんだよ。消すの忘れてただけで…」
「撮ったのは、春頃と夏頃じゃない!気に入ってたから、撮っておいたんでしょ。私にも全部送って!あら、このアリス、可愛い。新しい洋服を買ったのね!似合うわ!アリスに着られるために生まれた洋服なのね。こっちのは怒った顔してる。笑顔が一番だけど、どんな顔していても、可愛さは変わらない。最高だわ!」
アリスの画像を見ながら、うっとりするリコリス。もうオレ、相手するのはしんどい。アリス、頼む。早く帰って来てくれ!
その後、オレのスマホの画像、動画を全部見られた。見られたくなかったモノまでリコリスに見られた。誰にも言うつもりはないと言ってたけど。リコリスなら言わないとは思うが……はあ。
てか、疲れた…。取り合えず、当初の目的を果たして、リコリスの部屋を出た。何とか落ちつかせたけど、またすぐにリコリスは塞ぎ込むに違いない。
油断すると、本当にアリスのところに行きかねないしな。注意して見ておかねェと。
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「……うーん、何か物足りねェ」
その夜。
最初は静かでいいと思ってたけど、アリスがいねェと、張り合いなくてつまんねェ。部屋で漫画読んでても、邪魔されないから、すぐ読み終わっちまったし。
そういえば、アイツ、どっかに漫画を隠してんだよな。こそこそとしてたの何回か見たことあったし。いない間に探してみるか。
おっと。その前にリコリスんとこに行かねェと。さっき、渡すように頼まれてたんだった。
アリスの部屋を出て、リコリスの部屋に向かう。
食事時に顔を見た時はいつも通りを装っていたが、リコリス、人前では上手く演じるからな。内面を見せねェようにするのも上手いから、ほとんどのヤツらは気づかないだろう。クロノやカルロ辺りは見抜いてそうだけど。
部屋に来たら、案の定、リコリスは暗い顔で塞ぎ込んでた。何も知らないヤツが見たら、体調が悪いのかと思うだろう。
タスクさんが見たら、絶対に慌てるだろうな…。だが、これは体調面に関しては問題はねェ。
「リコリス」
「はあくん。私、もうだめだわ…。アリスが一週間も家にいないなんて耐えられない!」
「仕方ねェだろ。学園の行事なんだし」
「今までは大変でも、家にアリスがいたから頑張れたわ。だけど、今は私の癒し的存在のアリスがいないのよ!?頑張れるわけないじゃない。アリス、お願いだから今すぐに帰って来て…」
「帰って来るわけないだろ。アイツ、すげー楽しみにしてたんだから」
そう答えると、リコリスは「そうよね…。それは知っているけれど」とため息をつく。
アリスいねェだけで、そんなにもモチベーションが違うのかよ。
「もうこうなったら、私も旅行に行こうと考えているのよ。行き先は、当然アリスのところ。修学旅行の冊子は昨日見せてもらったから、頭には入っているわ。スケジュールも全部ね。アリスには偶然を装って、近づかなくちゃ…」
「おいおいおいおい。絶対に止めろ。アリスも驚くから」
「はあくん。勿論ついてきてくれるわよね?私達はアリス見守り隊の仲間なんだから!」
「そんなのに入会した覚えはねェから。ったく、たかが一週間だけだろ?」
「一週間が長いのよ!今までは何とも思わなかったけれど、今は一日が長すぎる。早くアリスを摂取しなければ、私が持たない…」
禁断症状かよ。やべー薬をやってるヤツみたくなってんな、リコリスは。
てか、リコリスと二人で旅行なんか行ったら、リコリスの恋人に間違われるじゃねェか。前から使用人達の間で噂になってんだから。リコリスがオレばかり呼ぶのが問題なんだけど。否定しても、今でも疑ってるヤツらがいるし。中にはオレがアリスとリコリスを二股してるのか?…とか聞いてくるヤツまでいるんだぞ。
タスクさん、絶対にまたオレを睨んでくるな。
見かねたオレは仕方なく、スマホを取り出して、操作する。確か、あの動画があったよな。あ、これだ。
「これでも見て落ちつけ」
「え?……アリスの動画!」
前に暇だったから、寝てるアリスにカメラを向けて、何をしたら起きるかとイタズラした。アリスは寝るとなかなか起きないから、苦戦したんだよな。リクの声色を真似たら、即起きて、必死に身だしなみを直してたな。
オレだとわかったら、すげー怒ってしばらく口すらきいてくれなかったけど。
「可愛い。やっぱり天使だわ…」
「天使?どこが?どっちかっていうと怪獣だろ…」
既に動画を何回も見て、映っているアリスにうっとりするリコリス。今は寝顔のところで静止してるもんな。すると、自分のスマホを取り出して、アリスの寝顔をカメラにして撮る。
パシャ。
「寝顔だけで飽きねェの?」
「全然。いつまでも見ていられるわ。天使の寝顔、最高。昨日も間近で見ていたけれど、もう幸せだったわ。毎日一緒に寝たいくらいよ…」
「……」
「本当に可愛いわ…」
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ…
……いや、アリスの寝顔だけで何十枚、撮るんだよ!もういいだろう。
「どれだけ撮ってんだよ!」
「だって、可愛いんだもの。それに今のアリスは今だけなのよ!今しか会えないから、沢山撮るの」
「一枚でいいだろ…」
「全然足りないわ!!それよりもはあくん!私の持ってないアリスの写真や動画、まだ持っているでしょ!?全部見せて!」
「そんな持ってねェよ、オレも」
すると、リコリスはオレのスマホを操作して、画像をチェックし出す。……って、やべェ!見られたくねェのがあったんだ!
「リコリス!オレのスマホを返せ」
「あー!アリスの画像が沢山ある!」
「それはアイツに言われて、撮ったんだよ。消すの忘れてただけで…」
「撮ったのは、春頃と夏頃じゃない!気に入ってたから、撮っておいたんでしょ。私にも全部送って!あら、このアリス、可愛い。新しい洋服を買ったのね!似合うわ!アリスに着られるために生まれた洋服なのね。こっちのは怒った顔してる。笑顔が一番だけど、どんな顔していても、可愛さは変わらない。最高だわ!」
アリスの画像を見ながら、うっとりするリコリス。もうオレ、相手するのはしんどい。アリス、頼む。早く帰って来てくれ!
その後、オレのスマホの画像、動画を全部見られた。見られたくなかったモノまでリコリスに見られた。誰にも言うつもりはないと言ってたけど。リコリスなら言わないとは思うが……はあ。
てか、疲れた…。取り合えず、当初の目的を果たして、リコリスの部屋を出た。何とか落ちつかせたけど、またすぐにリコリスは塞ぎ込むに違いない。
油断すると、本当にアリスのところに行きかねないしな。注意して見ておかねェと。
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