Natural Boy
中学生になって、3ヶ月が経った。
無事に試験も終えて、全教科平均点より少し下だったが、赤点さえなければ問題はねェ。
あとは夏休みを待つだけになった。早く休みになんねェかな。そしたら、アリスとあちこち出かけたいけど、アイツ、普通に誘っても来ないからな。
先日のお化け屋敷の時も説明しないまま連れて行ったから、あの手で行くしかねェか。
教室には、オレしか残ってない。
いつもなら、さっさと学校を出るのだが、今日は運悪く日直当番だったせいだ。席で日誌を適当に書いてく。よし、すべての欄を埋めた。書き終えて、立ち上がる。
さっさとこの日誌を出して、帰るか。
日誌を職員室まで出しに行った帰り。
鞄を持って、昇降口に向かっていると、廊下でよつんばになっている男がいた。上履きの色からして、オレと同じ一年だ。
何してんだ、コイツ。そう思いながらも、オレは声をかける。
「おい、何やってんだよ?」
「…ん?ああ、僕のことか。腕につけていたブレスの一部が取れてしまって、それを探してるんだ」
「ブレスの一部?どんなヤツ?」
「僕のイニシャルであるSと青い鳥のチャームだ」
オレも鞄をおろし、近くを探す。すると、ソイツの言っていたイニシャルと青い鳥を見つけた。
「なあ、これか?」
「え?」
ソイツが顔を上げた。
オレよりも大分明るい茶髪で右目が隠れるように長い前髪をした男。
ソイツの手にそれらを乗せてみると、「ああ、これだ」と喜んでいた。
「すまない。ありがとう」
「別に。大したことしてねェし」
「大事なものだったんだ。これは妹から誕生日にもらったブレスなんだ。見つかって良かった」
ま、気持ちはわかる。
確かにオレもアリスからもらった物を落としたら、こうやって必死に探すだろうな。
「なら、良かったな。じゃあ、オレはここで」
「待った!」
「……ん、ぐっ!」
鞄を持ち、立ち去ろうとしたら、いきなりソイツが後ろからオレの首元のシャツを掴む。持つところ、おかしくねェ!?
「名前を教えてくれ!」
「……った!わかった、から……一旦、離せ…っ!」
「あ、すまない…」
ようやく首元から離してくれた。マジで苦しかった!
「それで名前は?」
「1Aのハルク・ドルチェ」
「1A?僕も一緒だ!セツナ・マリンブルーだ」
「同じクラス??」
いたか?コイツ。オレの記憶にねェけど…。
「そうか。明日からよろしく」
「いや、明日は休みだからな?次に会うのは月曜日だ」
「そうだったな。それじゃあ、月曜日からよろしく頼む」
「ああ」
今度こそ、ソイツと別れた。
アイツ、意外に天然か?見た目は冷たい雰囲気に見えたけど、話すとそうでもねェ。
ちなみにその夜。
コウに連絡して、ソイツのことを聞いてみたら、かなり驚かれた。
『え。ハルク、知らなかったの!?入学してから3ヶ月も経ってるのに…』
「全然」
『マリンブルーくん、こないだの試験で全教科満点を取ってるんだよ!?』
マジかよ。
人は見た目じゃわからねェんだな…。
【END】
無事に試験も終えて、全教科平均点より少し下だったが、赤点さえなければ問題はねェ。
あとは夏休みを待つだけになった。早く休みになんねェかな。そしたら、アリスとあちこち出かけたいけど、アイツ、普通に誘っても来ないからな。
先日のお化け屋敷の時も説明しないまま連れて行ったから、あの手で行くしかねェか。
教室には、オレしか残ってない。
いつもなら、さっさと学校を出るのだが、今日は運悪く日直当番だったせいだ。席で日誌を適当に書いてく。よし、すべての欄を埋めた。書き終えて、立ち上がる。
さっさとこの日誌を出して、帰るか。
日誌を職員室まで出しに行った帰り。
鞄を持って、昇降口に向かっていると、廊下でよつんばになっている男がいた。上履きの色からして、オレと同じ一年だ。
何してんだ、コイツ。そう思いながらも、オレは声をかける。
「おい、何やってんだよ?」
「…ん?ああ、僕のことか。腕につけていたブレスの一部が取れてしまって、それを探してるんだ」
「ブレスの一部?どんなヤツ?」
「僕のイニシャルであるSと青い鳥のチャームだ」
オレも鞄をおろし、近くを探す。すると、ソイツの言っていたイニシャルと青い鳥を見つけた。
「なあ、これか?」
「え?」
ソイツが顔を上げた。
オレよりも大分明るい茶髪で右目が隠れるように長い前髪をした男。
ソイツの手にそれらを乗せてみると、「ああ、これだ」と喜んでいた。
「すまない。ありがとう」
「別に。大したことしてねェし」
「大事なものだったんだ。これは妹から誕生日にもらったブレスなんだ。見つかって良かった」
ま、気持ちはわかる。
確かにオレもアリスからもらった物を落としたら、こうやって必死に探すだろうな。
「なら、良かったな。じゃあ、オレはここで」
「待った!」
「……ん、ぐっ!」
鞄を持ち、立ち去ろうとしたら、いきなりソイツが後ろからオレの首元のシャツを掴む。持つところ、おかしくねェ!?
「名前を教えてくれ!」
「……った!わかった、から……一旦、離せ…っ!」
「あ、すまない…」
ようやく首元から離してくれた。マジで苦しかった!
「それで名前は?」
「1Aのハルク・ドルチェ」
「1A?僕も一緒だ!セツナ・マリンブルーだ」
「同じクラス??」
いたか?コイツ。オレの記憶にねェけど…。
「そうか。明日からよろしく」
「いや、明日は休みだからな?次に会うのは月曜日だ」
「そうだったな。それじゃあ、月曜日からよろしく頼む」
「ああ」
今度こそ、ソイツと別れた。
アイツ、意外に天然か?見た目は冷たい雰囲気に見えたけど、話すとそうでもねェ。
ちなみにその夜。
コウに連絡して、ソイツのことを聞いてみたら、かなり驚かれた。
『え。ハルク、知らなかったの!?入学してから3ヶ月も経ってるのに…』
「全然」
『マリンブルーくん、こないだの試験で全教科満点を取ってるんだよ!?』
マジかよ。
人は見た目じゃわからねェんだな…。
【END】