Summer Cottage(Ⅳ)

一時間後。
私は二人と一緒に食堂へ夕食を食べに来た。食事はブッフェ式だったから、お坊っちゃま達人数が増えても問題はなかったようだ。

そんなお坊っちゃまは、何故か私と同じテーブルで私の隣で食べていた。その隣のテーブルにはアガットさん、アンバーさんやタスク様、カルロ様もいた。お陰で親衛隊からの視線が刺さっている。
何で?私、隣に座っていないのに!?

ちなみにライ様だけは別荘に帰された。ノワールさんが連れて帰ったんだけど。「責任取って、ライ様を連れ帰りますね!」と言って。



「お坊っちゃま、別荘には帰らないんですか?」

「オレにさっさと別荘帰って欲しいのかよ」

「そうじゃないですけど」


だって、ここは使用人達しかいない旅館だから。お坊っちゃま達はちゃんと別荘があるのだし。

そこへ同じメイドのコルクがやって来て、私達に話しかけてきた。



「ねぇ、ベゴニア達はどうする?この後、参加する?」

「肝試しだっけ?私は参加する。二人はどうする?」


ベゴニアが私とスマルトに聞いてくる。この後は特に何もないしな。



「行くわ。楽しそうだし」

「私も!」

「三人参加で。他の人達も参加してる?」

「結構参加してるよ。一部は来ないけど」


その一部は親衛隊達のことだろう。あの人達、カルロ様がいないと基本参加しないから。いなくていいけど。



「アリス。お前、肝試しに行くの?」

「行きますよ。この後は特に何もないですから。お坊っちゃまは別荘に帰るんですよね?」

「オレは…」

「はーい!オレも肝試しに参加したい!」


タスク様が手を上げる。どうやら聞こえていたらしい。コルクが驚いていた。



「タスク様!?」

「だってさ、このまま別荘に帰ってもつまんねェし。退屈なんだもん!」

「確かにタスクの言う通りかもね。俺も参加しようかな。肝試し」


その声に背後の方からガタッとイスから立ち上がる音。今のはテラコッタかな。カルロ様がいるとなれば、参加するだろう。



「なら、今日はあっちに帰らないで、こっちに泊まれば良くね?貸切だから、どうせ部屋は余ってるでしょ」

「さっき、旅館のスタッフに確認しました。部屋は空いているので、こっちに泊まれるように人数分の部屋は用意してもらっています」

「よし。これで安心して参加出来る!」


え。タスク様とカルロ様は別荘に帰らないの?そんなに向こうは退屈なの?静かでいいんじゃないの。私はそっちの方がいいけど。



「ハルクは参加しないだろ?」

「え?」

「お前、怖いのダメじゃん。先に別荘に帰れば?」

「お坊っちゃま、別荘に帰るなら送りますよ。俺も報告しに行かないといけないので」

「……」


お坊っちゃま、何か迷ってる?何を迷っているんだろう。肝試しに参加しないから、別荘に帰った方がいいのに…。



「オレも肝試しに参加する!」

「えー?お化け屋敷も一人で入れないヤツが?」

「一人じゃないとは思うけど。相手は誰になるかはわからないよ。アリスとなれる保証もないし」


え、私と組むの?たまには違う人でもいいと思う。流石にお坊っちゃま相手に失礼なことしないはずだ。



「肝試しに行く!別荘には帰らねェし!」


お坊っちゃまが宣言した。



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