Vampire × Lovers

廊下を歩いていたら、お坊っちゃまがどこかの部屋に入っていくを見かけた。気になって、声をかけた。



「お坊っちゃま、何してるんですか?」

「アリス!ここで借りたドラマを観ようと思ってさ」


お坊っちゃまがいたのは、シアタールーム。確かにここなら、映画館並に迫力ありそう。

あれ。そういえば、前にここでライ様がAVを観てたのよね。大音量で廊下にまで声が漏れてて、それに気づいたメイドの子が中に入ったら、女の子と見ながらヤッてたって。あの人、本当にどうしようもないわ。私、その時、たまたま屋敷からいなかったから、知らなかったけど。後で他の子から話を聞いて呆れたし。



「ドラマですか?」

「そう。何か今流行ってる吸血鬼のドラマでさ、出てる登場人物がうちと似てるとか言われて、見てみることにしたんだ。第七シリーズまで続いてるんだって。取りあえず、第二シリーズまでは借りたけどな」

「そんなに続いてるんですか!?へぇ。どんなのですか?」


お坊っちゃまにBlu-rayのパッケージを渡された。
ヴァンパイア×ラヴァーズというタイトル。内容を読んでみると───





とある屋敷に勤めるアリアは、その屋敷の息子の一人である次男のルクに密かに恋心を抱いていた。雇い主の息子とメイド。結ばれるわけがないと思いながらも焦がれていた。しかし、あることがきっかけで二人は互いが好きなことに気づき、恋人となる。隠れながらも愛を育む二人。そんな時、アリアはルクから自分が吸血鬼であることを明かされる。だが、アリアはルクが吸血鬼であっても構わないと受け入れた。更に愛を深める二人。そんなある日、屋敷内でアリアは誰かに襲われ、血を吸われる。その相手は普段からアリアに対してだけやけに冷たい屋敷の息子の五男・ラルクだった…。



あれ?これ、メイド達の間でも流行ってるドラマだな。何かこれにカルロ様に似た長男が出てて、親衛隊達の子が騒いでいたし。他のメイド達もここの兄弟達に似てるとか話してて、「主人公は●●とくっつく」とか議論してたのよね。私、どんなものか観たことなかったんだよね。気になる!私も観たい。



「お坊っちゃま、私も一緒に観てもいいですか?」

「え、いいけど。平気なのか?」

「取りあえず、掃除は終わらせましたから。少し観てから、適当に戻ります」

「ハマるなよ?」

「ハマりませんよ!」


そして、お坊っちゃまと一緒に話題の吸血鬼のドラマを観ることにした。



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