Summer Cottage(Ⅲ)
「いた!アリス!!」
どうやらハルクがアリスを見つけたようだ。駆け出して行く。
「本当に見つけると、すばやいな。あいつは…。アガット、行くよ」
「はい」
ハルクを見失わないように後を追いかける。
アリスがいた。仲がいいベゴニアとスマルトの後ろに隠れていた。他にも仲が良いメイド達と遊んでいたのだろう。その前に見知らぬ男が6人いた。もしかして、ナンパ?
それにしては雰囲気が…。
「あー!あの時のガキ!」
「は?……ああ、アリスの胸しか見てなかったヤツじゃん!何でいんだよ」
ナンパくんの一人がハルクを見て、喚いていた。え、知り合い??
すると、アガットが小声で教えてくれた。
「(こないだお坊っちゃまがクラスの子達とプール行った時にアリスさんと偶然会ったんですよ。その時にアリスさんを追いかけてきたのが、あの人らしいです)」
「(あー。アリスが逃げてきたのを追いかけてきたわけか。アリス狙いだったんだろうな)」
胸しか見てないって、そういうことを狙っていたわけか。
ナンパくんを見てみた。そこまでかっこよくも変でもない。ちょっとチャラい感じの普通の男。
だが、明らかにアリスのタイプではない。ああいうタイプは好きじゃないだろう。だから、二人の後ろに隠れているのか。アリスは意外と変なのに好かれるからな。
他の男達もナンパくんと似たようなものだった。類は友を呼ぶというからね。
「ともかく私はあなたと遊ぶつもりはありません!他をあたってください!」
「何で。せっかくまた会えたんだからさ!俺達、きっと運命で結ばれているんだよ。こっちも友達いるし、アリスちゃんの友達も一緒に遊ぼう?」
「嫌よ。私も遊びたくないわ」
「ええ。よそをあたってくれないかしら?」
二人もあっさりと断り、その場にいた他の女の子達も同様だった。
「ほら、こう言ってんだから、いい加減、諦めたらどうなんだよ!しつけェよ!」
「このガキ、さっきから思ってたけど、マジ生意気!!」
「大人の怖さがわかってねーんじゃね?教えてやろうぜ!」
「は?じゃあ、教えてくれよ?全然、怖くねェからさ」
ハルクは相手を更に煽ってる。あいつの喧嘩っ早いのは、誰に似たんだか。親父か?
そんなハルクの元にナンパくんの仲間達が向かって行く。しかし、ナンパくんの仲間達の前にいつの間にかアガットが立ち塞がっていた。
「お坊っちゃまに何をするんですか?」
「何だ!てめえ。」
「そのガキに大人に逆らったらどうなるかを教えてあげんだよ!」
「だからさ、邪魔すんなよ!にーちゃん」
「そのキレイな顔に傷がついちゃうぜ?」
「……。邪魔はあなた達です」
「うっせー!こいつからやっちまおうぜ!」
アガットがナンパくんの仲間達を一撃で倒していき、あっという間に全員倒した。
普通の男達がアガットに勝てるわけないよな。あれくらいの相手なら、アガットからしたら子供相手してるみたいなものだし。
「大丈夫ですか?お坊っちゃま」
「あれくらいなら、オレでも倒せた!」
「俺はあなたの執事ですよ。危険からお守りするのは当然ですから」
「……ありがとう、アガット」
「はい!」
俺とアンバーでは、ああはならないだろうな。そうなっても嫌だし。あれはあの二人だからもある。
「離してください!」
アリスがナンパくんに腕を掴まれ、連れて行かれた。俺達が目を離した隙にアリスに近づいたわけか。
「アリス!」
「ちょっと!アリスを離しなさいよ!」
ベゴニア達も追うが、人が多くて、なかなか追いつけない!
