Licoris's Daily Life
………
……
…
学園に登校して、授業を受けていた。
皆の憧れの存在であるリコリスの姿にうっとりする者も多数いたが、彼女自身、まったく授業に集中出来ないでいた。
(あー、今日はダメだわ。天使の顔を見られなかったから、全然集中出来ない…)
リコリスは、教師にバレないようスマホを取り出して、画面をタッチする。そこには、自分とアリスで映った写真が映し出されていた。
(可愛い。私の天使!でも、やっぱり実物に会えないと、元気が出ないわね…)
思わずため息をついてしまう。
(早く会いたい。授業終わったら、一目散に帰りましょう!)
そんなリコリスを見た他の生徒達は、物憂げな彼女を見て、美しいと思っていた。彼女がスマホを見て、ため息をつく姿すらも他の者からしたら、思わず見とれてしまうほどに。隣に座る生徒からスマホの画面はハッキリと見えないが、誰かと映っているのだけ見てしまった。それが悩んでいるようにも見え、はたまた恋しているようにも見えたようだ。
実際は妹の写真を見ているだけなのだが。
表にはそんな姿、微塵も感じさせないところが彼女のすごいところでもある。
ようやく本日の授業を終えて、リコリスが帰る準備をしていた。
(早く家に帰って、アリスを補充しないとだわ。今日は金曜日だから、アリスももう帰っているはず。急がなくちゃ。待っていて…!)
鞄を持ち、帰ろうとする。
だが、そんなリコリスを引き止める者達がいた。
「リコリスさん」
「レアルさん。何か御用かしら?」
「この後は空いてますか?皆さんでお茶をすることになったので、リコリスさんもどうかと思いまして」
「ごめんなさい。今日は先約が入っているの。また今度、誘ってくれます?」
「そうですか。それならば、仕方ないですわ」
「ええ、また今度。ごきげんよう」
「ごきげんよう」
今度こそリコリスは鞄を持って、優雅に教室を立ち去る。本当は廊下を走りたいくらい急いでいるが、人目があるため、しないでいた。
(危なかったわ。レアルさん達のグループは、恋愛脳ばかりの人達だから、恋人も婚約者もいない私にやたら恋愛を薦めてくるのよ。今までも色んな男性を紹介されたりもしたし。それぞれの方と少し話したけど、誰も好きになれかったわ!)
知人達とすれ違いながらも、にこやかに挨拶するリコリス。
(それに付き合うとか全然考えたことないのよ。私にはアリスがいれば、幸せだし。アリスのような男性がいれば、別だけど。いるわけないわよね)
試しにアリスに似た男性を思い浮かべてみるが、全然好きにはなれなかった。全然違うとなり、やはり妹と男性は、違うものと考えたらしい。
迎えの車が屋敷に到着し、運転してくれた運転手に礼を告げてから、車から降りる。
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
玄関にいた使用人達に声をかけ、靴を脱ぎ、スリッパに履き替えてから上がる。
自分の部屋に向かおうと廊下を歩いていた時、背後からパタパタと足音がした。
そして、その人物はリコリスの姿を見て、声をかける。
「あ、リコリスお姉ちゃん!」
(この声は…!!)
その声を聞いたリコリスは、すぐに振り返る。いたのは、リコリスが一番会いたかった妹であるアリスの姿。しかも、着ていた服が昔リコリスが着ていたお気に入りのワンピース。着れなくなり、アリスに譲り渡した。それをアリスが着ていたのだ。
(私の着ていたワンピースを!アリスが、天使が着ている!!しかも、超似合ってるわ!)
