April Fool
深夜。
ハルクも自分の部屋に帰ってしまい、部屋で一人になったリコリスは、ベッドの上で暗い顔をしていた。
(明日からどう生きて行こうかしら。アリスに嫌われても、私は大好きだし。でも、話したいけど、またあんなこと言われたら…。うっ、涙が止まらないわ!)
カチャ、カチャ………キィッ…
その時、鍵をかけていたはずのドアが開く音がした。
(おかしいわ。鍵ははあくんがちゃんと閉めて行ってくれたはずなのに…)
リコリスが目をこらしていると、部屋に誰かが入って来た。暗くて、よくは見えないが、相手はゆっくりとリコリスのいるベッドに近づいてくるのが
わかった。
(もう誰!鍵開けて入って来たってことは、私の部屋とわかって来たのでしょうけど、私はそんなに甘くないわよ)
静かに怒っていたリコリスは、近くまで来た相手の腕をおもいっきり掴んだ。すると、掴んだ腕は自分より小さかった。まるで子供の腕だった。
掴まれた相手は、慌ててリコリスに話しかける。
「っ、私は怪しい者じゃありません!」
(この声って…もしかして)
その声にリコリスは、掴んだ手を少しだけ緩めるが離しはしなかった。
「怪しくないのなら、名前を言ったらどうなの?」
「名前?……えっと、ま、魔法使いです」
声ですぐにアリスだとわかった。だが、リコリスはわかっていながらも、あえて気づかないフリをする。
「その魔法使いさんがこんな時間に何の御用かしら?」
「……っ。私は…」
「……」
「あなたの願いを叶えに来ました!」
「私の願い?魔法使いさんが叶えてくれるの?」
「はい!私に出来ることでしたら、何でもやります。罰ゲームとはいえ、あなたを悲しませてしまったから…」
(罰ゲーム?)
リコリスはそれが気になるが、今は聞かない。
「私にして欲しいことはありますか?」
「それじゃあ、魔法使いさん。明日、私と一日中、朝から晩までずっと一緒に過ごして」
「え?」
「傍にいるだけじゃダメよ?一緒にいる時は、私の言うことに逆らってはダメ。絶対に従うの。それが出来なければ、私は…」
「出来ます!」
そして、魔法使いもといアリスがリコリスに抱きついた。
「ごめんなさい…!リコリスお姉ちゃん!」
「アリス…」
「本当は今日も一緒にいたかった!ケーキも一緒に食べたかった!旅行からやっと帰って来てくれて、嬉しかった!会えなくて寂しかったのー!」
「……うん。私もよ」
リコリスもアリスを抱きしめた。二人はしばらく抱き合っていた。
その後、二人は仲直りした。
リコリスはアリスに一緒に寝ないかと提案したが、いつからいたのか、アガットによって、アリスは連れて行かれてしまい、一緒に寝ることは出来なかった。
(アガットめ…(*`ω´*)
だけど、アリスは超可愛いかったわ(*≧з≦)ずっと抱き合っていたかった。でも、明日はずっと一緒にいられるから、さっさと寝ましょう!)
リコリスは寝ることにした。そして、一分もしないうちに夢に落ちて行く。
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