IF 後
アリスを連れて、マンションに帰って来た。リビングに入ると、リコリスがいた。
「ただいま」
「はあくん、おかえりなさい。出かけてたのね…」
「ああ。…ほら、遠慮しないで入れよ」
リコリスは普通だった。オレは後ろにいるアリスに入るように促す。アリスは少し戸惑って、なかなか入ろうとしない。
「はあくん、誰か一緒なの?」
「リコリスお姉ちゃん。お邪魔してます!」
「アリス!!」
アリスの姿を見るなり、リコリスはこちらに突進してきた。おいおい。オレの時とエライ差じゃね?リコリスはアリスの両手を取ると、目を輝かせて言った。
「いらっしゃい。私にサプライズをするために来てくれたのね!嬉しいわ。感激よ( ´∀`)今日、うちに泊まってくのよね!泊まるなら、もちろん私と同じベッドよ。パジャマも用意してあるから、昔のように仲良く一緒に寝ましょう!!」
「え…」
おい。オレと寝るよりもテンション高くねェ?内心むっとしながら、二人を見る。
「今日は泊まらないよ。リクさんも夜には帰って来るから」
「えー。泊まって行けばいいのに!私、アリスとお泊まり会したいわ(*≧∇≦)」
いつも通りにテンション高いリコリスといつもより少し顔が険しいアリス。一度、深呼吸をしたアリスがリコリスに静かに告げた。
「リコリスお姉ちゃん。お話があるの」
「あら。何かしら?(^_^)」
「私、リコリスお姉ちゃんとはしばらく距離を置こうと思って」
「えw(゜o゜)w……………( ω-、)」
アリスの発言にリコリスが呆然となる。そして、理解したのか、涙目になる。てか、もう泣いてるし。泣くリコリスにアリスが慌てて自分のハンカチを取り出す。
「別にお姉ちゃんのことを嫌いになったわけじゃないの」
「それなら、どうして…(´;ω;`)どうして、そんなことを言うの(TДT)」
「昔みたいにいつまでもお姉ちゃんと一緒にはいられないの。お姉ちゃんもわかっているでしょ?」
「わからないわ。わかりたくない!」
「リコリスお姉ちゃん。今、お姉ちゃんのことを大事にしてくれる人がいるよね?」
アリスがオレを見る。リコリスも同じようにこちらを見つめる。
「お姉ちゃん、ハルクのこと大事よね?」
「ええ、それはもちろんよ…」
「なら、もう少しハルクとの時間を大切にして。これからずっと一緒にいるんでしょ?」
「……うん」
「だから、もう私じゃなくて、ハルクを一番に優先してあげて」
アリスの言葉にリコリスが頷く。それを見て、アリスは優しく笑う。これじゃあ、どっちが姉かわかんねェな。
すると、リコリスがオレの前にやって来るなり、抱きついて来た。
「ごめんなさい。はあくん…」
「リコリス…」
「私、はあくんの優しさに甘えてた…。傍にいてくれるのを当たり前と思っていてはだめね」
「……やっとわかったのかよ」
「だから、これからははあくんのことを一番に考えるわ!」
「当たり前だ。バカ」
見つめ合ったから、ここはキスする雰囲気だよな。そう思って、リコリスに顔を近づけると、何故かそのリコリスに止められた。
「リコリス。お前な…」
「だめよ!アリスの見てる前で(`ε´ )」
「アリス、いねェけど?」
「え…」
いつの間にか、アリスがいなかった。どうやら空気を読んで帰ったらしい。オレのスマホにアリスからのメッセが入っていた。
“私、お邪魔になるから、今日はもう帰るね!あとはお二人で…( ゚∀゚)ノシ”
「アリスのヤツ…」
「アリスったら…。あの子も大人になったのね…。嬉しいような、寂しいような(*^-^*)」
「ということだ。……いいよな?リコリス」
「いいわよ」
見つめ合い、今度はリコリスが止めることなく、互いの唇が重なった───。
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