「おかえりなさい」
「ただいまー!」
アリスがリコリスに抱きついて来たから、リコリスも妹を抱き返す。
(あーん。帰って来てすぐアリスに会えるなんて( *´艸)最高!私の服を着たアリスを見られるし。後で写真を沢山撮らなくちゃ(*´Д`)このまま時間が止まればいいのに…(*´∀`*))
アリスを抱きしめながら、リコリスがニヤニヤする。その顔は、普段見せるものとは比べられないほどにヤバかった。この顔をリコリス信者が見てしまったら、おそらくリコリスのイメージは壊れてしまうだろう。
「リコリス、顔」
「あら、はあくん。いたの?」
「最初からいた。本当にアリスしか見えてねェな、お前」
「ふふ、そんなことないわよ」
ニヤニヤするリコリスにハルクが若干引く。
リコリスとしては、もう少しアリスに抱きついていたかったが、アリスの顔も見たいので、名残惜しみながらも離れた。
「リコリスお姉ちゃん。明日、一緒にお菓子作る約束したよね?私、帰りに本屋さんに寄ってもらって、お菓子作りの本を買って来たんだ!この中から何を作るか、一緒に見ようよ!」
「もちろんよ。その前に着替えて来るから、部屋で待ってて。すぐ行くから」
「うん!じゃあ、先に行って待ってるね!」
そう言って、アリスが走り去って行く。リコリスは笑顔で手を振る。
アリスの姿が見えなくなった後、ハルクもアリスの後を追おうとしたが、リコリスによって、腕を掴まれてしまった。
「はあくん、見た!?あの天使の笑顔!!もう至近距離であんなのを見せられたら、眩しくて目を開けていられない!それくらいの威力があったわ!」
「それはお前だけだ。オレにはただアリスが嬉しそうにお前に話していただけだから」
「えー。それだけじゃないわよ!はあくんなら、この気持ちはわかってくれると思っていたのに…。はあくんは、私の仲間でしょ!もっと喜んでよ!」
「仲間じゃねェからな!ほら、早く着替えねェと、アリスを待たせることになるぞ。いいのか?」
「そうだったわ!急がなくちゃ!」
リコリスは慌てて自分の部屋に戻り、ハルクはアリスの部屋に向かった。
その後。
すばやく着替えたリコリスは、アリスの部屋に行き、お菓子作りの本を一緒に見ながら、明日何を作るかを話していた。心では、くるくると変わるアリスの表情に可愛い!天使!と叫んでいた。
時折、ハルクが茶々を入れたりしながらも、楽しい時間を過ごす。
それは夕食に呼ばれるまで、続いた。
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学園に登校して、授業を受けていた。
皆の憧れの存在であるリコリスの姿にうっとりする者も多数いたが、彼女自身、まったく授業に集中出来ないでいた。
(あー、今日はダメだわ。天使の顔を見られなかったから、全然集中出来ない…)
リコリスは、教師にバレないようスマホを取り出して、画面をタッチする。そこには、自分とアリスで映った写真が映し出されていた。
(可愛い。私の天使!でも、やっぱり実物に会えないと、元気が出ないわね…)
思わずため息をついてしまう。
(早く会いたい。授業終わったら、一目散に帰りましょう!)
そんなリコリスを見た他の生徒達は、物憂げな彼女を見て、美しいと思っていた。彼女がスマホを見て、ため息をつく姿すらも他の者からしたら、思わず見とれてしまうほどに。隣に座る生徒からスマホの画面はハッキリと見えないが、誰かと映っているのだけ見てしまった。それが悩んでいるようにも見え、はたまた恋しているようにも見えたようだ。
実際は妹の写真を見ているだけなのだが。
表にはそんな姿、微塵も感じさせないところが彼女のすごいところでもある。
ようやく本日の授業を終えて、リコリスが帰る準備をしていた。
(早く家に帰って、アリスを補充しないとだわ。今日は金曜日だから、アリスももう帰っているはず。急がなくちゃ。待っていて…!)
鞄を持ち、帰ろうとする。
だが、そんなリコリスを引き止める者達がいた。
「リコリスさん」
「レアルさん。何か御用かしら?」
「この後は空いてますか?皆さんでお茶をすることになったので、リコリスさんもどうかと思いまして」
「ごめんなさい。今日は先約が入っているの。また今度、誘ってくれます?」
「そうですか。それならば、仕方ないですわ」
「ええ、また今度。ごきげんよう」
「ごきげんよう」
今度こそリコリスは鞄を持って、優雅に教室を立ち去る。本当は廊下を走りたいくらい急いでいるが、人目があるため、しないでいた。
(危なかったわ。レアルさん達のグループは、恋愛脳ばかりの人達だから、恋人も婚約者もいない私にやたら恋愛を薦めてくるのよ。今までも色んな男性を紹介されたりもしたし。それぞれの方と少し話したけど、誰も好きになれかったわ!)
