IF 前




リコリスとの関係が変わった。友達から恋人。
最初は何か変な感じはしたが、リコリスの隣は居心地は良かった。自分らしくいられるから。

オレの恋人になってからも、リコリスは相変わらずアリスが一番だった。ま、それを含めて、好きになったわけだしな。

だが、限度もあるわけで…。


さっきまでアリスと顔を見ながら通話していたせいか、リコリスのテンションがやたら高い。

いや、昨日も一昨日もアリスと通話してたよな?てか、その前もずっーーーと!毎日してるよな!?アリスとの通話が終わる度にリコリスは、オレの隣で「アリスが可愛い…」って、うっとりしてる。もちろん、今もな。

しかも、先週の日曜日、アリスと出かけたよな!?オレを放置して。恋人のオレと出かけるよりも、服装などに力を入れてさ。
帰って来た時もずっとアリスの話ばっかで、放置されたオレは面白くねェ。そんなことにも気づきもせず、リコリスは言う。



「今日も私のアリスが可愛いかった!」

「……」

「はあ…( ´Д`)何であんなに可愛いのかしら?天使だから?うん、そうよね!今日、着ていた服は新しく買ったのかしら。見たことなかった。アリスにしては、少し露出していたわね。あんまり肌を出すのは困るわ。私が悩殺されちゃうもの(/▽\)♪アリスも色気が出て来てるからね」

「……」

「はあくんはどう思う?」


さっきから隣でアリス、アリスとうるさいリコリス。お前の隣にいるのは、アリスじゃねェだろ!しかも、お前のアリスでもねェし。

てか、オレだけかよ!お前と二人で楽しく話したいと思ってるのは!!たまにはアリス以外の話をしてくれよ!



「はあくん。聞いてる?」

「だー!!毎日毎日アリス、アリスうるせェ!このアリスバカ!!」

「な、何を怒っているの?はあくん…」

「怒りたくもなるわ!毎日毎日、アリスって言われれば…」

「だって、アリスは可愛いじゃない!はあくんも知ってるでしょ?アリスが初恋なんだから。わかるわー。私がはあくんの立場でも、絶対にアリスを好きになっているわ( *´艸`)」


キレたオレに驚きながらも、リコリスは堂々と主張をしてくる。

確かにアリスは、オレの初恋だった。アイツがいなかったら、今のオレはなかっただろうし。救われたことは感謝してる。今でもアリスは、大事なヤツだ。何かあれば、助けたいとも思ってる。

だけど。
今、オレが好きな女で一緒にいたいのは、リコリス。お前なんだよ!

タスクさんともリコリスを絶対に幸せにしろと約束した。ま、言われなくても、幸せにするつもりだ。それなのに、コイツときたら…!



「なあ、リコリス。お前の恋人って誰?」

「はあくんよ」

「お前、オレのこと好きか?」

「当たり前じゃない!好きだから、一緒になったんだし(*゚∀゚*)」

「じゃあ、オレとアリス。どっちが大事?」

「そんなのどっちも大事よ。選べないわ!」


おい。そこはオレを選べ!オレにしてくれよ!!お前の恋人はオレだろ!?これじゃあ、いつまで経っても、オレはアリスに勝てねェじゃん!



「オレなら、迷わずにリコリスを選ぶ」

「え…」

「そろそろアリスじゃなくて、オレを見てくれよ…」

「……はあくん」


さっきまであんなに元気だったリコリスは、何も言わず、俯いてしまった。

そんなリコリスにイライラを隠せず、これ以上、ひどいことを言わねェようにしようと、オレは立ち上がる。リコリスの顔を見ないまま、「今日は一人で寝る」と告げて、自分の部屋に戻った。


自分の部屋に戻り、オレは頭を抱える。

…やっちまった。でも、オレは悪くねェよな。リコリスがあまりにアリスのことばっか話すから、つい我慢が出来なくて…。

モヤモヤする!誰かに相談してェ。……よし、ここはアイツしかいねェ。

机の上にあったスマホを掴むと、LIMEを開き、ある相手に連絡する。メッセより直接話した方が早いな。通話を押して、繋がるのを待つ。2コール目で相手が出た。オレが明日、会えないかと伝えると、驚いてはいたが、たまたま予定が空いていたらしく、ソイツと約束を取りつけることが出来た。時間と場所をすばやく決めて、電話を切る。

よし、予定も決まったし、さっさと寝よう。



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