Summer Festival

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何か食いたいもんはないかと屋台を一人ブラブラしていた。二人は腹がいっぱいだからと神社のところで待っている。じゃがバターでも食うかなと見ていた時、その隣の屋台に知ってるヤツがいた。



「ターコイズ?」

「ドルチェくん!」


ターコイズは一人だった。確か、仲が良いアンデシン達と一緒に回っていたはず。



「一人?他のヤツは?」

「私がここにいたいから、先に行ってもらってるの」

「で、何してんの?」

「輪投げだよ。あそこにある景品が欲しくてやってるんだけど、なかなか取れなくて…」


ターコイズが指差した景品は、蝶々の髪飾り。色的にもターコイズが今着ている浴衣にも合いそうだ。

他に輪投げをやってるヤツを見た。あれくらいならオレでも出来そう。



「あの景品、何個入れればもらえんの?」

「あそこにある全部に一つずつ輪を入れないといけなくて」

「へぇ。やってみるか。おじさん!」


屋台のおじさんに金を払って、輪っかを受け取る。全部に一個ずつを入れればいいんだよな。

ターコイズも入れようと投げていたが、何個か外してしまったらしい。ガッカリしながら、景品のところに向かって行くのが見えた。



数分後。
何とか輪っかを全てに入れることが出来た。
景品のところに行き、交換してもらう。確か、ターコイズが欲しがってたのはこれか。蝶々の髪飾りをもらい、ターコイズを探す。

屋台から離れて、ガッカリと項垂れているターコイズを見つけて、そちらに向かう。



「……ターコイズ」

「ドルチェくん。どうだった?私、全然だめだったよ…」


ターコイズにさっき景品交換してもらった蝶々の髪飾りを差し出す。



「やるよ」

「え、だって、ドルチェくんが取ったのに…」

「オレ?特に欲しいのねェし。ターコイズが欲しかったんだろ?オレが持ってても仕方ねェし。いらねェなら…」

「いる!ありがとう!ドルチェくん」


喜んでるヤツにもらわれた方が髪飾りも嬉しいだろう。ターコイズが髪飾りを受け取る。



「やべっ。そろそろコウ達のところに行かないと。またな」

「うん、また後で!」


ターコイズとはそこで別れ、オレは二人が待つ神社に向かった。他のヤツらとも合流し、花火が見える場所を無事に確保した。
花火が始まるまでコウ達と喋っていた。

そろそろ花火の時間が迫ってきたらしい。女子達も続々と戻って来る。だが、さっき別れたターコイズの姿はない。



「なあ。ターコイズは?」

「ヒワ?え、まだ戻って来てないの?」

「さっき、トイレ行くとは言ってたけど」


探しに行った方がいいか?そう思っていたら、ターコイズが戻って来た。



「ごめん!遅くなっちゃった!」

「ヒワ!」

「大丈夫だよ。花火はまだ始まってないから」

「良かった!」


姿を見て、ホッとした。
すると、シンジュが悪い顔をして、オレに近づく。



「ハルク。ターコイズさんと何かあっただろ?」

「何もねェよ。輪投げの屋台で会って、一緒にいた。それだけ」

「もしかして、あの髪飾りかな??ターコイズさん、最初会った時はつけてなかったし」


コウがターコイズの髪についてる蝶々の髪飾りに気づく。目ざとい!仕方ねェから、さっきあったことを話す。



「へぇー。ハルクが取ってあげたんだ。基本、アリスさんのことしか考えてないお前が。珍しい…」

「お前こそ!義姉ちゃんしか見えてねェだろ!」

「まあまあ、二人共。ほら、花火が始まったから見よう!」


コウに言われ、空を見上げる。丁度、花火が打ち上がり始めた。
花火はキレイだった。色々な形、色で、鮮やかに夜空を彩る。

これを一緒に見られたら、良かったのに…。
でも、隣にいたら、花火よりアイツを見そうだな。



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