Dangerous Surprise
「…そこで何をしてるの?」
リク様だった。
こんなところ、一番見られたくなかった人だ。
「リ、リク…様」
「別にいいじゃん。リク兄、あっち行けよ」
「やめて!……いやぁ」
首筋に顔を埋められた。
リク様の前で、こんなことされるなんて…。
「いい加減にしろよ?ライ」
リク様がライ様の髪を掴み上げて、壁に押しつけた。
「……くっ!…リク兄…っ」
「彼女が嫌がってるのがわからないの?お前の目は節穴なのか?そんな目なら、今すぐにでも潰してやる」
リク、様?何かいつもと違う。怖い。
「リク兄、ぶちキレると本当にオヤジにそっくりだよな」
「あんなヤツと一緒にするな」
そう言って、冷たい目でライ様を睨む。
その眼差しは、いつかの夜に見た“あの人”を彷彿させた。
「キレてる状態だと、結構イイ線までイクんだけどなー。リク兄は」
「ふざけたことを抜かしてると、お前の大事なタマをぶっ壊すぞ?」
「わ、わかったよ!」
ライの返事を聞いて、リクは手を離す。自由になったライは、小さく呟く。
「…痛てー」
「ライ、わかってるな?次、また同じことを彼女にしたら…」
「アリスには手を出さないって!」
「わかったならいい。約束を破ったら、どうなるかわかるな?」
「わかった!」
ライ様は去っていく。それを見送り、私はやっと安堵する。安心したからか、涙がポロポロと落ちてきた。私は手で涙を拭う。
「アリスさん、大丈夫ですか?」
リク様が私に声をかけた。その顔は先程とは違い、いつものリク様だった。
「はい……あっ!」
全然、大丈夫じゃなかった!
胸の辺りを破かれたの忘れてた。まずい。このままじゃ、お坊っちゃまのところにはいけない。慌てて腕で隠す。
すると、リク様が羽織っていたシャツを脱ぎ、私に着せてくれた。
「リク様!?」
「少し大きいですけど、ボタンもあるから留めれば胸元は隠れますよね」
「で、でも!」
「僕はまだ一枚着てますから、気になさらないでください。それで部屋に戻って、もう今日はそのまま休んでください。ハルクには適当なことを言っておきますから」
「え、でも…!」
「本当は送ってあげたいんですが、流石に今、男の僕では怖がらせてしまいますし」
そんなことない。それに私はリク様になら…。
「あ、スマルトさん!」
リク様がスマルトの名を呼ぶ。見てみると、向こう側からスマルトがこちらに歩いてきた。
「リク様……とアリス。どうかしました?」
「スマルトさん。もう上がりですか?そうならば、アリスさんと一緒に戻ってもらえませんか?」
「リク様。私、一人でも…」
「ダメです。ライは約束は破らないと思いますが、念の為に…」
「はい。私も仕事は終わったところなので、アリスと帰ります」
「お願いします」
「リク様、ありがとうございました!おやすみなさい」
去ろうとするリク様に声をかける。リク様は「おやすみなさい」と微笑んでから、行ってしまった。
「アリス、戻ろう」
「うん」
スマルトと一緒に使用人の部屋のある屋敷に戻ってきた。
送ってくれたスマルトに礼を言って、私はドアを閉めた。リク様から借りた服を脱ぎ、胸元が破けた服から部屋着に着替える。
破けた服を見る。これ、もうダメだな。明日、新しいのもらわないと。
ライ様め、外見に似合わず、バカ力よね。
しかし、リク様が来てくれなかったら、今頃どうなっていたことか!考えただけでも恐ろしい…。私、きっとここにいられなかった。
でも、リク様のあんな顔、初めて見た。すっごく冷たい顔をしてた。ライ様がオヤジにそっくりって言っていたけど。
アメジスト・ドルチェ。
一度敵と見なされたら、容赦なく狙われる。狙われたら、最後。
何でかわからないけど、私はあの人に嫌われてる。
でも、私の顔を見た時、誰か別の名前を呟いていた。確か───
「ラピス…」
.
