Cross Over

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しばし回っていたら、欲しい本が数冊増えてしまった。これでも減らしたのに、まずいな。これ以上は増やさないようにしなきゃ。よし、会計しよう。

そう考えていたら───



「なあ」

「はい?」


後ろから誰かに肩をたたかれた。
振り返ると、そこにいたのはライ様だった。



「ライ、様?」

「え、何で俺の名前、知ってんの?」

「え?僕は屋敷で…」

「うちの屋敷にいた?おっかしいなー。お前みたいなやついたら、すぐ俺の専属執事にすんのに」


専属執事??
何かライ様なのに、話が噛み合わないような気が。

しかも、目の前にいるライ様は元気で、具合が悪そうにも見えなかった。
僕が屋敷出る前に覗いてみたら、弱々しいライ様が執事長に「おれ、もうダメかも。カルロ、最後に一回だけ…」「何言ってるんですか。謹んでお断りします!!」といつものやり取りしてたけど。





「ま、いいや。ちょっと付き合えよ!」

「え…」

「こーら、ライ!」


ライ様に手を引かれた時、誰かがやって来た。振り返ると、そこにいたのは───



「執事長…?」

「………え」


僕の前にいたのは、執事長だ。私服でもキッチリと着ているのに随分とラフな格好。だが、彼も今日は仕事で屋敷にいるはずだ。

その少し後ろには、口元にホクロがある男の人が控えており、歳は僕と同じくらいだろうか?彼はうちの屋敷にはいなかったはず。見たことないし。



「げっ、カルロ。何でいんだよー!邪魔すんなって」

「何を言ってるんだ。お前が彼の邪魔をしてるんだよ!」


もしかして、別人?
僕を知っているなら、普通に声をかけるはず。しかし、この二人は僕の顔を見ても名前を呼ばない。

すると、執事長が僕の方に顔を向けた。



「ごめんね。こいつにしつこく絡まれなかった?」

「あ、いえ、大丈夫です…!」

「お前が邪魔しなきゃいけたのにー」

「いけるか。調子に乗るな!ほら、行くぞ。リク達も待ってるんだから」

「仕方ねーな。…バイバイ。また会えたら、その時は付き合ってねー!」


執事長に服の首元を掴まれながら、ライ様は僕に手を振って去っていく。
一応、手は振り返しておいた。そしたら、ライ様はこっちに来たかったみたいだけど、執事長に更に首元を強く掴まれていた。

あの人、うちの執事長よりも容赦ないような…。





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