Summer Cottage(Ⅳ)

翌日。

朝、二人がまだ起きないから、私は先に食堂に一人で来ていた。朝が早いせいか、食堂の中も人が少ない。
窓際の席で食べていたら、コルクが私の前にやってきた。



「おはよ、アリス。一人?」

「おはよう。うん。二人、まだ寝てるから」

「ここに座ってもいい?」

「どうぞ」


私の向かい側にコルクが座った。すると、彼女は食事しながら話しかけてくる。



「アリスは昨日、肝試しで何か見た?幽霊とか?」

「……」


どう言えばいいのだろうか。返答に困った。だが、ここは正直に言おう。



「お坊っちゃまは見えてなくて、私だけ見たよ」

「そうなんだ。実はあそこの小学校さ、何パターンかの幽霊の目撃があってさ。それによって違うんだよ?」

「え?どういうこと??」

「何も見ないのは、特にないんだけど。他の皆に聞いてみたら、子供の幽霊を見たってのが一番多くて、この子はただ皆の驚いた顔が見たいだけだから、特に害はないんだ」

「え、私は白い着物を着た幽霊を見たけど」

「白い着物?ああ。白い着物を着た幽霊は、恋を応援してくれるんだって」

「え?応援??誰と」

「一緒にいた相手だよ。その人と結ばれるように驚かせるみたい」

「……………は?」


ということは、何?あの幽霊は私とお坊っちゃまの仲を応援しようと驚かしてきたってこと?そんなまさか。



「……なんじゃそりゃー!?」

「あれがきっかけで恋人になったり、結婚したカップルも意外にいるらしいよ。その幽霊を見たのは、今回はアリスともう一組だけなんだよね!」

「お坊っちゃまは見てないのに!?」

「ああ、きっと怖がっていたからじゃないかな?怖がる人には姿を見せないらしいから」

「私も怖かったんだけど!」

「アリス、普段は幽霊とか見て怖がるタイプじゃないでしょ?だから、アリスにしか姿を見せなかったんだって言ってたよ」

「へぇ………ん?誰がそう言ってたの?」

「その幽霊・シロミさんが言ってたんだ。アリスのことも褒めていたよ。怖がってるハルク様のことをちゃんと守ってあげてたって。しかも、二人なら相性もピッタリだから幸せになれる。結婚まで行くんじゃないかとも言っていたよわね」


何か占われているみたいに思うの、私だけ?生前は占い師だったの?あの幽霊さんは。



「……でも、あの校舎に入った時、変な感じがしたけど。じゃあ、あれは何?」

「アリスは感じたんだ!あれはモンクさんという強面した男の幽霊がいて、生きてる人間はすぐ散らかしてくんだからって怒ってるからだよ。誰かが校舎に入る度にまた来た!って睨むんだよ。だから、そう感じるんだよ」

「え…」


あの時はすごい怖かったのに、何かその話を聞くと怖さが抜けてく。



「それじゃあ、あそこにいた幽霊達はやばくないの?」

「ううん。やばいのもいるよ。昨日は姿を見せなかったから、肝試しが出来たんだし。じゃなきゃ、皆、ピンピンしてないよ!」


そうなんだ。
確かに怖い番組とか見ると、よく肝試しに行って、恐怖体験にあった人とかあったわよね。



「コルクって、霊感あるの?」

「うん、霊感はあるよ。昔からよく見えていたし。それでいじめられたこともある。でも、見えて嫌なことばかりじゃないから」

「コルク…」

「だから、アリスももう少しは考えてあげなよ。じゃあ、私、これからお風呂に入るから!」


そう言って、コルクは食べた食器を持って、行ってしまった。

だから、何を考えるの??コルクが言った意味がよくわからず、私は頭を抱えた。





【続】
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