Lady Alice Ⅴ




アリスが今日から修学旅行で、一週間屋敷にいない。アイツ、数日前からカレンダー眺めながら、すげーニヤニヤしてたし。鞄に必要なモンを詰めながら、鼻歌を歌ってたな。
相変わらず下着は、お子様っぽいのばっかだったけどな。それを指摘したら、アイツ、オレに向かって、物を投げつけてきやがった。本当のことを言っただけだろ。

来年で中学生になるんだよな?少しは大人っぽくなったりは出来……ねェな。アリスだし。周りのヤツとか見て感じねェのか?

朝に学園まで荷物持ちに付き合わせられた時、アイツのクラスメイトとか見たけど、結構大人びてたガキが多かったな。ここに通っているのは金持ちの令嬢ばかりだし、それもあんだろうけど。
アリスも外見だけなら、ちゃんとしたお嬢様に見えるけど、中身はお子様だもんな。

さて、学園まで届けたし、屋敷に帰るか。アイツは友達のところに向かったし。オレはもう用済みだろう。車に戻ろうと歩き出した時、アリスがこちらに向かって叫ぶ。



「ハルク、ありがとう。行ってくるねー!」

「おう、行ってこい。うまいもんばっか食い過ぎて、腹壊すなよ?」

「しないもん!」

「どうだかな…」


オレは背を向けたまま、手だけを振って歩き出す。

しばらくの間、屋敷にアリスはいない。そうなると、リコリスは大丈夫か?昨日の夜、久しぶりにアリスと一緒に寝てたけどな。顔がニヤニヤしてたんだよな…。あれは相当喜んでたに違いねェ。




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