特別番外編3




今日は天気が良かったから、公園内で昼寝をしていた。オレのいる場所は、あまり人が来ないから、静かだった。芝生の上に寝転がる。快適、快適!



「……っく、ひっく…おねえちゃん…どこ?」


うとうとしていた時、どこかで子供の泣いてる声が聞こえた。耳をすましてみるが、声はしない。

なんだ。気のせいかと考え、再び寝ようとした。



「ひっく…アリスおねえ、ちゃん…」


気のせいじゃねェ。どこかで子供が泣いてる。どこだ?身体を起こして、辺りを見渡す。と、草むらのところで小さい女の子が泣いていた。



「大丈夫か?」

「……っ」


声をかけると、その子供が顔を上げた。泣くのを忘れて、キョトンとしていた。
可愛い。すげー可愛いし。てか、変だな。オレ、ガキを見ただけで、こんな胸がドキドキしたことなんかねェのに…。



「……じゃない」

「え?」

「お姉ちゃん、じゃない…っ!うわーん!」


オレの顔を見るなり、その女の子は再び泣き出してしまった。これ、端から見ると、オレが泣かせてるように見えるよな?流石にそれは困る。誰かに見つかれば、通報案件だ。

ハンカチを渡し、何とか女の子を泣き止ませた後、詳しい話を聞いてみることにした。



「誰と来たの?」

「アリスおねえちゃん…」


ソイツとはぐれちまったのか。今頃、その姉も探し回っているとは思うけど。



「その姉ちゃんも探してると思うから、探しに行くか?」

「アリスおねえちゃんにあえる?」

「会える。オレと一緒に探すか?」

「……うん!」


その子と手を繋ぎ、公園内を歩いてみるが、なかなかそれらしい子は見つからない。この子に姉ちゃんの特徴について、髪型やどんな格好してるかを聞いてみたんだけど…。



「アリスおねえちゃんはね、やさしくてかわいいの!きょう、きてるおようふくもリコとおなじいろでね…」

「お姉ちゃんが好きなんだな…」

「だーいすきっ!リコね、ずっとおねえちゃんといっしょにいるの!」


そのお姉ちゃんの話になると、すげー笑顔になんの。どれだけ好きなのか伝わってくるし。さっきまであんなに泣いていたはずなのに…。
てか、こんなにこの子に好かれてる姉ちゃんって、どんな子なんだ?逆に気になる!



「でもね、おねえちゃんをわたしからとろうとするやからがいるの!」

「輩…?」

「そうなの!おねえちゃんのとなりをいつもきーぷしてね。すきあらば、おねえちゃんといっしょにいようとするのよ!はあくんめ!」


輩?あー、その姉ちゃんに近づく男がいんのか。それでこの子がソイツに姉ちゃんを取られたくないわけか。この子、可愛いんだけど、すげーシスコンだよな。

その時。



「リコリス!」

「アリスおねえちゃん!!」


名前を呼ばれた女の子は、オレの手を離れ、少し離れたところにいる中学生くらいの子に向かって、駆け出す。会えた嬉しさからか、姉に抱きついて、泣き出していた。



「良かった。無事で…」

「アリスおねえちゃーん!あいたかったー!リコ、さびしかった!」

「ごめんね。一人にさせて。……?」


ふとお姉ちゃんの方がオレを見て、不審な目を向ける。え、オレ、疑われてる!?姉の視線に気づいた女の子がオレを庇ってくれた。



「ちがうよー!あのおにーちゃんは、リコにやさしくしてくれたのー!いっしょにおねえちゃんをさがしてくれたの!」

「そうなの?」

「うん!」


良かった。あらぬ疑いをかけられるとこだった。すると、お姉ちゃんがオレに頭を下げた。



「すみません。妹を見ていただいたみたいで。本当にありがとうございます!」

「いや、オレは別に何も…」

「おにーちゃん、ありがとう!リコのおねがいをかなえてくれた!」

「お願い?」

「アリスおねえちゃんにぜったいあえるって、いってくれたの!ね!」

「あ、ああ……っ」


この子、本当に可愛い過ぎる!オレ、年下は好みじゃねェけど、この子ならいいと思っちまう。

それから二人と別れ、手を振って見送った。大好きな姉ちゃんに会えて、女の子はニコニコしていた。オレに手を振ってくれたけど、あの子とはもう会うこともねェだろ。




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