Lady Alice Ⅳ
今日はうちでグループの課題をやることになった。グループの子達は、6人全員女の子だ。うちの学園は女子校だし。
クラリスはうちによく来ているからわかっているけど、それ以外の子達はうちに来るのは初めてだ。
お昼休みに家には連絡はしておいたから、問題はないと思うけど。
お迎えの車もいつもとは違う。クラスの子達も乗るから、大きい車だ。
車内は皆と話していたら、あっという間に屋敷に着いた。運転してくれたノリさんにお礼を言って、車を降りようとする。
だが、私が開ける前にドアが開き、そこにカルロが待っていた。
「おかえりなさい。アリス」
「ただいま!」
「おや、クラリス様。お久しぶりですね」
「お久しぶりです!カルロさん」
カルロは私の隣にいたクラリスに話しかける。それから、他の子達の姿を見て、微笑む。
「他の皆さんは、初めて見る顔ですね。焦らずゆっくりと車から降りてください。降りる際は、僕が手をお貸しますので」
「「「はい…」」」
あれ?皆が顔を赤くしながら、カルロを見つめている。なんでだろう?
不思議に思っていると、カルロに軽く肩をたたかれる。
「アリス。あなたが降りないと、皆さんが降りられませんよ」
「あ、ごめんなさい!今降りるね」
「アリス。手を」
カルロの手を借りて、車から降りる。本当は手を借りなくても平気だったけど、カルロの機嫌を損ねちゃうから。
それから全員が車から降りた。三人共、カルロを見て、ポーっとなっている。
「改めまして。ようこそ。パルフェ家へ。皆さんのご来訪を歓迎致します」
「……」
皆がカルロを見て、言葉を失っている。おそらくあの笑顔にやられたに違いない。うちに何度も来たことあるクラリスでさえも「カルロさん、素敵…」と呟いていたから。
カルロはお客様がうちに来ると、毎回営業用の笑顔を見せている。こういう時は役に立つんだよね。特に女の人のウケはいい。今回でも立証された。女の子にもウケはいいことが!
「それでは、皆さんを部屋までご案内致します。ついて来てくださいね」
「はい!」
「ずっとついていきます!」
皆がカルロの後を喜んでついていく中、一人冷静な子がいた。フランちゃん。正しくはフランボワーズという名前だけど、省略して呼んでいる。ショートカットにスラッとした体型はモデルみたいに細い。
彼女はカルロを見ても普通だった。いや、むしろ冷めているようにも見えた。
「フランちゃん」
「……なに?」
「皆、行っちゃったよ。行こう?」
「……ええ、そうね」
フランちゃん、クールだな。かっこいいし、羨ましい。私も常にこう冷静でいたい。
こんなことをハルクに言ったら、無理だってバカにされそうだけど。
カルロの案内で、課題が出来る部屋に私達は向かっている。私の部屋でやるには狭いし。どうせなら、広いところでやる方が良い。
早速、部屋に到着し、カルロがドアを開けると、皆に「どうぞ」と声をかけ、入るように促す。私が最後に入ってから、カルロが言う。
「アリス。少ししてから、お菓子を持って行きますから」
「うん。わかった。お願い」
返事をして、カルロが再び皆に声をかける。
「それでは僕はこれで。どうぞ、これからもアリスと仲良くしてくださいね。お勉強、頑張ってください。失礼致します」
一礼して、ドアを閉めて、カルロが去ってく。すると、その中のマリアちゃんが大きな声で言う。
「かっこいいー!」
「うん!うちにもあんなイケメンの執事が欲しい!」
「ドラマや漫画だけだと思っていたら、現実にもいるんだね!」
「イケメン、最高!」
「やっぱり年上の人は頼りがいありそう」
「付き合うなら、あんな余裕がある人がいいよね!」
「あんた、今自分の彼氏と比べたでしょ?」
「もちろん」
「どっちがいい?今の執事さんと彼氏」
「そんなの決まってるじゃない。執事さん」
「彼氏じゃないの!?」
三人がカルロを見ながら、色々と話すのを見て、ポカーンとなる私。
確かに年上が良いのはわかる!それだけはわかるよ!私にも。……………でも。
「アリス。どうかした?」
「クラリス。カルロはイケメン執事に入るのかな…?」
隣にいるクラリスに思わずたずねると、何故か呆れていた。
「当たり前でしょ。カルロさん、かっこいいじゃない!私、いつもアリスのお屋敷に来る度に思うもの」
「へぇ…」
クラリスもそう思っていたのか。
まあ、クラリスは惚れやすいところもあるからね。今は芸能人の……なんて言ったっけ?アイドルグループの誰かにハマっていたはずだ。
「…ねぇ、そろそろ課題やらない?そのためにアリスの家に来ているんだし」
「そうね。課題を終わらせなくちゃよね」
フランちゃんに言われ、皆がそれぞれの席について、鞄から必要なものを取り出す。
それから皆で課題をやり始めた。話し合いながら、レポートを書いていく。大変だけど、やりがいはあるな。一人じゃないのもあるけど。
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