April Fool

………
……



それからリコリスを部屋まで運び、ベッドに寝かせる。そして、ベッド脇でリコリスが目を覚ますのを待つ。いつ起きるかわからないため、ハルクは部屋にあった雑誌を読んでいた。
ちょっとして、目を覚ましたリコリスがハルクの名前を呼ぶ。呼ばれた彼は雑誌を閉じて、リコリスを見る。



「大丈夫か?」

「……全っ然、大丈夫じゃないわ!さっきのやっぱり夢じゃなかったのね!……うっ(;´Д⊂)」


アリスに言われたことを思い出したのか、リコリスは涙をこぼす。予想していたのか、ハルクは近くに用意していたハンドタオルを渡した。



「アリスに、天使に嫌われるなんて…!もう私、生きていけないわ!!o(;д;o)」

「落ちつけ!一緒にいたくないって言われただけだろ?」

「私には同じことよー(TДT)お先、真っ暗だわ!」



その後。
ショックからか、リコリスは何も食べられなくなった。見かねたハルクがスープだけでも食べてもらおうと料理長に頼んで作ってもらい、食べさせた。だが、リコリスは三口程度でやめてしまう。ずっと泣いてるせいか、目は赤く、その日はシャワーとトイレ以外は部屋から出ることはなかった。
お付きのクロッカスは、有給で今はいない。戻るのは、数日後。だから、ハルクが代わりにリコリスの面倒を見ていた。

さて、リコリスが倒れたことは、アリスの耳にも入っていた。当然、夕食の席にもリコリスは現れない。ハルクも傍にいるから、アリスの方には来ない。


食べ終えたアリスが部屋に戻り、それをお付きのアガットが迎えた。



「お帰りなさい。お嬢様。どうしました?」

「リコリスお姉ちゃん、いなかった」


アリスは顔を上げられずに俯いていた。きっと昼間にリコリスに言ったことを引きずっているのだろう。



「お部屋に様子を見に行きますか?」

「行けないよ。だって、私のせい、だもん…」


ようやく顔を上げたアリスは、泣いていた。泣きながら、アガットに言った。



「私がリコリスお姉ちゃんと一緒にいたくないって言ったから!」

「お嬢様の本音ではないのでしょう?前の日に姉妹の方々とカードゲームをして、それにお嬢様が負けてしまったんですよね。クロノ様からの罰ゲームをお嬢様が実行した」

「うん。本当は、嫌いって言わなきゃいけなかったの。でも、嫌いは言いたくなかった。だって、リコリスお姉ちゃんのことは大好きだから。嘘でもそんなこと言えないし。言っちゃだめだから」

「お嬢様…。そうですね。リコリス様もお嬢様に嫌いなんて言われていたら、一生立ち直れなくなりますから」

「でも、どうしたらいいかな?謝りたいけど、それだけじゃだめだと思うし。このままじゃリコリスお姉ちゃんに嫌われちゃう!そんなのやだー!」


アリスはアガットに泣きつく。それを宥めながら、アガットは答える。



「簡単ですよ。リコリス様を喜ばせればいいんですよ!」

「アガット、何か案があるの?」

「ええ。耳を貸してください」


アガットはアリスに話す。それを聞いたアリスはアガットに聞く。



「それでお姉ちゃんと仲直り出来る?」

「はい。出来ますよ」

「やってみる」


アリスは涙を拭いながら、そう言った。



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