side Agete

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お坊っちゃまと話していたら、少しして、アリスさんが俺の前にたこ焼きとお好み焼き、お茶を置いてくれた。



「アガットさん、お待たせしました!」

「うわぁ、どちらも久々に食べますね…」

「お口に合えばいいんですが」


お祭りなんて、随分と行っていない。だけど、行っていた頃はこの二つはよく食べていた。弟達や父さんとよく分けて食べたりして…。



「いただきます!」


早速、用意してもらったお好み焼きとたこ焼きを食べてみる。



「どっちもおいしいです!」

「良かったです。お祭りで出すような味にはならなかったんですけど」

「そんなことないですよ」


屋台とは味は違うけれど、それは当たり前だ。それにアリスさんが一生懸命作ってくれたんだ。おいしいに決まってる。

その後もかき氷が用意されていて、三人で仲良く食べた。





「お祭りか。私も行きたくなってきたな…」

「じゃあ、一緒に行こうぜ!」

「何言ってるんですか?お坊っちゃまは約束しているんですから、お友達と行ってください!」

「何でだよ!」


お坊っちゃまがアリスさんに一緒にお祭りに行こうと何度も誘うが、OKすることはなかった。

お坊っちゃまが着替えに行くと、出て行ってから、片付けを手伝いながらアリスさんに話しかけた。



「どうして、お坊っちゃまと行かないんですか?」

「お坊っちゃまは、もっと同じ歳の子達と過ごした方がいいからですよ。だって、もったいないじゃないですか?大人になってから、昔を思い出した時に思い出がないなんて。お坊っちゃまにはそうなって欲しくないんです」

「アリスさん…」

「私も学校に行ってる時は楽しかったんです。嫌なこと、辛いこと、悲しいこととかもありましたよ?でも、楽しいことも沢山ありましたから。それらはいつかは大切な思い出になります」


俺も両親がいなくなるまではそうだった。

毎日が当たり前のように過ごしていたけれど、振り返れば楽しかった。両親達も休みの日には一緒に出かけたり、誕生日にはお祝いしてくれたし。

もう両親には会えないけれど、両親がしてくれたことは俺が弟達にしていこうと思う。

それもいつか自分の家族へ繋いでいっていけたらいいと思う。


なんて、俺にも家族は出来るのかな。今は全然考えられないけれど。

いつか家族が出来るのなら、俺の隣には───。





【END】
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