Summer Story(後)
……………
…………
………
……
…
ここにあったウォータースライダーに全部乗れて満足したらしい。お坊っちゃまは超ご機嫌である。私は乗れるものと乗れないものがあったけど。二人乗り出来るものにいたっては、何回も乗せられた…。滑り終える度に「もう一回!」と笑顔で連れて行かれたわよ。私がまだ乗るのか聞いても、「当たり前じゃん!」と笑顔がすごかった。
「さて、そろそろお昼にしましょうか?大分時間が過ぎてますし」
「確かに腹減ったな!」
既に時刻は14時前。
お昼のピークは過ぎているから、お店もそんなには混んでいないだろう。
「お財布を取って来ますから、ここで待っていてください」
「わかった」
お坊っちゃまから一旦離れ、ロッカーへと向かう。腕につけていた鍵を外し、ロッカーを開ける。一緒に来た子達は、まだプールにいるようだ。使用しているそれぞれのロッカーは、まだ鍵がかかったままだし。
……。
顔合わせるのも気まずいから、今のうちに移動しておこう。私は荷物を入れていたロッカーから荷物を取り出して、別のロッカーへ入れ直し、お財布だけ取り出して、鍵をかけた。
よし。お坊っちゃまのところに戻ろう。
女子更衣室から出ようとしたら、一緒に来た子の一人と会った。今日来たメンバーの中では、一番話せる子だった。他の人とは挨拶以外、ほとんど話したことはない。
「あれ?アリス、まだプールにいたんだね」
「エクル。うん。帰ろうとしたけど、お坊っちゃまと偶然会って」
「ハルク様か。ここでも会うなんて、赤い糸が繋がってるんじゃないの?」
「あはは。それはないよ。そっちはあれから皆で遊んでるの?」
「まっさかー。もう最初からバラバラだよ。それぞれ男女で遊んでるし。アタシはもう帰るけどね」
「そうなの?」
「声をかけてきたヤツら全員ナンパ目的じゃん。で、上手くいけばHしようと狙ってたのが見え見え。アタシが一緒にいた相手、まともそうに見えたんだけど、やっぱり同類だったわ。誰もいないところでしようと近づいてきたから、頭にきて、そいつの股間を蹴飛ばしてきた!」
相手に非があるから、同情はしない。自業自得よ!
「エクル、危なかったね。大丈夫?」
「アタシは大丈夫!アリスはさっさと逃げて正解だったよ」
すごいな、エクルは…。
私より一つ下だけど、明るくサバサバしてるし。年下なのにしっかりしてる。その上、仕事も早い。実はベゴニアと同期なんだよね。
って、話してる場合じゃない。お坊っちゃまを待たせているんだった!
「私、お坊っちゃまを待たせてるから行くね!」
「あ、ごめん。ハルク様に謝っといて。またあとでね!」
「うん!ありがとう」
エクルと別れ、急いでお坊っちゃまの元へ私は向かった。
お昼を食べた後は、浮き輪を借りて、波のプールでのんびりと過ごした。お坊っちゃまには退屈だったんじゃないかと思っていたが、そうでもなかったらしい。
でも、私がふと視線を向ける度に何故か目を逸らされた。何でだろう?あ、ちなみにお坊っちゃまは浮き輪ではないものを借りていました。何だったっけ?あのイルカの形したやつ…。たまに海に行った時も使っている人を見たことあるのよ。
しばらく波のプールで漂った後は、流れるプールに行き、私は浮き輪に捕まりながら、お坊っちゃまに引っ張られました。この時間になると、人も朝よりは少なくなってたから、動きやすかった。
そして、またウォータースライダーに連れて行かれました。二人乗りのやつばかりに連れて行かれる。少しは加減をしてくれないだろうか。じゃないと、私の体力が持ちません…。
私、明日は大丈夫かしら?湿布貼って、仕事しないといけないかも。
夕方にもなると、人も大分減ってきた。
しかし、カップルが多いような…。やたらいちゃついてるカップルがいるし。キスしてる人達までいたわ。流石にお坊っちゃまの目を隠した。まだ早いですから!教育にも良くないし。
「あ!」
その時、お坊っちゃまは気づいていなかったが、キスしてるカップルを見つけて、私は慌ててお坊っちゃまの背後から目を隠した。
「っ……アリス!?何?」
「ごめんなさい。しばらくはこのままで…」
「……っ!」
もう本当にやめて!お坊っちゃまの教育に良くないから!しかも、濃厚なキスしてんのよ?もっと周りを見ろ!バカップル!!
しばらくして、キスを終えて、カップル達はいなくなった。私はようやくお坊っちゃまの目元から手を離す。
「もう大丈夫です。すみません。お坊っちゃま、いきなり目隠ししてしまって」
「……」
「あれ?お坊っちゃま??」
声をかけても、返事がない。
どうしたんだろうか?
