Sports Day 前




そして、運動会当日。
お坊っちゃま達の学園に向かうため、アガットさんの車に荷物を入れる。お弁当は多めに作ったし、飲み物も入れた!



「アリスさん、忘れ物ないですか?」

「大丈夫です。さ、お坊っちゃま達の学校に行きましょう!」

「あれ?アリスじゃん。どっか行くの?」


学校に行ったはずのライ様がいた。え、何でいるの?私立は土曜日でもあったわよね。
というか、学校着く前に帰って来たんじゃ…。



「お坊っちゃまの学校に…。今日は運動会なので」

「へぇ、運動会なんだー!俺も見に行こうかな」

「え、いや、それは…」


お坊っちゃまが嫌がりそうだし、私もライ様と二人は嫌だわ。前の一件もあるし。



「アリスとライ。二人はそこで何してるの?」


カルロ様まで現れた。私、今日は厄日なの?占いをチェックしとくんだった!



「アリスがハルク達の運動会に行くんだって。俺も行ってみようかと思って」

「そうなんだ。暇だから、俺も行こうかな…」

「いえ、運動会には私だけで行きますから」






何故こうなった!

私は二人の間に座らせられていた。いや、最初から断ったわ!なのに、二人が強引に乗ってきたのよ。仕方ないから諦めざるを得なかった。私が何を言ったって来るわよ、この人達は…。

学園に着くと、私達だけ車から降りた。アガットさんは私に「また帰りに迎えに来ます。俺の分までお坊っちゃまを応援お願いしますね」とだけ告げて、仕事に行ってしまった。

きっと本当は見たかったんだろうな。よし、アガットさんの分まで応援しなきゃ!



「カルロ様とライ様ですよね?」

「今日はどうしてこちらに?」

「休講だったので、弟達の応援に来たんですよ。前から母校には行きたいなと思ってて、今日は久々に来られて嬉しいんです。皆さんにも会えましたし」

「そうそう。弟達を見に来たんだよねー」


少し離れてる間に女性達に囲まれてるし!
呆然と立っていたら、ライ様に声をかけられた。



「アリス、何してんのー?」

「今、行きます…!」


あの子、何…という視線が怖い!
私はメイドなだけなので、どちらの彼女でもありませんからね!



「それじゃあ、すみません。僕達はこれで…」


カルロ様が愛想良く、周りにいた人達にそう告げて、輪の中から抜けてきた。



「荷物、その貸して。アリス」

「いえ、大丈夫です。自分で持てますから!」

「貸してくれないとアリスごと運ぶけど?」

「わ、わかりました。ありがとうございます。荷物をお願いします」


流石に私ごと運ばれたくはない。
この人、本当にやりそうだし。目立つわけには行かない!

※既に目立っていることにアリスは気づいていません!(笑)





学園に入る時、お坊っちゃまとドラ様に渡された招待券を渡す。どうやら、これ1枚で2名までが入れるようになっている。私立だから流石に無関係の人間は入れないようにしてるようだ。事件あったら大変だしね。

でも、この二人がいたおかげなのか、結構いい場所では見ることが出来た。だって、案内された席が見やすい場所の最前列なんだもの。
流石、ドルチェ家の名前はすごいんだな…。



「ねぇ、あそこにいるのって、ドルチェ家の方々じゃない?」

「本当ね。確か、学園にも兄弟がいらっしゃったから、見に来られたんじゃないかしら…」

「ドルチェ家はどの方も素敵よね」


周りの視線がすごい!
この二人、見られることに慣れてるせいか、全然気にしてないけど。



「それより横にいる方はどなた?」

「ドルチェ家は全員男の子しかいないはずよね」


げっ。私のこと?
私のことは気にしなくていいですから!早く運動会、始まって!!

私の願いが通じたのか、その時、運動会の始まりを告げるアナウンスが始まった。



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