Person I Like
数分後。
「アリス、出来たぜ。どうだ?」
「うん…」
ドキドキする!鏡を渡されて、自分の姿を映す。
髪型は私が思っていたよりも可愛く仕上がっていた。それに感動する。
「可愛い!!ありがとう、ドラ!」
「どういたしまして。ほら、早く行きな。まだ準備、終わってねーんだろ?」
「うん!ありがとう。また髪、やってね!」
お礼を言うと、ドラは手を振って、私を見送ってくれた。
一度、部屋に戻り、お出かけ用の鞄を手に持ち、再度部屋から出た。玄関に向かうと、既に皆が揃っており、車に乗り込んでいた。私は急いで走る。
「遅くなって、ごめんなさい!」
「やっと来た!アリス、遅い!」
車の窓から、妹のリンネが私に文句を言ってくる。
「ごめん!」
「大丈夫だよ。アリス、お前が欠けたままで出かけたりはしないから。よし、これで全員が揃ったな。さ、出発しよう」
パパに促され、横付けしてある車に乗り込む。座ろうとしたら、先に車に乗り込み、座っていたリコリスお姉ちゃんが私に言った。
「あら、アリス。いつもと違うのね。髪をやってもらったの?」
「うん!ドラにやってもらったー」
「アリスの専属みたいね。とても似合っているわ」
「本当!?」
嬉しい。リコリスお姉ちゃんが褒めてくれた。
リコリスお姉ちゃんは、いつも優しい。怒ったところなんて、今まで見たことがない。私の憧れでもある。私もリコリスお姉ちゃんのようになりたい。
「アリス、絶対に自分では出来ないよね。不器用だもん!」
「む、リンネ!」
三つ下の妹であるリンネは、いつも私に生意気な口をきく。昔は「お姉ちゃん」って言いながら、私の後をついてきてくれてたのに。
「リンネ、そう言うことは言っちゃだめよ?」
「はーい!リコリス姉」
なのに、リコリスお姉ちゃんのいうことは、ちゃんと聞く。私のいうことも聞いてほしい!私だって、お姉ちゃんなのに…。
「ドラって、器用だよね。服のセンスとかもいいから、着てく服に迷う時、私もつい聞いちゃうんだよね」
「そうなの?私はよくダメ出しされるわ」
四つ上のラセンお姉ちゃんと二つ上のエリーゼお姉ちゃん。ラセンお姉ちゃんは元気で明るいタイプで、エリーゼお姉ちゃんはクールなタイプだ。
「それはあんたのセンスがひどいからでしょ?」
「私は気に入っていたんだけど」
皆が何も言えずに黙ってしまう。
エリーゼお姉ちゃん、見た目と違い、センスが独特なのだ。どうしたら、こんな危険な組み合わせになるのと思うくらいにセンスがひどいのである。
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