知人達とすれ違いながらも、にこやかに挨拶するリコリス。
(それに付き合うとか全然考えたことないのよ。私にはアリスがいれば、幸せだし。アリスのような男性がいれば、別だけど。いるわけないわよね)
試しにアリスに似た男性を思い浮かべてみるが、全然好きにはなれなかった。全然違うとなり、やはり妹と男性は、違うものと考えたらしい。
迎えの車が屋敷に到着し、運転してくれた運転手に礼を告げてから、車から降りる。
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
玄関にいた使用人達に声をかけ、靴を脱ぎ、スリッパに履き替えてから上がる。
自分の部屋に向かおうと廊下を歩いていた時、背後からパタパタと足音がした。
そして、その人物はリコリスの姿を見て、声をかける。
「あ、リコリスお姉ちゃん!」
(この声は…!!)
その声を聞いたリコリスは、すぐに振り返る。いたのは、リコリスが一番会いたかった妹であるアリスの姿。しかも、着ていた服が昔リコリスが着ていたお気に入りのワンピース。着れなくなり、アリスに譲り渡した。それをアリスが着ていたのだ。
(私の着ていたワンピースを!アリスが、天使が着ている!!しかも、超似合ってるわ!)
「おかえりなさい」
「ただいまー!」
アリスがリコリスに抱きついて来たから、リコリスも妹を抱き返す。
(あーん。帰って来てすぐアリスに会えるなんて( *´艸)最高!私の服を着たアリスを見られるし。後で写真を沢山撮らなくちゃ(*´Д`)このまま時間が止まればいいのに…(*´∀`*))
アリスを抱きしめながら、リコリスがニヤニヤする。その顔は、普段見せるものとは比べられないほどにヤバかった。この顔をリコリス信者が見てしまったら、おそらくリコリスのイメージは壊れてしまうだろう。
「リコリス、顔」
「あら、はあくん。いたの?」
「最初からいた。本当にアリスしか見えてねェな、お前」
「ふふ、そんなことないわよ」
ニヤニヤするリコリスにハルクが若干引く。
リコリスとしては、もう少しアリスに抱きついていたかったが、アリスの顔も見たいので、名残惜しみながらも離れた。
「リコリスお姉ちゃん。明日、一緒にお菓子作る約束したよね?私、帰りに本屋さんに寄ってもらって、お菓子作りの本を買って来たんだ!この中から何を作るか、一緒に見ようよ!」
「もちろんよ。その前に着替えて来るから、部屋で待ってて。すぐ行くから」
「うん!じゃあ、先に行って待ってるね!」
そう言って、アリスが走り去って行く。リコリスは笑顔で手を振る。
アリスの姿が見えなくなった後、ハルクもアリスの後を追おうとしたが、リコリスによって、腕を掴まれてしまった。
「はあくん、見た!?あの天使の笑顔!!もう至近距離であんなのを見せられたら、眩しくて目を開けていられない!それくらいの威力があったわ!」
「それはお前だけだ。オレにはただアリスが嬉しそうにお前に話していただけだから」
「えー。それだけじゃないわよ!はあくんなら、この気持ちはわかってくれると思っていたのに…。はあくんは、私の仲間でしょ!もっと喜んでよ!」
「仲間じゃねェからな!ほら、早く着替えねェと、アリスを待たせることになるぞ。いいのか?」
「そうだったわ!急がなくちゃ!」
リコリスは慌てて自分の部屋に戻り、ハルクはアリスの部屋に向かった。
その後。
すばやく着替えたリコリスは、アリスの部屋に行き、お菓子作りの本を一緒に見ながら、明日何を作るかを話していた。心では、くるくると変わるアリスの表情に可愛い!天使!と叫んでいた。
時折、ハルクが茶々を入れたりしながらも、楽しい時間を過ごす。
それは夕食に呼ばれるまで、続いた。
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