Sparta Summer




「暑い…」


何なの。この暑さ。お迎えの車を待ってるだけで、すごい汗が出る。ハンカチで拭いても、拭いても汗は止まらない。日陰にいるのに…。

帰ったら、シャワーを浴びようかな。あ、うちにはプールがあったじゃないか!早速、アガットに連絡して、プールが使えるかどうかを確認してもらった。既に掃除は終わっているから、いつでも入れるようになっているらしい。やった。私は帰ったら、すぐ入れるようにアガットに頼んでから、電話を切った。その後、迎えの車が来たので乗り込んだ。

屋敷に着き、車から降りると、屋敷の中に入る。靴を脱ぐと、私は自分の部屋に向かって駆け出す。だって、待てない!途中、カルロに走らないように注意されたけど、「ごめんなさい」と言いながらも走るのを止めなかった。



「ただいま!」

「お帰りなさいませ。お嬢様」

「アガット。用意してくれた!?」

「勿論です。水着やタオルなども準備しておきましたよ」

「ありがとう!じゃあ、水着に着替えてからプールへ行こう」

「かしこまりました。お手伝いしますね」


着替えた後、アガットに髪を結わいてもらった。これで泳ぐ時に邪魔じゃない!編み込みにしてもらったのは久々だ。

ラップタオルを腰につけ、部屋を出る。アガットと共に庭にあるプールに向かっていたが、その途中、アガットが忘れ物に気づいたらしく、私は一人で先に行くことになった。
プールまであと少しのところで、学校から帰って来たリコリスお姉ちゃんと会った。



「アリス、ただいま。あら、どうしたの?水着を着てるようだけど」

「リコリスお姉ちゃん。おかえりなさい!これからプールに入るんだ」

「プール?確かに今日は暑いわよね。私も入りたいくらいだわ」

「リコリスお姉ちゃんも入ろうよ!」

「そうね。じゃあ、着替えてくるわ」

「待ってるねー!」


リコリスお姉ちゃんと別れて、いよいよ庭のプールにやって来た。まず私はプールに入る前に準備運動をした。準備運動している最中にアガットが来た。手には既に空気が入った浮き輪があった。



「お嬢様、これを」

「ありがとう!アガット」


私がプールに入るのは泳ぐためじゃない。元々泳ぎは、得意ではない。ただプールでのんびりしたいだけ。早速、用意された浮き輪を片手に持ちながら、プールに入る。



「気持ち良い!」

「それは良かったです」


私は、このプールに入るために、あの激しい暑さに耐えられたんだ。私は浮き輪を手にしながら、バタ足してみる。楽しい!



「アガットも一緒に入ろうよ!」

「申し訳ありません。諸事情で入れないんです」


諸事情?ケガでもしたのかな??それなら無理は良くないか。



「わかった。また今度、一緒に入ろうね?」

「そうですね。その時は入りましょう」


アガットがにこっと笑いながら答えた。良かった。一緒に入れないのは寂しかったけど、また今度、入れたらいいな。約束したんだし。

しばらく浮き輪でプカプカと浮かびながら、ボーっとしていた時、「アリス」と私を呼ぶ声がした。



「リコリスお姉ちゃん!」

「気持ち良さそうね(^_^)」


リコリスお姉ちゃんが私に手を振る。だが、格好は花柄のワンピースを着てるが、水着ではない。私はプールの端の方に寄ると、リコリスお姉ちゃんも近くに来てくれた。



「リコリスお姉ちゃんも入らないの?」

「ええ。また今度、入りましょう。だから、私の代わりを呼んだわ」

「代わりって、誰?」

「ふふっ(^.^)」


不思議に首を傾げていると、私の背後から誰かが水の中から現れた。いつの間にプールに入ってたの!?



「アリス。お前、浮き輪を使ってんのかよ」

「げっ。ハルク!いないから、安心してたのに!何しに来たのよ!!」

「お前が珍しくプールに行ったって、リコリスが話してくれたからな」


もしかして、リコリスお姉ちゃんと話してる間にプールに入ったわけ!?それならありえる!リコリスお姉ちゃんが言ってた代わりって、ハルクなの!?リコリスお姉ちゃんを見れば、黙って頷いた。



「はあくんなら、安心して任せられるわ(*^_^*)」

「ほら、泳ぎ教えてやるから。こっち来い」

「やだよー!私は暑さから逃れたくて、プールに入ってるんだから!私の憩いの時間を邪魔しないで」

「まずは25Mを泳げるようになってから言え」

「ハルクの鬼ー!悪魔ー!ちょっと浮き輪を引っ張らないでー!」


その後、私は泳ぎの特訓をされた。ハルクは本当に容赦なかった。明日、絶対に全身が筋肉痛だよ…。





【END】
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