Summer Story(後)
「怪我はないみたいですね。わ、私はこれで…」
気づかなかったフリして逃げようとしたが、お坊っちゃまは逃がすまいと私の手を掴んできた。
「何でここにいんだよ!オレが何度もプールに誘っても行けません、泳げませんって言って逃げてたくせに!!」
「そ、そうでしたっけ?」
「都合悪くなると、すぐ…」
「……すみません」
お坊っちゃまの顔を見たら、少し安心したかも。そんなお坊っちゃまが私の顔をジッと見てくる。
何だろう?顔に何かついてるのかな?
「どうしました?」
「お前、何かあっ…」
「あー!アリスちゃん!!」
げっ!何でこの人が来たの。
しかも、名前を教えてないのに、アリスちゃんって呼んでるし。馴れ馴れしい!
逃げようにもお坊っちゃまが私の手を掴んだままだから、逃げられない。離してくださいと言っても、離してくれないし。
「誰、コイツ…」
「(成りゆきで一緒に遊ぶことになった人です)」
「(成りゆき?)」
「(今日休みだった子達に誘われて、一緒にプールに来たんですよ。そしたら、男の人達のグループに声をかけられて遊ぶことになったんですが…)」
「ふーん…」
お坊っちゃまにしか聞こえないよう小声で話す。しかし、相手は私しか見えていないようだ。
「見つかって良かったよ。突然、姿が見えなくなったから、迷子になっちゃったのかと思って、探しちゃった!」
「そうですか…」
そのまま忘れてくれれば、良かったのに…。
それにこの人、胸ばっかり見てくるのよ!最初に見た時以外、目が合ったことないし。明らかに胸にしか興味がない。
体目当て?嫌だー。どっか行って欲しい!
「ちょっと知り合いと会って、話していたので」
「知り合い?もしかして、アリスちゃんの弟?」
「弟じゃねェし。お前こそ何なんだよ!」
「は?弟じゃねーなら、さっさとアリスちゃんを返せよ」
この人、私とお坊っちゃまでかなり態度が違う。しかも、男の人が私の手を取ろうとしたから、お坊っちゃまがそれを阻止してくれた。
「汚ェ手でアリスに触んな!」
「生意気なガキ。ガキはガキと遊んでろよ」
「はあ!?お前こそ相手にされてねェのわかんないのかよ?さっさと諦めて、よその女を当たれよ!」
「このガキが……っ!?」
頭に血がのぼった男の人がお坊っちゃまを殴ろうとするが、お坊っちゃまはあっさりとかわして、男の人を誰もいない方へ投げ飛ばした。
「あー、スッキリした!」
「え、あの人、生きてます??」
投げ飛ばされた後、ちっとも動かないから心配になって、近づこうとした。
が、お坊っちゃまによって、止められてしまった。
「ソイツのことは放っとけよ。明らかにお前の胸しか見てなかったし、ロクなヤツじゃねェ!」
「そうなんですけど…」
「コイツが起きる前に退散するぞ、アリス」
お坊っちゃまに腕を引かれ、その場を後にした。ま、いいか。これであの人も追っては来ないだろうし。助かった!
「そういえば、お坊っちゃまと誰かと来てるんじゃないですか?そちらはいいんですか?」
「あー。クラスのヤツらとな。何か女子達がやたらくっついてくるから、逃げ回ってたんだよ。コウ達もいねェからもう帰ろうかと思ってたんだけど。アリス、一緒に回ろうぜ!」
「私、泳げないので。お坊っちゃまは退屈になってしまいますよ…」
「お前に合わせるって。よし、行こうぜ!」
これはもうクラスの子達の元には戻らずに、私と遊ぶつもりだ。私も流石にあっちには戻りたくないから、このままお坊っちゃまといよう。
私がいないくらいで気にしないはずだ。一人を除いて、ほとんどがあまり仲良くないし。次からは仲良くない人達に誘われても断ろう。
それから私は、お坊っちゃまに手を引かれ、ウォータースライダーに乗りまくった。ここのは沢山色々なウォータースライダーがあるから、お坊っちゃまが珍しくはしゃいでいた。去年から乗りたがっていたからね。
さっきも私に会う前までも一人で乗っていたみたいだけど。
「なあ。次はあっちにあるウォータースライダーに行こうぜ!二人乗りが出来るし」
「お坊っちゃま。ちょっと待ってください…」
ぐいぐいと乗りたいウォータースライダーのある方へと手を引っ張られる。年齢が5コも違うだけなのに、何故こうも違うんだろう。私が体力ないだけ?お坊っちゃまの体力がありあまっているだけ?どっちもか。
「ほら、アリス。早く!」
「ウォータースライダーは逃げませんよー!」
やけにお坊っちゃまのテンションが高くない?プールだから?最初にぶつかった時、テンションがすごい低くかったのに…。
「逃げねェけど、混んじまうじゃん!ほら!」
「わかりましたよ。押さないで。ちゃんと行きますから…」
「早く!」
ウォータースライダーが大好きなんだな。お坊っちゃまは…。
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気づかなかったフリして逃げようとしたが、お坊っちゃまは逃がすまいと私の手を掴んできた。
「何でここにいんだよ!オレが何度もプールに誘っても行けません、泳げませんって言って逃げてたくせに!!」
「そ、そうでしたっけ?」
「都合悪くなると、すぐ…」
「……すみません」
お坊っちゃまの顔を見たら、少し安心したかも。そんなお坊っちゃまが私の顔をジッと見てくる。
何だろう?顔に何かついてるのかな?
