Shadow
深夜。
海が近い場所にある倉庫。
倉庫内には荷物は何も置いておらず、がらんとしていた。そこで一人の人物が立っていた。彼は腕時計を見ながら、時間を確認していた。どうやら誰かを待っているようだった。
すると、誰かの足音が聞こえて、彼は振り返る。
いたのは、アメジストが呼び出した人物だった。
「ドルチェ。何だよ?こんなところに呼び出して」
「いきなり呼び出して悪い。お前と二人きりで話がしたくてな」
「はは、告白じゃあるまいし。何言ってんだよ」
「アラゴナイト。俺に何か言うことはあるか?」
「ドルチェに?特にないぜ」
「……そうか」
彼が尋ねても、相手はヘラヘラと笑うだけ。アメジストは相手の態度を見ながら考えていた。
(素直に話せば、少しは多めに見てやるつもりだったが、やはり裏切り者には罰を与えないといけないようだな。憂さ晴らしには丁度いいか)
口角を上げて、相手に話しかけた。
「まどろっこしいのは面倒だから、単刀直入に言おう。お前が俺を裏切って、情報を流してることは掴んでいるぞ」
「っ!?」
顔色が変わった。だが、すぐに相手は「何のことだよ!」とシラを切る。だから、アメジストは隠し持っていたものを相手の少年に向かって投げる。
それは沢山の写真だった。全て少年が彼と敵対する人物達に何かを渡しているのが写っていた。
「な、んで……っ」
それを見て、少年の顔が青ざめる。まさか情報を流しているのがバレていると思っていなかったのだろう。その態度を見て、アメジストは呆れながら言った。
「最初からお前のことなど信用はしていなかったが、まさかこういうことをするとは思ってはいなかったよ」
「待て。ドルチェ、これには深いワケが!」
「深いワケ?そんなのお前にあるわけないだろう?大方、大金に釣られて寝返っただけだろう。きっと向こうもある程度、うちの情報を知ったら、お前のことを切り捨てるはずだったらしいがな。向こうの人間を複数人捕まえて、痛めつけたらあっさりと全員が同じことを吐いたぞ?」
「……っ」
「アラゴナイト。お前にはそれ相応の罰を受けてもらおうか?」
「……くそっ!」
少年がポケットからナイフを取り出して、アメジストめがけて向かって来た。
「死ね!アメジスト・ドルチェ!!」
「……ちっ。雑魚が」
走り寄る少年をかわして、彼の背後を取ると、首辺りに手刀を下ろす。すると、アメジストの攻撃を避け切れず、アラゴナイトが倒れる。倒れた際に相手の手から離れたナイフを遠くへと蹴り飛ばす。そして、ナイフを持っていた彼の手を踏む。
「うっ!」
「お前はつまらない男だな。こんなに予想範囲内の行動するとは思わなかったぞ。少しは変わったことしてくれるのを期待してたんだが?」
「うああっ!」
「所詮は小物か…」
クスクスと笑いながら、アメジストは手を強く踏みつける。その悲鳴を聞きながら屈むと、寝転がっている彼の髪を掴み上げる。
「くっ!ドルチェ、許し……ああっ!!」
「俺を裏切ったことを後悔させてやる」
掴んでいた髪を乱暴に振り払い、アメジストは立ち上がる。すると、相手が泣きながら、謝ってくる。
「悪かった!悪かったから、許してくれ!ドルチェ」
「何を言ってる?誰にものを言ってるんだ?お前は」
目の前にいるアラゴナイトのお腹を容赦なく蹴り上げる。咳き込む相手の頭をアメジストは、足で踏みつけた。
「……うっ!あああっ!」
「お前の声は、本当に耳障りだな。もっと可愛く啼いてくれるのなら、もう少し楽しかったのに。まずはその喉を潰すか」
「やめてくれ!お願いだ!ドル…」
泣いて懇願する彼の願いは、アメジストに届くことはなかった───。
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海が近い場所にある倉庫。
