Person I Like




夜。お出かけから帰って来た。
るんるんとスキップしながら、部屋に戻ってくると、またも私のベッドの上にハルクが座っており、私の本棚にある漫画を読んでいた。しかも、私が一番好きな漫画だ。ハルクの手から漫画を奪う。



「何勝手に読んでるのよ!」

「別にいいだろ?暇なんだから。ほら、まだ読んでんだから返せ」


そう言い、奪い返された。
ちょっと!あなたは使用人でしょ。何で私の部屋で寛いでるのよ!ハルクに文句を言おうとしたら、向こうから話しかけられた。



「この漫画に出てくる男さ、お前が好きそうな男だよな。リクに似てるし」

「……っ」


そうだ。
この漫画に出てくる男の子は、リク先生に似ているのだ。クラスの友達に教えてもらって、私はすぐ本屋に買いに走ったくらいにタイプだったのである。



「他の漫画もリクに似たような男が出てるのばっかだしな。お前、本当にリクが大好きだよな…」

「別にいいでしょ!ハルクに迷惑かけてないんだから」

「かけてはねェけど。一応、これでも心配してやってんだぜ?」


心配?嘘くさいわ!ハルクが私の心配なんてするわけないし。



「はいはい。アリガトウゴザイマス。私、着替えたいから、部屋から出て行って」

「お前の裸を見たって、何も感じねェよ。ガキには興味ねェし」

「あなたが興味なくても、私が嫌なの!早く出て行って」


ハルクの背中を押して、部屋から追い出す。まったく!本当にデリカシーないんだから。

そうして、私はこんな日々を過ごしていく。





【END】
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