リク様だった。
こんなところ、一番見られたくなかった人だ。
「リ、リク…様」
「別にいいじゃん。リク兄、あっち行けよ」
「やめて!……いやぁ」
首筋に顔を埋められた。
リク様の前で、こんなことされるなんて…。
「いい加減にしろよ?ライ」
リク様がライ様の髪を掴み上げて、壁に押しつけた。
「……くっ!…リク兄…っ」
「彼女が嫌がってるのがわからないの?お前の目は節穴なのか?そんな目なら、今すぐにでも潰してやる」
リク、様?何かいつもと違う。怖い。
「リク兄、ぶちキレると本当にオヤジにそっくりだよな」
「あんなヤツと一緒にするな」
そう言って、冷たい目でライ様を睨む。
その眼差しは、いつかの夜に見た“あの人”を彷彿させた。
「キレてる状態だと、結構イイ線までイクんだけどなー。リク兄は」
「ふざけたことを抜かしてると、お前の大事なタマをぶっ壊すぞ?」
「わ、わかったよ!」
ライの返事を聞いて、リクは手を離す。自由になったライは、小さく呟く。
「…痛てー」
「ライ、わかってるな?次、また同じことを彼女にしたら…」
「アリスには手を出さないって!」
「わかったならいい。約束を破ったら、どうなるかわかるな?」
「わかった!」
ライ様は去っていく。それを見送り、私はやっと安堵する。安心したからか、涙がポロポロと落ちてきた。私は手で涙を拭う。
「アリスさん、大丈夫ですか?」
リク様が私に声をかけた。その顔は先程とは違い、いつものリク様だった。
「はい……あっ!」
全然、大丈夫じゃなかった!
胸の辺りを破かれたの忘れてた。まずい。このままじゃ、お坊っちゃまのところにはいけない。慌てて腕で隠す。
すると、リク様が羽織っていたシャツを脱ぎ、私に着せてくれた。
「リク様!?」
「少し大きいですけど、ボタンもあるから留めれば胸元は隠れますよね」
「で、でも!」
「僕はまだ一枚着てますから、気になさらないでください。それで部屋に戻って、もう今日はそのまま休んでください。ハルクには適当なことを言っておきますから」
「え、でも…!」
「本当は送ってあげたいんですが、流石に今、男の僕では怖がらせてしまいますし」
そんなことない。それに私はリク様になら…。
「あ、スマルトさん!」
リク様がスマルトの名を呼ぶ。見てみると、向こう側からスマルトがこちらに歩いてきた。
「リク様……とアリス。どうかしました?」
「スマルトさん。もう上がりですか?そうならば、アリスさんと一緒に戻ってもらえませんか?」
「リク様。私、一人でも…」
「ダメです。ライは約束は破らないと思いますが、念の為に…」
「はい。私も仕事は終わったところなので、アリスと帰ります」
「お願いします」
「リク様、ありがとうございました!おやすみなさい」
去ろうとするリク様に声をかける。リク様は「おやすみなさい」と微笑んでから、行ってしまった。
「アリス、戻ろう」
「うん」
スマルトと一緒に使用人の部屋のある屋敷に戻ってきた。
送ってくれたスマルトに礼を言って、私はドアを閉めた。リク様から借りた服を脱ぎ、胸元が破けた服から部屋着に着替える。
破けた服を見る。これ、もうダメだな。明日、新しいのもらわないと。
ライ様め、外見に似合わず、バカ力よね。
しかし、リク様が来てくれなかったら、今頃どうなっていたことか!考えただけでも恐ろしい…。私、きっとここにいられなかった。
でも、リク様のあんな顔、初めて見た。すっごく冷たい顔をしてた。ライ様がオヤジにそっくりって言っていたけど。
アメジスト・ドルチェ。
一度敵と見なされたら、容赦なく狙われる。狙われたら、最後。
何でかわからないけど、私はあの人に嫌われてる。
でも、私の顔を見た時、誰か別の名前を呟いていた。確か───
「ラピス…」
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