特別番外編3
「あー!こないだのおにーちゃんだ!!」
「え?」
数ヶ月後。
友達の家に遊びに来た時、迷子になったあの女の子と再会した。オレを見るなり、手をブンブン振っていた。相変わらず可愛いな!その隣にはその子が大好きな姉も一緒にいた。相変わらず手を繋いでるから、仲良しなんだろう。
「こんにちは。兄のお友達だったんですね」
「え、じゃあ、二人はドラの妹?」
「はい」
「そうだよー!」
マジかよ。ドラの妹!?アイツ、すげー口悪いのに、二人は兄とは全然似てねェな。
「改めまして、私はアリスといいます。こちらは妹の…」
「リコリスー!おにーちゃんは?」
「タスク」
「タスクー?うん、おぼえたー!」
可愛い。てか、リコリスって言うのか。名前までも可愛いな。心の中で悶えていると───
「アリス!」
「ハルク。何?」
姉のアリスを呼びに来た男が話していた。ソイツもアリスと同じくらいか?中坊?
すると、リコリスがいつの間にかオレの傍に来て、服を引っ張った。
「タスクー。あれが“やから”なの!」
「やから?……あ」
前にそんな話をしてたっけ?二人を観察してみる。確かに仲良くは見えるな。でも…。オレから見ると、アリスの方は普通だ。どっちかというと、男の方が好意あるように見えんな。すげー口悪く言ってるけど、あれは素直になれねェタイプだな。
「リコね、はあくんのこともすき。でも、アリスおねえちゃんはわたしたくないの!アリスおねえちゃんは、リコがしあわせにするから」
「………え?」
「リコ……ううん。わたしがアリスおねえちゃんのおうじさまになるんだもん!」
姉の王子様になる?
この子は、かなり変わった女の子だ。
「リコリスはお姫様になりたくねェの?」
「ううん。リコがなりたいのは、“おうじさま”なの。おうじさまは、おひめさまといつまでもしあわせにくらすから」
マジで変わった子だわ。王子様になりたいだなんてな…。これくらいの子なら、お姫様に憧れるのに。
「だから、タスク。きょうりょくしてね?」
「何を?」
「リコとアリスおねえちゃんがいっしょになるためのきょうりょく!いっしょにはあくんをおねえちゃんからひきはなすの!」
「……わかった」
「えへへ!きょうからタスクは、リコのおなかまだよ!」
ここは素直にリコリスに協力しよう。まずはこの子と仲良くなることから始めないと、オレの恋も始まらないんだから。
【END】
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