「アリスちゃん。俺と一緒に楽園に行こう!」
「嫌です!」
まずい。このままではアリスを連れて行かれる!後を追いかけるが、人が居すぎて、差が全然縮まらない。
「アリスから汚ねェ手を離せ!」
「アリスさん!」
「誰が離すかよ!アリスちゃんは俺のものだ」
ハルクとアガットですらも追いつけない。そんな時、ナンパくんの前に誰かが立っていた。
「なあ、楽園に連れて行ってくれんの?」
「はあ?」
突然、現れたライにナンパくんは、あからさまに嫌な顔を向ける。
「ライ様!?」
「ライ、そいつを捕まえろ!」
「どけよ!邪魔!!」
ライの体にぶつかり、先を急ごうとする。だが、それを素直に見逃すわけがない。ライはナンパくんの腕からアリスの手を離す。
「ふざけんな!何してくれてんだよ!」
「は?ふざけてねーよ。俺は!!」
ライがナンパくんの首を掴み、片手で絞め上げる。彼の苦痛の顔を見て、ライが笑う。
「……っ!…ぁ」
「へぇ。思ったよりはイイ顔すんじゃん!もっと見せろよ?ほら!」
「……くっ!…ぅぁ…っ」
「楽園を見せてくれんだろ?なあ!」
「ライ様!やめてください!」
近くにいたアリスがライを必死に止めようとするが、あれくらいで止まるやつじゃない。あのバカ。暑さでキレてるな。
あと少しでその場所に着こうとした時───
「ライ様。少し落ちついてください、ね!」
「……っ!?」
その時、ライの背後から手刀を振り下ろした人間が現れた。それにより、ライは気を失った。親父の執事であるノワールだった。
そこにやっと辿り着き、ハルクやアガット達も追いついて、アリスに声をかける。
「アリス!」
「アリスさん、大丈夫ですか!?」
「私は大丈夫です。でも…」
アリスが倒れているライとナンパくんに目を向ける。ナンパくんは咳き込んでいた。ライに思いっきり首を絞められていたからな。
「ごほっ、ごほっ…助かった…」
すると、ノワールがナンパくんの耳元に口を寄せ、何かを話していた。彼は何故か真っ青な顔になると、すばやく立ち去った。
一体、何を話したんだかね…。
【続】
どうやらハルクがアリスを見つけたようだ。駆け出して行く。
「本当に見つけると、すばやいな。あいつは…。アガット、行くよ」
「はい」
ハルクを見失わないように後を追いかける。
アリスがいた。仲がいいベゴニアとスマルトの後ろに隠れていた。他にも仲が良いメイド達と遊んでいたのだろう。その前に見知らぬ男が6人いた。もしかして、ナンパ?
それにしては雰囲気が…。
「あー!あの時のガキ!」
「は?……ああ、アリスの胸しか見てなかったヤツじゃん!何でいんだよ」
ナンパくんの一人がハルクを見て、喚いていた。え、知り合い??
すると、アガットが小声で教えてくれた。
「(こないだお坊っちゃまがクラスの子達とプール行った時にアリスさんと偶然会ったんですよ。その時にアリスさんを追いかけてきたのが、あの人らしいです)」
「(あー。アリスが逃げてきたのを追いかけてきたわけか。アリス狙いだったんだろうな)」
胸しか見てないって、そういうことを狙っていたわけか。
ナンパくんを見てみた。そこまでかっこよくも変でもない。ちょっとチャラい感じの普通の男。
だが、明らかにアリスのタイプではない。ああいうタイプは好きじゃないだろう。だから、二人の後ろに隠れているのか。アリスは意外と変なのに好かれるからな。
他の男達もナンパくんと似たようなものだった。類は友を呼ぶというからね。
「ともかく私はあなたと遊ぶつもりはありません!他をあたってください!」
「何で。せっかくまた会えたんだからさ!俺達、きっと運命で結ばれているんだよ。こっちも友達いるし、アリスちゃんの友達も一緒に遊ぼう?」
「嫌よ。私も遊びたくないわ」
「ええ。よそをあたってくれないかしら?」
二人もあっさりと断り、その場にいた他の女の子達も同様だった。
「ほら、こう言ってんだから、いい加減、諦めたらどうなんだよ!しつけェよ!」
「このガキ、さっきから思ってたけど、マジ生意気!!」
「大人の怖さがわかってねーんじゃね?教えてやろうぜ!」
「は?じゃあ、教えてくれよ?全然、怖くねェからさ」
ハルクは相手を更に煽ってる。あいつの喧嘩っ早いのは、誰に似たんだか。親父か?
