Vampire × Lovers

❰side H❱



「……なんだ?アリスのヤツ」


アリスがシアタールームを出た後、オレは一人でドラマを観ていた。二人が激しく互いを求め合うところだ。



「オレは別に悪くねェけど」


画面にオレと似たヤツ…ラルクとアリスに似たヤツ…アリアがベッドで抱き合ってる。だって、この二人も好き同士なんだろ?主人公は覚えてねェけど、幼い頃に出会っていて、ラルクはアリアのことをずっと好きでいたのに、覚えてなかったから、気づいて欲しくて冷たくしてるだけじゃん。
ま、オレも観ていながら、この男にはイライラしてたけど。さっさと告っちまえよ!って何度叫びそうになったことか。

アリスがちょいちょい口に出していた時とか、同じこと思っていたし。



「すごい剣幕でアリスが出て行ったけど、これ観てたからか…」

「カルロ」


アリスと入れ替わるようにカルロが入ってきて、隣に座った。



「ああ、ヴァンパイア×ラヴァーズか…。お前が観てるなんて珍しいね。このシーンが観たかったから?」

「違ェよ!最初からずっと観てたんだよ。そしたら、アリスがぶちキレて、出て行っちまった…」

「アリス。ルクが好きだったんじゃない?リクにそっくりだし。これだとお前とヤッてるみたいだし」

「……っ!?」


確かにそう見えなくもねェけど。
アリス、ルクってヤツのことは好きなんだろうとは思ってた。すげーリク兄に似ていたし。だからか、横目でチラっと見た時に主人公の女と同じ顔して、観てたからな。ちょっとそれにムカついたけど。



「よくここまで持ったんじゃないかな。この後、ルクが殺されちゃうからさ」

「え…」


その時、場面は変わり、ルクが何かを調べており、何かに気づいてしまった。



『そうだったのか!だから……っ!?』


何者かに背後から襲われ、倒れる。苦しみながら、相手の顔を見ると、ルクが驚きの表情をする。そして、死んでしまった。

カルロの言う通りになって、第一シリーズはそこで終わってしまった。



「カルロ、これ観たことあんの?」

「うん。女の子とね。その子が俺に似てるキャラがいるっていうから、一緒に観てたんだ。俺は似てるとは思わなかったけどね」


カルロに似てるのは、長男のリルロ。メイド達に優しく接しているが、実は大の人間嫌いな吸血鬼。主人公のことも内心嫌っていたのだが…。

ミルに聞いたところ、第六シリーズでは主人公と恋仲になっているらしい。え、ラルクは?どうなったのか聞いたら、敵に捕まり、その敵に翻弄されて、快楽に堕ちてしまっているらしい。その敵が主人公と同じ顔しているとか言ってたな。おい、好きな女と同じ顔なら誰でもいいのかよ!


ちなみに第二シリーズではラルク、第三シリーズはレスク、第四シリーズはロラ、第五シリーズはルイと恋仲になる。

オレもこれで観るの止めっかな。流石にもうラブシーンはお腹いっぱい。まだ自分に似たヤツとなら観られたけど、他のヤツとのラブシーンなんか見たくねェ。本人達じゃねェけど、何か嫌だ。



「第二シリーズは観ないの?」

「今はいい…」

「アリスを抱いてるシーンも観たから?第二シリーズだともっと激しくなってるよ。下手なAVよりエロいって、言ってるやつもいたし」

「違ェよ!飽きたんだって。てか、アリスじゃなくて、アリアだろ!あの主人公は」

「あれ?そうだっけ?」


コイツ、絶対にわざとだろ!
でも、第二シリーズ、また別の日に観るかな。…気になるし。ラブシーンが気になるわけじゃねェ。あの二人がどうなるかが気になるだけだ!

Blu-rayは後で片そう。何かずっと観てたら、疲れた。オレもシアタールームを出た。腹減ったな。何かアリスに作ってもらおう。





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