倉庫内には荷物は何も置いておらず、がらんとしていた。そこで一人の人物が立っていた。彼は腕時計を見ながら、時間を確認していた。どうやら誰かを待っているようだった。
すると、誰かの足音が聞こえて、彼は振り返る。
いたのは、アメジストが呼び出した人物だった。
「ドルチェ。何だよ?こんなところに呼び出して」
「いきなり呼び出して悪い。お前と二人きりで話がしたくてな」
「はは、告白じゃあるまいし。何言ってんだよ」
「アラゴナイト。俺に何か言うことはあるか?」
「ドルチェに?特にないぜ」
「……そうか」
彼が尋ねても、相手はヘラヘラと笑うだけ。アメジストは相手の態度を見ながら考えていた。
(素直に話せば、少しは多めに見てやるつもりだったが、やはり裏切り者には罰を与えないといけないようだな。憂さ晴らしには丁度いいか)
口角を上げて、相手に話しかけた。
「まどろっこしいのは面倒だから、単刀直入に言おう。お前が俺を裏切って、情報を流してることは掴んでいるぞ」
「っ!?」
顔色が変わった。だが、すぐに相手は「何のことだよ!」とシラを切る。だから、アメジストは隠し持っていたものを相手の少年に向かって投げる。
それは沢山の写真だった。全て少年が彼と敵対する人物達に何かを渡しているのが写っていた。
「な、んで……っ」
それを見て、少年の顔が青ざめる。まさか情報を流しているのがバレていると思っていなかったのだろう。その態度を見て、アメジストは呆れながら言った。
「最初からお前のことなど信用はしていなかったが、まさかこういうことをするとは思ってはいなかったよ」
「待て。ドルチェ、これには深いワケが!」
「深いワケ?そんなのお前にあるわけないだろう?大方、大金に釣られて寝返っただけだろう。きっと向こうもある程度、うちの情報を知ったら、お前のことを切り捨てるはずだったらしいがな。向こうの人間を複数人捕まえて、痛めつけたらあっさりと全員が同じことを吐いたぞ?」
「……っ」
「アラゴナイト。お前にはそれ相応の罰を受けてもらおうか?」
「……くそっ!」
少年がポケットからナイフを取り出して、アメジストめがけて向かって来た。
「死ね!アメジスト・ドルチェ!!」
「……ちっ。雑魚が」
走り寄る少年をかわして、彼の背後を取ると、首辺りに手刀を下ろす。すると、アメジストの攻撃を避け切れず、アラゴナイトが倒れる。倒れた際に相手の手から離れたナイフを遠くへと蹴り飛ばす。そして、ナイフを持っていた彼の手を踏む。
「うっ!」
「お前はつまらない男だな。こんなに予想範囲内の行動するとは思わなかったぞ。少しは変わったことしてくれるのを期待してたんだが?」
「うああっ!」
「所詮は小物か…」
クスクスと笑いながら、アメジストは手を強く踏みつける。その悲鳴を聞きながら屈むと、寝転がっている彼の髪を掴み上げる。
「くっ!ドルチェ、許し……ああっ!!」
「俺を裏切ったことを後悔させてやる」
掴んでいた髪を乱暴に振り払い、アメジストは立ち上がる。すると、相手が泣きながら、謝ってくる。
「悪かった!悪かったから、許してくれ!ドルチェ」
「何を言ってる?誰にものを言ってるんだ?お前は」
目の前にいるアラゴナイトのお腹を容赦なく蹴り上げる。咳き込む相手の頭をアメジストは、足で踏みつけた。
「……うっ!あああっ!」
「お前の声は、本当に耳障りだな。もっと可愛く啼いてくれるのなら、もう少し楽しかったのに。まずはその喉を潰すか」
「やめてくれ!お願いだ!ドル…」
泣いて懇願する彼の願いは、アメジストに届くことはなかった───。
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