Pool

ハルクがアリスと遊び出した頃、クラスの女の子達は彼を探していた。



女子1「ハルク、全然戻って来ないよ!」

女子2「本当。どこ行っちゃったの?」

女子3「わかんない。泳ぎに行くって、一人で行っちゃったから…」

女子4「でも、全然帰って来ないから、何かあったのかもよ?」


そこへ泳ぎに行っていた男子達が戻って来た。しかし、その中に探してる彼はいない。



女子1「ねぇ、ハルクは?」

男子1「知らない。どっかにいるんじゃねーの?」

男子4「お前らがドルチェといたんじゃないの」

女子2「そうなんだけど」


口々に皆が知らないと言う中、一人だけが違うことを言った。



男子2「ハルクなら見たぜ」

女子1234「「「どこに!?」」」

男子2「さっきウォータースライダーから降りてきた。でも、一人じゃなくて、女の人と一緒にいたぞ」

女子1234「「え?」」

男子2「相手、年上だったな。高校生かもう少し上くらいの。ハルク、すげー楽しそうに笑ってて。その人の手を取って「もう一回、乗ろうぜ!」って、珍しくはしゃいでたけど」

男子3「ハルクって、はしゃぐの?見たことねーよ」

男子4「てか、逆ナンでもされた?あいつ、顔はいいから」

男子5「いや、ここに来てからも逆ナンされてたけど、無視してたじゃん。知り合いじゃん?」

女子1「もしかしてその相手、金髪で髪が長い人じゃなかった…?」

男子2「ああ。髪は結わいてたけど、長かったぜ」

女子1「やっぱりまたあの人か…」

「何やってんの?お前ら…」


そこへ噂のハルクが戻ってきた。



一同「ハルク!」

「あのさ。オレ、別のヤツと遊ぶから、ここで抜ける。じゃあな」


ハルクはそれだけ言って、またどこかに行こうとする。しかし、女の子達が彼を呼び止める。



女子2「何で!」

女子3「そうだよ!私達と来てるのに、何で別の人と遊ぶの!?」

「お前らといても、楽しくねェんだもん。プールに来たのに、全然入らないじゃん。だから、ソイツと遊ぶことにした。ソイツがちゃんとお前らに言ってきた方がいいって言うから、言いに来ただけ。ソイツを待たせてるから、もう行く」


それだけ告げると、今度こそ彼は走り去って行く。



男子1「……年上の女を選んだか」

男子5「なんだ。羨ましいのか?」

男子1「羨ましいに決まってんじゃん!」

男子4「てか、元から気乗りしてなかったじゃん。仲のいいダイヤモンド達もいなかったし」

男子3「そうそう。おれらも遊びに行こうぜ!」


男子達はまたプールに向かってしまった。
その場に残った女の子達は───



女子2「こうなったら、私達も遊ぼう!」

女子3「うん!ハルクなんか忘れて、遊びまくろう!」

女子4「遊ばなきゃ損だよね!」

女子1「皆、待って…」


一人を除いて、プールへ駆け出す女の子達。出遅れた少女も皆の後を追う。

すると、彼女はハルクの姿を見つけた。
その隣にはアリスがスライダー用の浮き輪を持っていて、どこかに移動しているようだった。

きっと二人でウォータースライダーに乗りに行くのだろう。



「アリス。今度はお前が前に乗れよ」

「嫌ですよ!お坊っちゃまがまた前に乗ればいいじゃないですか」

「オレ、たまには後ろに乗ってみてェし!一度くらいいいだろ?」

「わかりましたよ。次のだけ私が前に乗ります」

「よし。そうと決まれば、行くぞ!」

「ちょっと走ると危ないですから!ウォータースライダーは逃げませんし!って、私の腕を掴まないでくださーい!」


ハルクは、学校ではなかなか見せない笑顔をしていた。あんなに楽しそうな彼は見たことがない。



「……いいな」


(私にもあんな風にして笑って欲しい。あなたのことが好きなのに…)





【END】
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