Cross Over
本も無事に買い終え、エレナちゃんに何かおみやげを買っていこうと他のフロアを歩き回っていた。
何がいいかな。一緒に食べられるものがいいかな。エレナちゃん、甘いもの好きだし。でも、お菓子だけじゃなく、飲み物もいるよね。そしたら、食品フロアに行っ───
「まったく何してるんですか!お坊っちゃま」
「迷子じゃねェって!お前達が迷子になってんだろ!」
「迷子はお坊っちゃまです!あー言えば、こう言うんですだから!」
「言ってねェよ!」
少し離れたところから、そんな会話が聞こえてきた。見てみると、また見覚えのある二人。
アリス様とハルクさん??
でも、ハルクさんは少し幼いような…。しかも、こっちは主従関係が反対のようだ。だけど、やりとりは屋敷の彼らとほぼ変わらなかった。
「まあまあ、アリスさん。ハルクも無事に見つかったんですから」
「すみません。リク様、この迷子坊っちゃまが迷惑をかけてしまって。ほら、お坊っちゃま。リク様に謝ってください。一緒に探してくれたんですから」
「ごめん、リク兄…」
アリスさんに言われて、頭を下げるハルクくん。すると、謝られた彼が笑っていた。
「ふふふ」
「リク様?」
「すみません。何だかアリスさんがハルクのお母さんに見えてしまって」
「え!?嫌ですよ!こんなワガママな息子」
「オレもヤダ!こんなやかましいのが母親なんて」
「気は合ってるのに…」
僕もそれは思った。
しかし、二人はまたぎゃあぎゃあと言い合っていた。面白いな…。
「ほら、知らない人にまで笑われてるじゃないですか!お坊っちゃまのせいですよ」
「オレのせいかよ!お前もだろ!!」
「まあまあ、二人とも」
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