Vacation Villa 後
※ここから、しばしハルク視点。
寝転がって夜空を見ていたら、不意に流れ星が流れた。
「あ。流れ星。アリス、今の見たか?」
「……………」
「アリス?」
返事がない。
隣を見れば、寝息を立てて眠るアリスの姿。
「……やっぱり寝てんじゃねェか。だから、言ったのに」
「すー…、すー…」
このお子様は、全然言うことをきかねェな。
肩を揺らして、起こそうとしたが、アリスは起きない。マジで寝てやがる。ガキは一度寝ちまうと、ちょっとのことでも起きねェんだよな。
「うーん…」
眉を寄せ、身体を丸め、少し寒そうにするから、オレは起き上がり、アリスをこちらに抱き寄せて、オレの膝にアリスの頭を乗せる。身体に何かかけようにもブランケットとかもねェしな。
それにしても無防備に寝てんな、コイツは。リコリスがよく天使だとか騒いでるけど、そこまでじゃねェよな。寝てる時の方がまだ可愛いとは思うが。起きてる時は、全然可愛くねェからな。生意気だし。
出会った時に比べたら、少しは大きくなったか。どこにでもオレの後をついてきて、なかなか傍を離れず、ニコニコしていたあのちびっこが、もう中学生かよ。何かあっという間だな。
ふと顔を上げ、空を見れば、再び流れ星を見つけた。
今まで流れ星に願い事なんてしたことはねェ。叶うことなんてなかったから。でも、この夜空は叶えてくれそうな気がした。何でかわかんねェけど。
願わくば───
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