One Day

【side Hulk】

あれならアリスは出かけねェな。机に何冊か本もあったし。途中、宿題そっちのけで読み出すな。それに約束でもない限り、アリスはこの暑さで出かけたりはしねェ。アイツ、暑さにめちゃくちゃ弱いし。



「…さて、仕事しに行くか」


そろそろ行かねェと、カルロがうるさいしな。オレは使用人が集まる部屋へと向かった。



……………
…………
………
……



さ、終わった。担当していた仕事を終えて、廊下を歩く。そろそろ腹へったな。もう昼か?

今、何時かと確認するためにポケットのスマホを取り出す。すると、時刻よりもLIMEの通知が異常な数の件数になっていることに気づく。しかも、今も絶えずにずっと送られてくる。

……犯人は一人しかいねェ。


全部リコリスからだ。これ、タスクさんに知られたら、絶対にまたコブラツイストかけられる。あの人、リコリスの連絡先を知りたいなら、直接聞けばいいのに、全然聞かねェんだよな。恥ずかしがってるけど、リコリスなら余程のことじゃない限り断らねェのに…。

時間を見ると、学園に着く前辺りから、ずっとオレに送っていたようだ。たまに来なくなる時間もあったりもするが、ちょこちょこ入っていた。



“はあくん!もう早く帰りたいo(><;)(;><)o”

“早く帰ってアリスとのんびり過ごしたいのに、皆がなかなか離してくれない!”

“久々でもないんだから、話もそんなにないのに、皆よくネタが尽きないわね。思わず感心しちゃったわ(;゚Д゚)”

“中には私に会いたいという男の子がいるから、夏休み中に会って欲しいと言ってくる子がいる。家族旅行や習い事があるから、少し難しいと断ったけど。流石にアリスとの時間を削ってまでは会いたくないわ(´-ω-`)”

“アリス。早く会いたい\(^_^)/”

“はあくん、アリスの写真を送ってー(・ω・`人)”

“私の天使が今、何をしているのかが知りたいの!”

“お願い。早くー!”

“既にアリス不足なのщ(´Д`щ)このままじゃ私、耐えられない…”

“はあくん((ヾ(≧皿≦メ)ノ))”

“独占はダメよ!私達は仲間なんだから!”

“アリスが可愛いからって、独り占めしないで。ほら、早くщ(゜▽゜щ)”


アイツ、暇なのか?これらを送る暇があるなら、適当なこと言って帰ってくればいいのに…。

無理か。外では猫かぶりしてるからな。てか、オレじゃなくて、アリスにLIMEした方がいいんじゃね?

それをリコリスに伝えれば、すぐ返事が来た。


“こんな沢山、アリスに送って、うざがられたくないもの!”


……オレはいいのかよ。

そういえば、前にリコリスの学園に何回か行ったことあるが、ちょっと怖かったもんな。リコリスを慕ってるというよりは、崇拝してるように見えたし。一部の女達にオレ、すげー睨まれたんだよな。リコリスの恋人と思われたのか?……んなわけねェか。

取り合えず、アリスのところに行ってみるか。どうせアイツのところに行けば、食いもんは何かしらあるはずだし。食堂は開いてるが、もう少し後でも平気だろう。


早速、アリスの部屋に行けば、サンドウィッチやお菓子が用意されており、アイツはお菓子を頬張っていた。どうやら本は読み終えたようだ。菓子をつまみ食いしながら、アリスの姿を写真に撮って、リコリスに送れば、すぐ既読になり、返事が来た。



“きゃー!!可愛らしい小動物がいる(*/∀\*)名前にリスが入ってるからなのかしら?私も早く目の前で見たいわo(*゚∀゚*)o

はあくん、良い仕事してくれた。ありがとう( ̄ー ̄)b

でも、足りないから、あと100枚は送って(・ω・`人)”


……。
リコリス、本当にアリス大好きだよな…。呆れながら、LIMEの画面を見れば、アリスが文句を言ってくる。



「ハルク。私のお菓子、取らないで!!」

「はあ?いいだろ。沢山あんだから。こんだけを一人で食ったら、太るぞ」

「一気に食べないもん!あー!また取った!!」


本当にコイツ、食い意地が張ってる。どうせリコリスが帰りに菓子を買ってくるのわかってねェな。またパクパク食うのに…。

これはまた運動させた方がいいな。じゃなきゃ太るし。アリス以外、いや、アリスとエリーゼ以外は運動神経は良いのにな。リコリスも運動神経はいいし。てか、リコリスも一緒にやらせれば、アリスも嫌とは言わねェな。リコリスが言うと、アリスも断れないだろうし。




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