「……っ!」
「お坊っちゃま?」
顔を覗き込めば、真っ赤な顔をしていた。私と目が合うと勢い良く逸らされた。何か今日は、やたら目を逸らされる時があるんだけど、何でなのかな?私、何かしたかな…。いくら考えても、思い当たらない。仕方ない。
私はお坊っちゃまの手を取り、歩き出した。お坊っちゃまは抵抗もせず、そのまま歩いてくれた。良かった!
「そろそろプールから出ましょうか?」
「……うん」
やっと返事してくれた。
全然喋ってくれないから、嫌われたかと思ったわ。
「お坊っちゃま、お腹も空いたんじゃありませんか?」
「減った…」
一日遊んだから、お坊っちゃまも疲れたはずだ。中学生になったとはいえ、まだ子供なんだし。
「そういえば、帰りはどうしますか?」
「アガットなら屋敷にいるから、連絡すれば来てくれるぜ。別の仕事も今日はないって言ってたから」
「もう電車だと混む時間帯ですから、アガットさんを呼んで、ついでに三人で何か食べて帰りましょうか?」
「賛成!すぐアガットに連絡する!」
「お願いします。着替えたら、プールの出入口ゲートに集合しましょう!」
そう言って、私達は着替えてから再び落ち合うことにした。
数十分後。
着替えて出てくると、お坊っちゃまはもう待っていた。私はお坊っちゃまに駆け寄り、声をかける。
「お坊っちゃま。連絡は出来ました?」
「アガットには連絡した!30分くらいで着くって。あと飯のことも聞いたら、OKだって」
「そうですか。アガットさんが到着するまではカフェで待ちましょうか?」
「うん!」
それからアガットさんが来るまで、カフェで飲み物を注文し、二人でおしゃべりしながら待っていた。
30分後。
時間通りにアガットさんは来てくれて、帰りがてらにレストランを見つけて、三人で食事してから屋敷に帰った。
最初はそうでもなかったけど、途中からは楽しい思い出となった。
翌日。
私は案の定、全身が筋肉痛になった。朝起きれなくて、隣の部屋のスマルトに体中を湿布貼ってもらった(泣)
お坊っちゃまは、相変わらず元気だった。え、何。この差は!!
【END】
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ここにあったウォータースライダーに全部乗れて満足したらしい。お坊っちゃまは超ご機嫌である。私は乗れるものと乗れないものがあったけど。二人乗り出来るものにいたっては、何回も乗せられた…。滑り終える度に「もう一回!」と笑顔で連れて行かれたわよ。私がまだ乗るのか聞いても、「当たり前じゃん!」と笑顔がすごかった。
「さて、そろそろお昼にしましょうか?大分時間が過ぎてますし」
「確かに腹減ったな!」
既に時刻は14時前。
お昼のピークは過ぎているから、お店もそんなには混んでいないだろう。
「お財布を取って来ますから、ここで待っていてください」
「わかった」
お坊っちゃまから一旦離れ、ロッカーへと向かう。腕につけていた鍵を外し、ロッカーを開ける。一緒に来た子達は、まだプールにいるようだ。使用しているそれぞれのロッカーは、まだ鍵がかかったままだし。
……。
顔合わせるのも気まずいから、今のうちに移動しておこう。私は荷物を入れていたロッカーから荷物を取り出して、別のロッカーへ入れ直し、お財布だけ取り出して、鍵をかけた。
よし。お坊っちゃまのところに戻ろう。
女子更衣室から出ようとしたら、一緒に来た子の一人と会った。今日来たメンバーの中では、一番話せる子だった。他の人とは挨拶以外、ほとんど話したことはない。
「あれ?アリス、まだプールにいたんだね」
「エクル。うん。帰ろうとしたけど、お坊っちゃまと偶然会って」
「ハルク様か。ここでも会うなんて、赤い糸が繋がってるんじゃないの?」
「あはは。それはないよ。そっちはあれから皆で遊んでるの?」
「まっさかー。もう最初からバラバラだよ。それぞれ男女で遊んでるし。アタシはもう帰るけどね」
「そうなの?」
「声をかけてきたヤツら全員ナンパ目的じゃん。で、上手くいけばHしようと狙ってたのが見え見え。アタシが一緒にいた相手、まともそうに見えたんだけど、やっぱり同類だったわ。誰もいないところでしようと近づいてきたから、頭にきて、そいつの股間を蹴飛ばしてきた!」
相手に非があるから、同情はしない。自業自得よ!
