Sports Day 前




それからしばらく経ってから、午前の競技が終わり、昼休憩となった。
少しして、お坊っちゃまとドラ様がやって来た。



「アリス!」

「お坊っちゃま、ドラ様。見てましたよ!お二人共、頑張ってましたね」

「オレ、一位になった!褒めて!アリス」

「すごいです!頑張りましたね、お坊っちゃま」

「へへっ」

「アリス、ありがとう。アリスのお陰で何とか最後まで走れた」

「いえ。ドラ様が頑張ったからですよ。怪我は大丈夫ですか?」

「うん。すぐ保健室行って、手当てしてもらったから!」


確かに懐いてくれてる。嬉しいな。



「てか、何でお前らもいんの?オレ、アリスしか呼んでねェのに」

「うわっ。アリスと俺らに対して、全然態度が違げーよ、こいつ」

「俺達にもアリスにするみたいに甘えたら?ハルク」

「絶対ヤダ!」

「まあまあ。さて、どこでお昼を食べるんですか?ここは狭いですし」

「テラスがあるから、そっちに行こうよ。そこなら席も屋台もあるから」

「オレ、アリスの弁当あるから、それだけでいい」

「はいはい。アリスの弁当を独占したいのはわかったから。取りあえずはテラスの方に行くよ」


私達はテラスの方へ向かうことになった。

お弁当はカルロ様が持ってくれている。最初はお坊っちゃまが“オレが持つ!”ってきかなかったけど、カルロ様に“お前、午後も競技あるんだろ?これ持って、負けたところをアリスに見られたくないだろ”と言われて、渋々離してたけど。


テラスの方には、沢山の人達がいて、それぞれの家族が仲良く食べていた。中には子供達が友達同士だからか、一緒に食べてる人達の姿もあった。



「給食とお弁当に分かれていても、意外にご家族と食べる方も多いんですね…」

「こういう時じゃないと学校の中で家族と一緒に食べれないからね」

「家族が来れないヤツは給食だけどね。オレも今までそうだったし」

「オレはアガットが料理長に弁当を頼んで、持ってきてくれた時があったぜ」


そうだったんだ。
運動会だからって、兄弟で一緒に食べてなかったんだ。



「あれ?そういえばライ様は?」


さっきまで一緒にいたのに?声がしないと思ったらいないわ。トイレでも行ったのかしら。



「ああ。ライは放っておいて大丈夫だよ」

「どうせ女と一緒だよ」

「え、まさか、人妻ですか?やばくないですか!?不倫!しかも、あの人はまだ16ですよね!?」

「人妻じゃなかったぜ。アリスくらいの年齢の女だったし」


あ、なら良かっ……良くない!
何でこんな時でも盛ってんのよ。信じられないわ。



「ライ様って、まさかと思いますけど、タイプなら人妻にまで手を出すんですか?」

「「「……」」」


3人共、無言。
つまりは人妻にも手を出したことあるのね。



「アリス。あのね、人妻だけじゃないんだよ?旦那もあるから、ライの場合」

「えぇ。それ、浮気された奥さんは立場ないじゃないですか!」

「普通は言いにくいだろうね。でも、その人、うちに慰謝料を要求してきたよ」

「図太い」

「でも、離婚したんでしょ?男の方がライに夢中になっちゃったから」

「ライはすぐに飽きちゃったから、一緒にはならなかったけど。それ以来、その人、恋愛対象は男に変わったみたい」


もう理解が出来ない世界だわ。
相手がいる人に手を出すこと自体、信じられないことなんだし。



「アリスはどうする?もしも、旦那に浮気されたら?」

「うーん、まだ恋人もいない身なんですが、取りあえず理由は聞きます」

「浮気した理由を?」

「相手だけを責められないじゃないですか?私に何かあったから、別の方に走ってしまったのかもしれませんし」

「理由がなかったら?」

「それはもちろん、一発は叩き…いえ、ぶん殴りますね!」


静まり返られた…。
だって、理由もなく浮気されたら怒るよね?



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