「どうしました?」
「お前、何かあっ…」
「あー!アリスちゃん!!」
げっ!何でこの人が来たの。
しかも、名前を教えてないのに、アリスちゃんって呼んでるし。馴れ馴れしい!
逃げようにもお坊っちゃまが私の手を掴んだままだから、逃げられない。離してくださいと言っても、離してくれないし。
「誰、コイツ…」
「(成りゆきで一緒に遊ぶことになった人です)」
「(成りゆき?)」
「(今日休みだった子達に誘われて、一緒にプールに来たんですよ。そしたら、男の人達のグループに声をかけられて遊ぶことになったんですが…)」
「ふーん…」
お坊っちゃまにしか聞こえないよう小声で話す。しかし、相手は私しか見えていないようだ。
「見つかって良かったよ。突然、姿が見えなくなったから、迷子になっちゃったのかと思って、探しちゃった!」
「そうですか…」
そのまま忘れてくれれば、良かったのに…。
それにこの人、胸ばっかり見てくるのよ!最初に見た時以外、目が合ったことないし。明らかに胸にしか興味がない。
体目当て?嫌だー。どっか行って欲しい!
「ちょっと知り合いと会って、話していたので」
「知り合い?もしかして、アリスちゃんの弟?」
「弟じゃねェし。お前こそ何なんだよ!」
「は?弟じゃねーなら、さっさとアリスちゃんを返せよ」
この人、私とお坊っちゃまでかなり態度が違う。しかも、男の人が私の手を取ろうとしたから、お坊っちゃまがそれを阻止してくれた。
「汚ェ手でアリスに触んな!」
「生意気なガキ。ガキはガキと遊んでろよ」
「はあ!?お前こそ相手にされてねェのわかんないのかよ?さっさと諦めて、よその女を当たれよ!」
「このガキが……っ!?」
頭に血がのぼった男の人がお坊っちゃまを殴ろうとするが、お坊っちゃまはあっさりとかわして、男の人を誰もいない方へ投げ飛ばした。
「あー、スッキリした!」
「え、あの人、生きてます??」
投げ飛ばされた後、ちっとも動かないから心配になって、近づこうとした。
が、お坊っちゃまによって、止められてしまった。
「ソイツのことは放っとけよ。明らかにお前の胸しか見てなかったし、ロクなヤツじゃねェ!」
「そうなんですけど…」
「コイツが起きる前に退散するぞ、アリス」
お坊っちゃまに腕を引かれ、その場を後にした。ま、いいか。これであの人も追っては来ないだろうし。助かった!
「そういえば、お坊っちゃまと誰かと来てるんじゃないですか?そちらはいいんですか?」
「あー。クラスのヤツらとな。何か女子達がやたらくっついてくるから、逃げ回ってたんだよ。コウ達もいねェからもう帰ろうかと思ってたんだけど。アリス、一緒に回ろうぜ!」
「私、泳げないので。お坊っちゃまは退屈になってしまいますよ…」
「お前に合わせるって。よし、行こうぜ!」
これはもうクラスの子達の元には戻らずに、私と遊ぶつもりだ。私も流石にあっちには戻りたくないから、このままお坊っちゃまといよう。
私がいないくらいで気にしないはずだ。一人を除いて、ほとんどがあまり仲良くないし。次からは仲良くない人達に誘われても断ろう。
それから私は、お坊っちゃまに手を引かれ、ウォータースライダーに乗りまくった。ここのは沢山色々なウォータースライダーがあるから、お坊っちゃまが珍しくはしゃいでいた。去年から乗りたがっていたからね。
さっきも私に会う前までも一人で乗っていたみたいだけど。
「なあ。次はあっちにあるウォータースライダーに行こうぜ!二人乗りが出来るし」
「お坊っちゃま。ちょっと待ってください…」
ぐいぐいと乗りたいウォータースライダーのある方へと手を引っ張られる。年齢が5コも違うだけなのに、何故こうも違うんだろう。私が体力ないだけ?お坊っちゃまの体力がありあまっているだけ?どっちもか。
「ほら、アリス。早く!」
「ウォータースライダーは逃げませんよー!」
やけにお坊っちゃまのテンションが高くない?プールだから?最初にぶつかった時、テンションがすごい低くかったのに…。
「逃げねェけど、混んじまうじゃん!ほら!」
「わかりましたよ。押さないで。ちゃんと行きますから…」
「早く!」
ウォータースライダーが大好きなんだな。お坊っちゃまは…。
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