Lively Poolside




夏休みに入って、数日が経った。相変わらず毎日暑い日が続いて、私は屋敷から出たくなくて、常に部屋で読書の日々。

だが、今日はリコリスお姉ちゃんに誘われて、朝から庭にあるプールで遊んでいた。

プールには姉妹全員…いや、エリーゼお姉ちゃん以外がいた。エリーゼお姉ちゃんは、昨日から校外学習のため、家にいないからだ。


他の皆は何をしているかというと───

まず妹のリンネ。水着だけど、テントの下にあるテーブルで本を読んでる。何度かプールに入ろうと誘っても、「本が読み終わったら」としか言わない。プールに来てから、一時間以上経っても入る気配はない。もう入る気はないのかもしれない。
私も今度、ここに本を持ってこようかな。濡らさないようにしないとだけど。たまには場所を変えて読むのもありだ。

ラセンお姉ちゃんとクロノお姉ちゃんは、プールに来てから、ずっと勝負していた。すごい体力だ。今も勝負中なのか、変わらぬペースで二人は泳いでる。
二人の邪魔にならないところで、私はプールサイドに座り、足だけをプールに入れていた。ちゃんとロープしてあるから、そっちに行かなければ、問題はないんだけどね。さっきまでは、浮き輪とかに乗って、のんびりしていた。

そういえば、リコリスお姉ちゃんの姿がない。さっきまでいたのだが、今はいない。どこに行ったかわからない。そのうち戻ってくるかな。

それにしても、うちにプールがあって良かった。暑いから、どこのプールや海は混んでるみたいだしね。


私は空を見上げた。雲一つないスカイブルーの空が広がっていた。蝉も鳴いてるし、夏だな…。スイカが食べたい。かき氷もいい。
近いうちにお祭りもやるよね。クラリス達と一緒に行く約束してるし。新しい浴衣も買ったから、早く着たいな。



「アーリス!」

「っ!!冷たい…」


突然、私の頬にジュースの缶が軽くあてられた。振り返ると、リコリスお姉ちゃんだった。今日はちゃんと水着姿だ。しかも、ワンピースではなく、ビキニだ。下はパレオをつけてるけど。プールや海なんて行ったら、すぐにナンパされちゃいそう。それくらいキレイだった。



「うふふ。ごめんね。アリス。気づいてなかったから、ちょっと驚かしてみようと思って。大成功ね!」

「お姉ちゃんにそれをやられると思ってなかったよ」

「実は私もされたことないのよね。他人が誰かにしているのは見たことあるけれど」


確かにリコリスお姉ちゃんには、やりづらいかもしれないよね。気軽にしていいものかってなるし。
よし。私も夏の間にやり返してみようかな。リコリスお姉ちゃんの驚く顔が見たいし!

礼を言って、缶を受け取ると、早速、一口飲んでみた。リコリスお姉ちゃんも私の隣に座って、飲んでいた。



「おいしい!」

「良かった。……それにしても、クロノ姉さんとラセンは泳ぐのが早いわね」

「うん!水泳の選手みたい」


私、あんなに早く泳げないから、羨ましい。いくら特訓しても、ああはなれない。同じ姉妹なのに…。

私はしばらくの間、リコリスお姉ちゃんとプールサイドでお話していた。太陽がずれたのか、陽の光は当たらず、日陰に入ったせいか、少し涼しくなってきた。



「あっちぃ…。いいな。お前らは遊べて」


突然、背後から聞き覚えのある声がした。
私とリコリスお姉ちゃんは同時に振り返る。そこに使用人用の夏用制服を着たハルクがいた。暑いからか、ネクタイを緩め、シャツのボタンは3つも開けて、ベストはどこかで脱いでいたのか着ていない。ズボンも膝くらいまでまくっていた。



「ハルクが仕事サボってる!」

「バカ。今までしてたに決まってんだろ。カルロが容赦なくこき使うから」

「もっと働いてきたら?」

「ふざけんな。流石に休憩しないと身体が持たねェんだよ。喉渇いた…。丁度、いいところに」


ハルクが何か飲み始めた。私のと同じ缶だなと思っていたら……置いていたところにあるはずの私の缶がない。再びハルクを見れば、全部飲み干した後。それ、私のジュース!!



「あー!!まだ飲み途中だったのにー!ドロボー!」

「もうねェよ。全部飲んじまったし」

「リコリスお姉ちゃんが持ってきてくれたものなのにー!」

「置いてあったから、いらねェと思ったんだよ」


私が睨むも、ハルクは全然悪びれない。



「もうはあくんったら…。アリス、また持ってきてあげるから。私の飲みかけでいいなら、これ飲んでいいわよ」

「リコリスお姉ちゃん…」


本当に優しい。天使。いや、女神様だよ!リコリスお姉ちゃんの飲みかけのジュースをもらって、飲んだ。
すると、ハルクが私の隣に腰を下ろす。ちょっと何で座るのよ!



「お前らはいいよな。暑けりゃ、すぐにプールに入れんだから」

「ハルクだって、こないだ入ったじゃん」

「ほぼお前のおもりだったけどな」


失礼な!私が頼んだわけじゃないもん。しかも、その割には楽しんで泳いでたし。



「はあくん、役得だったでしょ!」

「はあ!?どこがだよ!セクシーでスタイル抜群のキレイな水着の女なら役得だけど、実際はちんちくりんで真っ平のガキだったからな」

「む。悪かったわね!ちんちくりんで真っ平のガキで!」

「そうよ!はあくん。今のアリスは今だけなのよ( ・`д・´)いずれアリスだって、大人になるんだから。…それを考えたら、涙が(`;ω;´)アリス、まだ大人にならないで。可愛い子供のままでいて!!」


リコリスお姉ちゃんが私を力強く抱きしめてくる。水着なせいか、お姉ちゃんの胸が顔に当たる。クロノお姉ちゃん達よりは小さいけど、柔らかい!



「お姉ちゃん、苦し…っ」

「リコリス。アリスが大人になる前に死んじまうぞ」

「え?……やだΣ(゚Д゚〃)私、そんなつもりじゃ。ごめんね。アリス」

「だ、大丈夫…」


何かリコリスお姉ちゃん、いつもよりテンションが高いけど、暑さのせいかな?
そこへラセンお姉ちゃんとの勝負が終わったのか、プールから上がったクロノお姉ちゃんがこちらにやって来た。



「何だか楽しそうだな。アタシも仲間に入れてくれないか?」

「クロノお姉ちゃん」


妖艶に微笑むクロノお姉ちゃん。
黒のセクシーな水着なんだけど、これを着て、泳いでたの!?左右にある紐がそれぞれ取れたら、大変なことになっちゃうよ!胸だって、大きいせいか、布の面積も狭いような気もするし。すると、クロノお姉ちゃんがフッと笑った。



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