「エクル、危なかったね。大丈夫?」
「アタシは大丈夫!アリスはさっさと逃げて正解だったよ」
すごいな、エクルは…。
私より一つ下だけど、明るくサバサバしてるし。年下なのにしっかりしてる。その上、仕事も早い。実はベゴニアと同期なんだよね。
って、話してる場合じゃない。お坊っちゃまを待たせているんだった!
「私、お坊っちゃまを待たせてるから行くね!」
「あ、ごめん。ハルク様に謝っといて。またあとでね!」
「うん!ありがとう」
エクルと別れ、急いでお坊っちゃまの元へ私は向かった。
お昼を食べた後は、浮き輪を借りて、波のプールでのんびりと過ごした。お坊っちゃまには退屈だったんじゃないかと思っていたが、そうでもなかったらしい。
でも、私がふと視線を向ける度に何故か目を逸らされた。何でだろう?あ、ちなみにお坊っちゃまは浮き輪ではないものを借りていました。何だったっけ?あのイルカの形したやつ…。たまに海に行った時も使っている人を見たことあるのよ。
しばらく波のプールで漂った後は、流れるプールに行き、私は浮き輪に捕まりながら、お坊っちゃまに引っ張られました。この時間になると、人も朝よりは少なくなってたから、動きやすかった。
そして、またウォータースライダーに連れて行かれました。二人乗りのやつばかりに連れて行かれる。少しは加減をしてくれないだろうか。じゃないと、私の体力が持ちません…。
私、明日は大丈夫かしら?湿布貼って、仕事しないといけないかも。
夕方にもなると、人も大分減ってきた。
しかし、カップルが多いような…。やたらいちゃついてるカップルがいるし。キスしてる人達までいたわ。流石にお坊っちゃまの目を隠した。まだ早いですから!教育にも良くないし。
「あ!」
その時、お坊っちゃまは気づいていなかったが、キスしてるカップルを見つけて、私は慌ててお坊っちゃまの背後から目を隠した。
「っ……アリス!?何?」
「ごめんなさい。しばらくはこのままで…」
「……っ!」
もう本当にやめて!お坊っちゃまの教育に良くないから!しかも、濃厚なキスしてんのよ?もっと周りを見ろ!バカップル!!
しばらくして、キスを終えて、カップル達はいなくなった。私はようやくお坊っちゃまの目元から手を離す。
「もう大丈夫です。すみません。お坊っちゃま、いきなり目隠ししてしまって」
「……」
「あれ?お坊っちゃま??」
声をかけても、返事がない。
どうしたんだろうか?
「……っ!」
「お坊っちゃま?」
顔を覗き込めば、真っ赤な顔をしていた。私と目が合うと勢い良く逸らされた。何か今日は、やたら目を逸らされる時があるんだけど、何でなのかな?私、何かしたかな…。いくら考えても、思い当たらない。仕方ない。
私はお坊っちゃまの手を取り、歩き出した。お坊っちゃまは抵抗もせず、そのまま歩いてくれた。良かった!
「そろそろプールから出ましょうか?」
「……うん」
やっと返事してくれた。
全然喋ってくれないから、嫌われたかと思ったわ。
「お坊っちゃま、お腹も空いたんじゃありませんか?」
「減った…」
一日遊んだから、お坊っちゃまも疲れたはずだ。中学生になったとはいえ、まだ子供なんだし。
「そういえば、帰りはどうしますか?」
「アガットなら屋敷にいるから、連絡すれば来てくれるぜ。別の仕事も今日はないって言ってたから」
「もう電車だと混む時間帯ですから、アガットさんを呼んで、ついでに三人で何か食べて帰りましょうか?」
「賛成!すぐアガットに連絡する!」
「お願いします。着替えたら、プールの出入口ゲートに集合しましょう!」
そう言って、私達は着替えてから再び落ち合うことにした。
数十分後。
着替えて出てくると、お坊っちゃまはもう待っていた。私はお坊っちゃまに駆け寄り、声をかける。
「お坊っちゃま。連絡は出来ました?」
「アガットには連絡した!30分くらいで着くって。あと飯のことも聞いたら、OKだって」
「そうですか。アガットさんが到着するまではカフェで待ちましょうか?」
「うん!」
それからアガットさんが来るまで、カフェで飲み物を注文し、二人でおしゃべりしながら待っていた。
30分後。
時間通りにアガットさんは来てくれて、帰りがてらにレストランを見つけて、三人で食事してから屋敷に帰った。
最初はそうでもなかったけど、途中からは楽しい思い出となった。
翌日。
私は案の定、全身が筋肉痛になった。朝起きれなくて、隣の部屋のスマルトに体中を湿布貼ってもらった(泣)
お坊っちゃまは、相変わらず元気だった。え、何。この差は!!
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