Dangerous Surprise

「お坊っちゃま、昨日はすみませんでした!」

「別にいいって。サルファーに呼ばれたんなら、仕方ねェし」


リク様、そう言ってくれたんだ。確かにメイド長の名前を出せば、お坊っちゃまも何も言わないし。

後で借りた服をお返ししないとだわ。洗濯してるから手元にはないけど。でも、何かお礼したいな。何がいいんだろう?お坊っちゃまに聞いても、詳しくはないだろうから、クロッカスさんに相談しよう。



「…リス。アリス!」

「……あ、すみません。ボーっとしてました」

「しっかりしろよな…」


お坊っちゃまがムスッとした顔で私を見ていた。そういえば、昨日ライ様が言っていたよね。



「お坊っちゃまって、好きな人がいるんですか?」

「ええっ!?」


私がそう尋ねると、真っ赤な顔になった。この反応は、いるな。お坊っちゃま、いつの間に…。



「年上と聞いたんですけど」

「……う、うん…」

「いつから好きだったんですか?」

「……初めて会った時、から…」


へぇ。意外…。
一途なのね、お坊っちゃま。



「私の知ってる方ですか?」

「…………………………は?」


あれ?思っていた反応と違う。おかしいな?どこで間違えた??



「あ。もしかして、学園の…!」

「違ェし。鋭いかと思ったけど、やっぱり肝心なところで鈍感だよな!お前って」

「え…心外なんですが」

「絶対お前になんか言わねェよ!バカ鈍感アリス」


それだけ告げて、お坊っちゃまは部屋から出て言ってるしまった。

もうお坊っちゃま、思春期になって、いや、中学生になってから、扱いづらくなってきたな…。


しかし、私、お坊っちゃまの傍にいるけど、全然気づかなかった。もしかして、私に知られたくなかったのかな?もう言ってくれれば、協力したのに!少しお坊っちゃまから離れた方がいいかな。だって、私がいたら、邪魔だし。

そう思って、離れたら、何故かお坊っちゃまに怒られた。え、何で、私は怒られるの?好きな人いるなら、私がいたら話せないのに…。

それを近くにいたアガットさんに言えば、何故か苦笑いされた。



「とにかく余計な気を回すな!」

「わかりました…」





ハルクに怒られながら、不思議な顔で返事するアリスを見ながら、アガットは思う。



(きっとお坊っちゃまの好きな人が自分だとまったく考えてもいないんだろうな。アリスさん…)





【END】
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