Oshikatsu





「はあくん、見て!」

「何だそりゃ…」

帰って来て早々、リコリスに「今すぐに部屋に来て欲しい」と、伝えられたため、早速部屋に来た。
そこで見せられたのは、ゆるキャラみたいなぬいぐるみだ。動物ではないから、人か。性別は女なのか、髪は長くスカートだ。


「可愛いでしょ(ノ≧▽≦)ノ」

「全然…。何かのキャラクターか?」

「んもう!鈍感なんだから(≧□≦)アリスよ!」

「…………………………は?アリス??」

てっきり何かのキャラクターかと思えば、アリスと返ってきた。
……あ!うちにいるアリスじゃなくて、物語の方のアリスか。まぎらわしい…。


「不思議の国のアリスにしては、ちょっとゆるい感じじゃねェ?」

「ちっがうわよ(≧Д≦)これは、私のエンジェル的存在である私の妹のアリスなの!」

「アリス!?マジかよ!」

そう言われて見れば、アリスの髪色に目の色もアイツそっくりだ。しかし、言われねェとアリスだとはわからない。


「セシリアの知り合いにモノ作りが得意な子がいてね、紹介してもらって作ってもらったの!ちょっとアレンジを加えたら、ゆるキャラみたくなったけど、これはこれで味があっていいでしょ?(*^_^*)手触りも良いし。手放せないわ…」

「味ありすぎだろ…。アリスに見せたら、怒るぞ?こんなの私じゃないって」

「私的には、お気に入りなんだけど。……そうそう!はあくんにも渡すものがあったのよ。ちょっと待ってて!」

そう言い、リコリスが袋から何かを取り出して、オレに渡してくる。


「はい。はあくんのは、こっちね!」

「……………は?」

リコリスが渡してきたのは、今のぬいぐるみよりかは大分小さいが、まったく同じやつだ。キーホルダーみたくつけられるタイプ。

……いや、誰がこんなのつけんだよ!


「何でオレに…?」

「はあくんも気に入るかと思って(`・∀・´)」

「いらねェよ!!」

「えー。可愛いじゃない!アリスと離れてる時にこのキーホルダーを見てれば……癒やされるでしょ(^-^)もう私ってば、天才ね!ちなみに私も持っているのよ。こっちのぬいぐるみは、流石に持って行けないから、小さい方を鞄につけたの!」

リコリスが学園用の鞄を見せてきた。オレに渡したのとまったく同じのがついていた。


「お前、これを学園につけてくのか?」

「ええ、そうよ!自慢したいくらいに可愛いんだもの( *´艸`)」

マジでリコリスは、アリスならば何でも可愛くて仕方ねェようだ。流石にもらった物を捨てるのは悪いから、部屋に飾っておくことにするか。

夜になり、仕事を終えて、部屋に戻って来る。室内には、最低限の家具しか置かれてねェ。机もあるが、今ではほとんど使っていない。昔はよく勉強するのに使っていたけど。オレは何かを書いたりとかもしねェしな。

ベッドに寝転び、ポケットに手を突っ込めば、リコリスからもらったキーホルダーが出てきた。そういえば、昼間に渡されたんだった。手に持つと、ブラブラ揺れるキーホルダー。ぬいぐるみより柔らかくねェが、これもフワフワしてる。肌触りが良いと言ってたから、相当こだわったのだろう。リコリスはアリスを元にしたと言ってたが、アリスが見ればショックを受けるだろう。

しばらくそれを眺めていれば、先程のアリスを思い出す。本を読みながら、眠ったその顔はこのキーホルダーのように似ていた。つい笑いを堪えきれず、一人部屋で笑った。



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