そんなハルクの元にナンパくんの仲間達が向かって行く。しかし、ナンパくんの仲間達の前にいつの間にかアガットが立ち塞がっていた。
「お坊っちゃまに何をするんですか?」
「何だ!てめえ。」
「そのガキに大人に逆らったらどうなるかを教えてあげんだよ!」
「だからさ、邪魔すんなよ!にーちゃん」
「そのキレイな顔に傷がついちゃうぜ?」
「……。邪魔はあなた達です」
「うっせー!こいつからやっちまおうぜ!」
アガットがナンパくんの仲間達を一撃で倒していき、あっという間に全員倒した。
普通の男達がアガットに勝てるわけないよな。あれくらいの相手なら、アガットからしたら子供相手してるみたいなものだし。
「大丈夫ですか?お坊っちゃま」
「あれくらいなら、オレでも倒せた!」
「俺はあなたの執事ですよ。危険からお守りするのは当然ですから」
「……ありがとう、アガット」
「はい!」
俺とアンバーでは、ああはならないだろうな。そうなっても嫌だし。あれはあの二人だからもある。
「離してください!」
アリスがナンパくんに腕を掴まれ、連れて行かれた。俺達が目を離した隙にアリスに近づいたわけか。
「アリス!」
「ちょっと!アリスを離しなさいよ!」
ベゴニア達も追うが、人が多くて、なかなか追いつけない!
「アリスちゃん。俺と一緒に楽園に行こう!」
「嫌です!」
まずい。このままではアリスを連れて行かれる!後を追いかけるが、人が居すぎて、差が全然縮まらない。
「アリスから汚ねェ手を離せ!」
「アリスさん!」
「誰が離すかよ!アリスちゃんは俺のものだ」
ハルクとアガットですらも追いつけない。そんな時、ナンパくんの前に誰かが立っていた。
「なあ、楽園に連れて行ってくれんの?」
「はあ?」
突然、現れたライにナンパくんは、あからさまに嫌な顔を向ける。
「ライ様!?」
「ライ、そいつを捕まえろ!」
「どけよ!邪魔!!」
ライの体にぶつかり、先を急ごうとする。だが、それを素直に見逃すわけがない。ライはナンパくんの腕からアリスの手を離す。
「ふざけんな!何してくれてんだよ!」
「は?ふざけてねーよ。俺は!!」
ライがナンパくんの首を掴み、片手で絞め上げる。彼の苦痛の顔を見て、ライが笑う。
「……っ!…ぁ」
「へぇ。思ったよりはイイ顔すんじゃん!もっと見せろよ?ほら!」
「……くっ!…ぅぁ…っ」
「楽園を見せてくれんだろ?なあ!」
「ライ様!やめてください!」
近くにいたアリスがライを必死に止めようとするが、あれくらいで止まるやつじゃない。あのバカ。暑さでキレてるな。
あと少しでその場所に着こうとした時───
「ライ様。少し落ちついてください、ね!」
「……っ!?」
その時、ライの背後から手刀を振り下ろした人間が現れた。それにより、ライは気を失った。親父の執事であるノワールだった。
そこにやっと辿り着き、ハルクやアガット達も追いついて、アリスに声をかける。
「アリス!」
「アリスさん、大丈夫ですか!?」
「私は大丈夫です。でも…」
アリスが倒れているライとナンパくんに目を向ける。ナンパくんは咳き込んでいた。ライに思いっきり首を絞められていたからな。
「ごほっ、ごほっ…助かった…」
すると、ノワールがナンパくんの耳元に口を寄せ、何かを話していた。彼は何故か真っ青な顔になると、すばやく立ち去った。
一体、何を話したんだかね…。
【続】