Re.Valentine
バレンタイン当日です。
だけど、私はバレンタインどころではありません。
ハルクが体温計を見ながら呟く。
「……38.9」
「大丈夫だよ!これくらいの熱、何ともな…」
ベッドから起き上がって、元気なところをアピールしようとしたが、フラフラして起きれなかった。
「何ともないわけあるかよ。熱下がるまではベッドから出るな。寝てろ」
「わかったよ…」
そう言って、ハルクは部屋から出て行った。きっと学園に連絡しに行ってくれたんだろう。
「はぁ……つまんない」
チョコレート、みんなと作りたかったな。
目を閉じて、みんなとのチョコレート作りを想像する。
好きな人の話をしながら、思いを込めて作るの。
出来上がったら、出来立てを届けに行く……
私はもちろん、リク様に……
“あの! リク様……これ……”
“おう、ありがとな”
「って、どうしてハルクなのよ!」
「ん? オレがどうかしたか?」
「あれ? ハルク……戻ってきたの?」
「とっくにな。アリスもだいぶ寝れたみたいだな」
時計を見ると、6時間くらい寝てたみたい……
いつの間に……
「あ、そうだ……ホワイトデーには義理チョコよろしくな」
そう言って、ハルクはテーブルに何かを置いた。
頭だけ起こしてそれを見ると、うさレンに見えなくもない立体チョコがあった。
「これ……ハルクが作ってくれたの?」
「まあな……リコリスに教わりながらだけど」
「リコリスお姉ちゃんと? 嬉しいな」
起き上がろうとすると、まだ身体は怠いしフラフラす……
「おい! まだ無理すんなって」
「大丈─」
──じゅっ。
「あ……あぁーっ!」
私はフラフラに負けて顔からチョコに突っ込み、熱でチョコを溶かしてしまった。
「おい、アリス……大丈夫、か?」
「へ、えへへ……甘くておいひ……い──」
そこで私の意識は途絶えた。
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